episode1
1話だけ見たら、たいしたことなくね?そう思う方もいるかもしれません!こっからまじで面白くなるんで最後まで読んでいってください!
この世界は終わってる…
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加賀美颯太は10年前のあれ以来消えた少女を探している。
戦争もない、幸せを壊す者もいない世界で、ごく普通に暮らしていた。
いつからだろうか、この世界がおかしくなったのは。
人間と動物しかいないという世界で、魔族が蔓延るなんて誰も思っていなかった。
10年前までは―
至って最近のことかに思われるが、この10年間人が、
何億人と死んでいった。
この世に残っているのは、どれくらいいるのだろうか。ものすごい数の人数が魔族に殺されていって、
ここまで加賀美颯太という凡人が生き残れたのも奇跡というだろう。
今生き残っているのは、加賀美颯太のように
運がいいものか、魔族と戦えるだけの実力があるものしか生き残ってはいない。
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10年前、それは、加賀美颯太が6歳の誕生日を迎えた頃だろうか。
その日は幼馴染で年が一個下の如月美玲と手を繋いで走っていた。
バゴーンガランガランドーンッッ!
爆音が上空から聞こえた。
「美玲!早く逃…」
颯太が美玲を引っ張ろうとした瞬間、
吸血鬼のような見た目をした赤髪の、鋭い目付きをした男が颯太から、美玲を奪っていた。
「誰……?」
颯太は恐怖の眼差しを吸血鬼のような見た目をした男に向ける。
「我は、魔族の一角の吸血鬼、エルヴィン家の当主である、マーズ・エルヴィン。そしてこの女の血の匂い!ただものではないなぁ、やはりこの世界に来て正解だな、この世界はもう時期、魔族の手に落ちるだろう。」
黒のマントを靡かせながら、ニヤリと笑う吸血鬼、マーズ・エルヴィン。その男に拘束された美玲はすでに意識がない。
恐怖でガタガタと体を振るわす颯太に、マーズが、
赤い武器を取り出して攻撃しようとした瞬間、
目の前に兄が現れた。
「早く逃げろ!!!!!!」
緊迫した表情で叫ぶのは、颯太の兄、加賀美奈央だ。
「美玲が…っ!」
「お兄ちゃんが助けてやるから、お前は逃げろ」
颯太がその場から走り出す。
「質の高い人間以外は殺すのが主義だ」
マーズが颯太を先に攻撃しようと仕掛ける。
だが、颯太を庇って、マーズと颯太の間に入った奈央が腹部に致命傷を追う。
「気にせず逃げ、ろっ」
奈央は走り出した颯太の背中にそう叫ぶ。
泣きながら颯太は走る。走る足を止めなかった。
兄が逃げろと言っていた。だから、自分を庇ってくれた兄との約束を守る為に、走る。
美玲を必ず兄を助けてくれると信じていたからだ。
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そんな10年前の記憶を思い出して、兄の墓にやってきた颯太。あの10年前以来、美玲は見つかっていない。でもどこかで必ず生きていると信じている。
兄の墓は、状況が良くなかった。
魔族との戦闘の際に巻き込まれて墓も、割れていたり、傷汚れ等がたくさんあった。
「兄さん、この世界はいつ終わるんだ……」
兄の墓の前でポツリと颯太はつぶやく。
目からは雫が滴る。
その瞬間、上空から、何者かが爆音と共に、
颯太の前にやってくる。
「な、んだ…?」
颯太は服の袖で、目を拭い、前を見る。
前には、ゾンビのような見た目をした人物が立っている。
(多分あれはゾンビだな…)
颯太はそう思った。颯太は迷わず背中に掲げている、大剣をとった。
対魔族用に作られた武器だ。
魔族が蔓延る世界になってから、そうした武器はどんどんと増えて行った。
距離は空いていたのにも関わらず、ゾンビの長い爪がついている手は、颯太の目の前まで来た。
颯太はゾンビの速度が早すぎて見えなかった。
このまま手が颯太に到達すれば、颯太の頭は潰されて、即死だろう。そうして何億もの人は死んでいった。
(俺も死ぬのか)
ゾンビの手が到達するその一瞬で颯太は、そんな考えをした。その一瞬に脳裏には美玲の顔もあった。
バンッッ!!!!
銃声が鳴り渡る。
「!?」
颯太は銃声がした方に顔を向ける。
そこには、黒色のワイシャツに赤いネクタイ、黒色のズボンを履き、黒と赤色の羽織を着ているスーツ姿の、黒髪の女が立っていた。
ゾンビは頭を撃たれて倒れている。
「そこのおにーさん、怪我はないかな?」
黒髪のスーツ姿の女が足音を鳴らして、颯太に近づく。
「へい、きです、」
颯太はゾンビの血がついた、自分の顔を拭う。
「それならよかった。
私の名前は、御上紗夜
魔族を狩るためだけに作られた『メシア』という
部隊に元々いたの」
転んでいる颯太に手を差し伸べる紗夜。
「でもとあることが原因でその『メシア』のメンバーから外されてしまってね、今はここら辺で魔族を1人で狩っているんだけどさ」
紗夜は青色の瞳で、まっすぐと颯太を見つめる。
「おにーさん、私と魔族を狩らない?もちろん危ないから、拒否してもらってだいじょーぶ。でもおにーさん、このお墓にいるってことは、魔族に身内が殺されたとかそーゆー感じでしょ?私もそう。魔族は滅んでしまえばいいとおもっている。そんな醜い魔族どもを一体でも多く一緒に狩ろう」
紗夜は颯太の手を優しく握りしめる。
「正直、俺1人じゃ、魔族をたくさんなんて狩れない。ここまで来れたのは奇跡としか言えない。魔族に攫われた、幼馴染を探すために、今までずっと戦ってきた。1人じゃ限界だと思っていた。俺の名前は、
加賀美颯太。これから魔族を一緒に狩りましょう」
その言葉を聞いて紗夜は驚いた顔をした。そして口を開いてこう言った。
「驚いた。今までこの誘いを受けた者なんていなかったのに、『メシア』の部隊のことは公に伝わっていないから、胡散臭いものだと思われて相手にしてもらえなかったのに、ありがとう、よろしくね」
少し口角を上げて、紗夜は笑った。
「俺は魔族を殺して、探し人の幼馴染を見つける」
キリッとした覚悟が決まった表情をする颯太。
「じゃあそろそろ行こう、魔族はまだまだ想像を絶するほどいる。」
紗夜は歩き始める。その後ろに颯太も続く。
でも2人は知らない。
悲劇はまだ始まったばかりだということを
どうでしたか!
できるだけ毎日投稿しますが、2日に1回になる日もあるかもしれません!
2話もお楽しみに!
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