表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/4

4.裁判

縄でぐるぐる巻きにされたまま、ジークは地下都市"灯淵とうえん"の中心――「裁きの広場」に引きずり出された。

広場は天井から溢れる光に照らされ、石造りの円形闘技場のような場所であった。

()からは樹齢1000年程に見える樹木が生い茂り、それぞれの家を繋いでいる。広場を中心に家は階段状に建築されていた。

それぞれの樹木には既に大勢の住民が集まり、「覗き魔だ!」「処刑だ!」と野次を飛ばしている。


「静かに!」

と、この広場に響きわたる声と共に現れたのは長い銀髪の黒いコートを羽織った美しい女性であった。

彼女は10メートルはあろうかと思われる樹木の上から飛び降り、ジークの目の前にスタリと着地した。


「被告人、ドブノ=ジーク!」

彼女が高らかに名を呼ぶと、群衆からは「おぉ〜っ!」と歓声とも怒号ともつかぬ声が上がる。


ジークはニヤニヤ笑って答えた。

「おうおう、やけに大げさな歓迎だな。宴会でもするのか?」


「ふざけないで!」

銀灰色の少女――聖女を名乗る少女が声を張り上げた。

「こいつは我らが泉で水浴びしているところを覗いただけでなく、侮辱までしたのです!」


「そうよそうよ!」

茶髪の少女――三つ編みの少女が頬を膨らませて叫ぶ。

「聖女を“かわいらしい――”だなんて、重罪よ!死刑に決まってるんだから!」


観客は「死刑!死刑!」と拳を突き上げる。

だがジークは一歩も怯まず、むしろ堂々と胸を張った。

「死刑だと!?誰がなんと言おうと俺は譲れないものがあるッ!」

彼は目をぎらりと輝かせ、言葉を続ける。

「俺は――慎ましいのも好きだッ!」


広場は一瞬の静寂に包まれた。

そして次の瞬間、群衆の笑い声が爆発する。

「なんだこいつ!」「バカだ!」「でも妙に説得力ある!」


銀髪の女性は額を手の甲で押さえて高笑いをした。

「……なるほど。愚か者だが、確かに死刑にするには惜しい。

 ならば、試練を課すとしよう。――この地下迷宮の“迷いの門”を突破せよ!」

彼女がそう言うと広場の中心からガコンと音を立てて割れる――その先は地下迷宮"迷いの門"の入口であった。

もちろん、広場の中心にいたジークは

「またかよぉぉぉぁぉ」

と叫びながら落ちるのであった。


そして、

「「なんで私達もぉぉぉぉ」」

銀灰色の少女と茶髪の少女も巻き込まれていたことをジークは知らなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ