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舞踏会の日、ロザーラは開催される会場に圧倒されていた。

遠くからでも分かる、荘厳な彫刻に飾られた並々ならぬ大きさの建物に。


「……私、あそこで踊るのよね」

「そう緊張するな。気持ちは分かるが縮こまったままだと逆に踊れなくなるぞ。それと、間違っても壁の花にはなるなよ」

「分かってますわ、お父様」

「確かに周りは公爵家ばかりだが、中には伯爵家もいる。誘えば断る相手はいないだろう。それにドレスはキングソンで仕立てたんだ。他の者に気後れはしない」

「宝石も立派なのを頂きましたからね」

「お陰で多少、騒ぎにはなったがな。全く、ステリックの野郎め、婚約破棄してからも邪魔しに来るとは……まぁいい。兎に角、最低でも一人以上は誘うんだぞ」

「はいはい、分かってますわよ」


緊張しながらも馬車を降り、受付を済ませて会場に入る。

口では大丈夫と言いながらも、ロザーラはその雰囲気に圧倒されていた。

天井にはシャンデリア、その周りには彫刻で飾られた国の風景が並び、壁には国の王族が描かれている。

ほんと、王家が所有する舞踏館なだけはあるわね。


「それでは、開会の挨拶を始めます」


階段の上にある舞台から始まった開会式、ロザーラは緊張しながらも平常を装いながら聞いていた。

挨拶が終わったら周りの人と親睦を深め、共に踊る人を決めなければならない。

そう考えながら終わるのをジッと待っていると、彼女はとある人の挨拶に驚かさせる。

あの声、聞いた事があるわ。確か最近、王立図書館で出会った宮廷道化師と同じで、でも……。


「……マルカラン王子と同じ」


その後、ロザーラは開会の挨拶をぼうっとしながら聞き流していた。

自分が出会った仮面の男の正体がマルカラン王子だった事実で、頭の中が一杯になっていたからだ。

嘘でしょ!? ……でも、声は仮面の人と同じだし、それに胸元のオッカムと散りばめられたダイヤモンドに飾られたタキシードは私とお揃いだし……兎に角、聞いてみないと!

そう思いながら、開催の言葉が終わって階段から降りてくる王子様に近寄ろうとするが無理であった。

既に王子様へ踊りたい人が真っ先に駆け寄り、あっという間に人だかりに覆われていた。

ロザーラも一緒に詰め寄ろうとするが、人だかりをかき分けて進む無神経さは持ち合わせておらず、仕方なく諦めて他の人と踊ろうと考えた。

あんなに人に囲まれてアタフタしてるもの、私も加わるのは可哀想だわ。


(……とはいえ、私の方も人だかりが凄い事になってるし、何とかしないといけないわね)

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