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ステリックの事を仮面の男に相談してから数日後、私の屋敷に舞踏会の手紙が届いた。


「ロザーラ、いつの間に王子様と仲良くなってたのよ!」

「相手は王子様だ、絶対に失礼のないようにな! 運が良ければ婚約までいけるかもしれないぞ!」


……両親からの熱い応援と共に。

あの人、本当に王子様と話を付けたのね。

ロザーラは自分なんかの為に舞踏会へ誘ってくれた事を嬉しく思いながら、家族と一緒に向かう準備を始めるのだった。


「お父様、ドレスは前のでいいかしら? 手紙には時期が急だから大丈夫って書いてあるけど……」

「駄目だ! 王族が開催する舞踏会なんだぞ! 私が仕立屋と話を付ける!」

「貴女はそんな事よりちゃんと踊れるかを心配しなさい! 勿論、相手は王子様よ!」

「そう言われても……今の私が王子様を誘えるのかしら」


ロザーラはあくまでフランコ侯爵令嬢、公爵家ではない。

王族が相手になるのは基本的に公爵家、もしくは外国の王族だ。

舞踏会でもそれは同じで、王族が踊る相手にロザーラの様な令嬢はいない。

……また、両親の期待を裏切るわね。


「無茶でも誘わないといけないのよ。貴女、このままだと男爵家の爺しか婚約相手がなくなるわよ」

「これが最後の機会だ。逃せば、私も顔でなく条件だけで相手を選ばなければならない。分かっておろうな」

「……努力します」

「それに王子様と婚約が出来れば、あのステリックにも意趣返しが出来る。……全く、我がフランコ家に恥をかかせおって」


両親からの強い期待に慄きながら準備は進み、次の日には早速、王都の仕立屋まで来る事になった。

キングソン、名前に王とついているその店は、王都でも随一の仕立屋だ。

……本来なら、最低でも公爵家からしか客としても扱ってくれない店なのに。

お父様、流石にそれは無茶が過ぎるのではありませんか?

心の中でそう思っても、今になって反対の意を述べる気はロザーラになく、黙って馬車に揺られ向かうがままだ。


「着いたぞ。さて、まずは店に入れるかどうかだが……うん?」


店の前まで馬車が来た瞬間、慌てた様子で店員さんがやって来た。


「これはこれはフランコ侯爵様、随分とお早いご到着で。予定ではもう少し後になると聞いておりましたので迎える準備が出来ず申し訳ございません」

「待て、何の話だ? 聞いておらんぞ」

「あれ? おかしいですね。マルカラン王子から手紙が届いておりまして、そこにフランコ侯爵家をお通しする様に書かれておられたのですが・・・」

「王子だと!? ……あぁ、そういえば手紙が届いていた気がするな、うん。では、中に入らせて貰おう。……ロザーラ、いつの間に王子様と仲良くなったのだ?」


お父様は最後、ボソッとそう呟きました。

……あの宮廷道化師、本当は凄い人だったりして。

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