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「カラン殿がこのように若く可憐な女当主だったとはのぅ」


 ヒックス城の一室でマリーダが、若い女貴族の肩を親し気に抱き抱えて、クンクンと彼女の匂いを嗅ぎながらエロオヤジのように鼻の下を伸ばしていた。


「マリーダ様の方がお綺麗です。わたくしなど足元にも及びません」


 アレクサ王国の貴族の令嬢だったから正直あまり期待してなかったけど、キラキラの銀髪と紅眼の可憐な美女だったとはね。


 これは、マリーダがビンビンに反応してるわけだ。


 面会しているのは、アレクサの第二王子ゴランの従妹に当たるガライア家当主カランだった。


 彼女は、アレクサ王国の反乱長期化策の第二段階に入るためのキーマンである。


「それにステファン殿から聞きましたが、こたびの我が家の参陣免除には、マリーダ様からのご助力があったそうで」


「まぁ、ステファンは妾の義兄じゃからな。か弱い女当主を戦場に送り込むのは可哀想じゃと掛け合ったまでのことじゃ」


「本当に助かりました。お恥ずかしい話ですが参陣に応じていれば、我が家は破産でしたので」


 カランと当主を務めるガライヤ家は、第二王子ゴランの亡くなった母親の実家だ。


 ゴランの母とカランの父が姉弟であるため、姉が王の側室なった際、下級貴族の弟に領地が授けられた。


 その領地を父親の急逝に伴いカランが継いでいる。


 第二王子ゴランからの援助を受け、何とか統治を続けていたらしいが、金策に行き詰まり周囲の領主の意見に流されてエランシア側に鞍替えしたと聞いている。


「妾とカランの仲ではないか。あの程度のことで恩に感ずることはないのじゃ。それに困ったことがあれば、妾に申せ。寄親としてカランの家の面倒はしっかりと見るつもりじゃ」


 マリーダのやつ親し気な雰囲気を出して、カランへのボディータッチを増やしているな。


 男の俺がやると完全にセクハラとか言われるやつだが。


 女でもセクハラとなるんだろうか。


 カランは、マリーダが両刀使いだとは思ってないようで、親し気な態度を信頼の証だと誤認しているように見えた。


 残念だけど、そこの生物は可愛い女の子も大好物なのよね。


「困っておることはないか?」


 まぁ、カランがヒックス城にきたのは困ったことがあるからなんだけどね。


 それをマリーダも俺から聞いて知ってる。


 でも、わざとカランに聞いてるのさ。


 自分が彼女の味方だと印象付けるために。


 そういうところでは、無駄に悪知恵が働く。


「実は……新たに寄親になられたマリーダ様にはとても申し上げにくいのですが……。ここに来る前にステファン殿に、領地の管理不行き届きを申し渡され、領地を取り上げられてしまいました」


「それは酷い話じゃのぅ。せっかく、妾が参陣せんでよいようにと手を回したのに」


 マリーダのやつ、自然な感じを装ってカランのおっぱいの具合を確かめるように触ってやがる。


 まぁ、もともと裏切り一七家の領地はステファンに接収される予定だったしね。


 出兵中の他の家も領地も、じきにステファンが接収して皇帝直轄領にされる予定。


 支配層だった領主とその一族は、魔王陛下からの圧に呑まれ始めたアレクサとの血みどろの戦いで討ち死にする者が相次いでるため、接収領地の管理もそう手間取ることはないはず。


「せっかくカラン殿が妾の寄騎になったのじゃ。領地なしではなにかと生活にも苦労するじゃろう。寄親として寄騎の困窮は見過ごせぬので、このヒックス領を進呈しようと思うのじゃが……」


 マリーダの手がカランのおっぱいから太ももに移動した。


 うちが領有権を持つ領地ランクとしては、SSSからFまでのランク分けでアシュレイ:SSS、アルカナ:S、スラト:C+、ヒックス:E+って感じ。


 山賊討伐の駄賃として魔王陛下からもらったヒックス領は、領地も狭く人も少ないためヒックス城という防御施設以外は特に見所のある領地ではない。


 根無し草になったカランに領地として与えても、うちとしては特に痛手はない。


「わたくしに!?」


「ああ、妾はステファンと違って気前がいいからのぅ。それに領地経営はアルベルトが滞りなくやってくれるはずじゃ。カラン殿はヒックス領からあがる税収で不便の少ないアシュレイで暮らせばよい」


「領地を任せ、アシュレイで暮らすのですか? それでは寄騎としての仕事が――」


 マリーダは、傍に控えていたリュミナスに目線で合図を送った。


 カランの統治能力が皆無なのはリサーチ済みなので、領地こそ与えるものの実務はエルウィン家で取り仕切るつもりだ。


 彼女にはアレクサ国内に作る親エランシア勢力の象徴として頑張ってもらうつもり。


 戻ってきたリュミナスが、例の特製ドリンクを入れたグラスをテーブルの上に置いていた。


「妾の寄騎になったからには、仕事の心配などせずともよい。それよりも長い旅でカラン殿は疲れがたまっておるようだ。そのドリンクは滋養強壮によく効く。毒は入っておらぬのじゃ」


 置かれたグラスに注がれていた液体をマリーダが少し飲み干す。


 そのグラスをそのままカランに差し出した。


 あれ、超絶効くんだよな。


 いやー、マリーダのあのエロオヤジ顔。


 女じゃなかったら犯罪だよ。犯罪。


 こうしてまた美女が一人、性欲大魔神の生贄にされてしまうのは、非常に心苦しいが。


 年若い未婚の貴族令嬢のカランには、頑張ってもらわないとね。


「お気遣いありがとうございます。では、頂きます」


 特製ドリンク効き目が強すぎたのか、差し出されたグラスの液体を飲み干したカランは、マリーダの胸に倒れ込んだ。


「ぬひひ、こちらこそ頂きますなのじゃ。アルベルト、妾は寝室に籠るから後のことは任せる」


 美女としっぽりギシアンできるとか思って鼻の下伸びすぎ。


 まぁ、しっかりとカランの身体と心を掌握してくれたまえ。


 マリーダがカランを抱えて、奥の寝室に消えると、俺は今日の成果を整理するためリュミナスとともに書類仕事に励むことにした。


 しばらくして、嗚咽の声が奥の部屋から漏れてくる。


 同時にベッドの軋む音も聞こえてきた。


「初っ端から、激しいねぇい」


「マリーダ様も戦闘で欲求を発散できてませんでしたし、激しくなるのは仕方ないかと」


 まぁ、それもそうか。


『マリーダ様、このようなことは……おやめください。お願い』


『大丈夫、大丈夫。カランは目を瞑っておけばよい。妾が極楽へ連れてってやるからのぅ』


『女性同士でこのようなこと……いや、いやぁああ』


『口は嫌がっておるが、身体は素直じゃな。ほれ、こんなになっておる』


 奥からエロ漫画のセリフが漏れ聞こえてくるが、今はお仕事に集中。集中。


 山賊討伐もぼちぼち成功。


 数日以内に目標数の捕虜一〇〇〇を達成しそうか。


 捕虜は鉱山に放り込むとして、アルカナに収容施設作らないといけないな。


 緊急優先案件っと。


 無料労働者とはいえ、簡単に使い潰すのはもったいない。


 仕事を続けているが、奥の部屋からはカランの喘ぎとマリーダの囁く声が聞こえ続けている。


「はぁはぁ。いやあぁ、助け――」


 急に奥の寝室のドアが開き、身体中にキスマークがついた真っ裸のカランが、息も絶え絶えにはいずりながら出てきた。


「まだ、夜は長いのじゃ。カラン」


 肉食獣の目をしたマリーダが、部屋の外に這い出そうとしていたカランの足を掴む。


「いやぁああああっ! おねがい、助けて! お願いしますっ!」


「カランは妾に全てを委ねればいいのじゃ」


 カランが引きずられドアが閉まると、先ほどよりも激しい喘ぎ声が聞こえてくるようになった。


「激しいねぇい」


「アルベルト様がマリーダ様に蹂躙されたカラン様を癒してあげてくださいね」


「その時は、リュミナスも一緒に頼むよ」


「承知しました。その前にお仕事を終わらせましょう。こちらをどうぞ」


 リュミナスが俺の前に一枚の紙を差し出した。


 アレクサ王ディオス三世崩御。


 待ってた情報が飛び込んできたな。


 病気で臥せっているとは聞き及んでいたけど、ついに逝ったか。


 本当なら神官になって俺が仕えてたかもしれない王だが、運命とは分からんもんだ。


 元母国に想いを馳せながら受け取った紙に書かれた文字に目を落とす。


 第一王子オルグスと第二王子ゴランとで宮廷内の権力闘争激化中。


 アレクサ王国に商売しにいく商人たちを通じて流した『第二王子に叛意あり』が効いてるな。


 大貴族から迎えた正妻の産んだ嫡男と、下級貴族の側室の産んだ次男で、本来なら権力闘争にもならんほど身分差があるんだが、第一王子オルグスが相当の無能クズ王子。


 次期後継者に危機感を抱いた中堅貴族たちが、マシな方のゴランに肩入れして対抗してるって感じ。


 最近のうちへの二度の侵攻は、後継候補の座を確たるものにしようと焦ったオルグス派が画策したと聞いている。


 大軍を動員しての侵攻が二度とも頓挫し、ザーツバルム地方がめちゃくちゃになった責任を追及され、後継指名は混沌化してたのだ。


 王の死で、宮廷内もいっそう荒れるな。


 謀略を絡め無能なクズ王子オルグスにアレクサ王国の政権掌握させて、ゴランをこちら側に抱き込み親エランシア帝国の反政府組織の旗印にすれば内乱が長引きアレクサ王国は大きく勢力を減退させるはず。


「引き続き、アレクサ王宮の動向は詳しく知らせてくれ」


「承知しました」


「さって、仕事は終わり!」


 奥の部屋ではマリーダとカランの荒い息遣いだけが聞こえてきている。


 書類をリュミナスに渡すと、席を立ち奥の部屋に足を向けた。

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