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 そんなわけでマリーダとリシェールを引き連れ大広間に移動すると、当主用に設えられた政務机の上に溜まっている領民からの陳情書の数がとんでもない数になっている。


 本来なら当主だったブレストの仕事だが、筆を握ると蕁麻疹が出るという鬼人族。


 書類仕事をするくらいなら、いくさのための肉体鍛錬に励みたいという人種である。俺もこの二週間で彼らの事務処理能力が欠落していることを痛感しているため、さきほどみたいな力仕事の担当を鬼人族たちには割り振っているのだ。


 戦闘のために生きる一族。戦闘に関しては超絶職人芸を見せる変人集団、それ以外の能力は子供以下、それがこの鬼人族に対して下した俺の結論であった。


 エルウィン家の舵取りを任された者として、人には得手不得手があると理解しているため、長所を際限なく伸ばすことに決めていた。ただし、それは家臣たちだけに限る。


「アルベルト、妾は部屋に帰ってベッドでうたた寝してよいかのぅー。それか、鍛錬をしたいのじゃが」


 机に座るや、すぐに当主率先でサボりか肉体鍛錬をしたいと申し出ていた。


 ブレストが言っていたようにマリーダは鬼人族の中でも更に特殊な人物で、いくさのなかで成長を遂げており、同族からもいくさ女神とも言われるほど野生児丸出しの女性であるのだ。


 しかも、この国の皇帝と乳兄妹であり、その野生児ぶりを溺愛されていると言っていいほどの厚遇を得ている。

 

 野生児らしく奔放な性格のマリーダを実妹のように溺愛する魔王陛下も相当にキテる人なのかもしれない。ただ、実物には会ったことがない。


 マリーダが当主復帰するため、再叙任された目通りの時も当主であるマリーダしか面会を許されず、陪臣に過ぎない俺は城下街でリシェールと買い物をして待っていたからだ。


 野生児であることは理解しているが、家臣たちとは違い、当主として最低限の仕事をしてもらわねば困る。


「印章押しはマリーダ様の仕事だと、昨日も申し上げたはず。リシェール、マリーダ様に印章を」


「はい。心得ました。マリーダ様、こちらを」


「細かいことは嫌いなのじゃ。アルベルトが全部やると申したではないかー。印章打ちなど妾の仕事じゃないのじゃ」


 マリーダが駄々を捏ね始めたが、決済の印章だけは当主が押さねば、帝国の定めた法を破ったことになるので俺の首が飛ぶ。


 内政・外交・謀略全ての権限を与えられてはいるが、それらを最終決定するのには当主の印章決済が形式上とはいえ必要となるのだ。


 領主貴族は領地を正式に継いだ爵位保持者の当主のみが、皇帝から与えられた印章を持つ。数年に一度、帝国から派遣される監察官にこの印章の押されていない決裁書類が見つかれば政務全般を仕切っている俺の責任として詰め腹を切らされてしまう。


 だったら、印象を俺が預かれば問題ないかとも思われるが、爵位保持者以外が印章を持っているのを帝国に気取られれば、即御家取り潰しに発展する重大事になるのだ。


 野生児であるマリーダとはいえ最低限、印章押しだけはしてもらわねばならないのはご理解して欲しい。

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