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013

しばらくして、広場には領主が溜め込んでいた財宝がうず高く積まれ、捕虜になった領主の関係者が数珠つなぎに並べられていた。


 そして、広場の周りには、家から出るように言われた領民たちが恐る恐る集まっている。


「準備万端です。では、マリーダ様。教えた通りに宣言していただけますか?」


「じゃが、これはいくらなんでも……やり過ぎでは?」


「ほぅ、鮮血鬼マリーダ様が二の足を踏まれることを、私が宣言してもよいですが、その場合は帝国軍への復帰は遠のきますよ」


「わ、分かった。言う。すぐに言う」


 トボトボとした足取りで演台の上に立ったマリーダが厳かに宣言する。


「こたびの領主討伐は領民に不義不正を働き、財を蓄えたことに憤りを感じ、義によりエルウィン傭兵団が領主を討った。領主一族及びその取り巻きは奴隷として売り払い、ここにある財貨は全て領民に公平に分配するつもりである。なお、この地は今よりエランシア帝国直轄領となり、魔王陛下の治める地となる。こたびの領民への褒賞は魔王陛下の直裁であることを申し伝えておく」


 戦場で遠くまで聞こえるほどの大声の持ち主であるマリーダが発した宣言に領民たちがどよめく。


 悪徳領主が討たれただけでなく、その蓄えていた財貨を自分たちに分け与えると言っているのだ。


 ここで、俺は一芝居打つことにした。というよりも、扇動すると言った方がいいかもしれない。


「エランシア帝国、万歳!! 魔王陛下、万歳!!」


 一言、発した。


 俺の言葉に反応するように領民たちからは、『エランシア帝国、万歳!! 魔王陛下、万歳!!』の斉唱が始まる。


 領民たちは自らを圧制者から解放した上に、施しまでもらえると理解し、親エランシア帝国派に一瞬で鞍替えしていた。


 こうしておけば、後の統治は楽である。


 緩やかに税を取り立てておけば、前の酷さと対比され、勝手に善政補正がされるのだ。


 皆殺しからの暴行略奪まで行えば、こうはならず、三城を献上したところで治安が悪化し、かえって無駄なコストが掛かり、魔王陛下に負担を与えかねない。


 しかも今回の方法なら、俺たちの腹は痛まない。


 というか、実は一部だけ先に貰っておいたというのが、実情だ。


 脳筋戦士たちも俸給を貰わねばやっていけないので、必要と思われる分を先に取り分け、残った分を領民たちに配った。


 領民からすれば、諦めていた物が多少かえって来るだけでも十分にありがたいはずだ。


 損して得を取る。兵法の基本だ。


 まぁ、損すらしてないけどね。


 それにしてもマリーダ率いるエルウィン傭兵団の実力を過少評価していた。


 マジバケモンクラスの脳筋チート戦士たちだった。


 特にマリーダは噂の方が実物より矮小化されていた。大剣で城門ごと斬り倒すとか化け物じみてるだろ。


 後ろから見ててちょっとだけチビリそうになったわ。 


 とまあ、そんなわけで、ズラ、ザイザンの領主もマリーダたちの剣の錆びとされ、べニアと同じように解放され、国境悪徳領主三人は物言わぬ首となった。

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