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「ほーら。お勉強の時間ですよー?」

「……ダル」

「だるいじゃありません!ほらしゃんとしてくださいな!今日はこの国の歴史から…」


俺…じゃなくて…私は転生者です。過去の名前とか知らない子ですね。

最近理想のショタになる為に俺とか僕とか色々試したんですが、やっぱりオスガキに成り下がるなら俺が一番だと思い一人称は俺になりました。

因みにゲームのときのこのキャラクター……ウィリアムたんの一人称は俺様。

伸びた身長と相まって格好良かったは格好良かったのですが私はショタコンなんで神様に身長伸びないようにお願いしました。

130cm以上は対象外です。その代わり身長一切伸びなくなったけどショタだから良いよね?

ウィリアム君の魂はどっか消えたからよし!私は見た目だけを愛する献身的なオタクです。

因みにじゃあ何故ゲームと同じ様な言動をしているかというと…このショタは悪役令嬢の様な立ち位置なのでショタが苛められるんですよ。

我リョ好ぞ?(私はリョナ大好きです)


「うっせー。メイドなんだから俺に従えよ」

「…そんな事いって。目線が本に移動していますよ?」

「そんなわけねぇだろ!」


この世界の事オタクながらに設定資料読み漁ったから、知らないことがないか調べておきたい。

そんな思いのせいで私の目線が動いているらしい。これには思わずメイドも苦笑。

此処で俺の事笑ったから首って言うのは簡単だけど、それをした所でメリットないからなぁ…今回は許してやる。だが夜私と一緒に寝てもらうからな!

言っておくが私は最初百合目的でゲームを買ったからな!どっちも食えるぞ?


「…おい」

「何でしょうかウィリアム様」

「……お前は何で此処のメイドになったんだ?」

「と、いいますと?」


此処で聞いてるのは後で聞くイベントの前借です。

何かのタイミングで身長が伸びた場合私は自殺することを選ぶので、このお涙頂戴イベントは見ておきたかった。

…自分の視点だとショタが見えないだろうって?馬鹿め。優れたオタクは想像力を発揮することで第三者視点を妄想できるのだ。


「俺って格好良くてイケメンで頭の回転も速いだろ?」

「えぇ。確かにウィリアム様は可愛らしくエロティックで手の掛かる素敵なご主人様だと思います」

「…馬鹿にしてんのか?」


何も間違ってないと思います。今すぐこのオスガキから魂を離脱させて彼女と熱い握手を交わしたいが、それはぐっと我慢。

今此処で魂開放したら唯の屍が一個出来るだけですし、そもそもそんな事出来ないというオチですけどね。


「いえいえ。立派な誉め言葉ですよ」

「はん。どうだかな」

「…ええ。誉め言葉ですよ?」


この意味深な台詞、確かメイドは昔のウィリアムたんが好きでした。

ですが背も伸びて態度も大きくなった結果ウィリアムへの愛が消失、ショタにならなかったという罪でメイドがウィリアムを殺して上半身だけ持って帰るというバッドエンドがありました。

…因みに彼女の場合はどうしようもなく救えない人で、何とネクロフィリア持ちでもあります。私が死んだら有効活用してもらいましょう。


「…んで?」

「で?とはなんという言葉づかいで…」

「どうして俺のメイドになったんだ?お前、そんなにいい奴じゃないだろ」

「っ…」


そう。ゲームのイベントでは一切語られなかった彼女の素性。

ネクロフィリアでショタコンで呪属性という救い様もないど変態が何故此処に来たのかが知りたくてしょうがないのにネットだと憶測しか富んでないという事実。

挙句別に準モブだから良いだろとか言われる始末。その書き込みした奴絶対現実で殺してやろうとか考えてた時期が、俺にもありました。


「…それを知って如何するおつもりですか?」

「如何するもこうするもないだろ。安全ならそのまま、危険なら少し考える」

「……ふふ。昔なら秘密を持っていた時点で諸兄とか言ってましたのに…成長いたしましたね」

「成長…」


むしろ中身変わったから成長じゃなく変化とかだろうなぁ…。

まぁ良いです。私の事より相手の事をさっさと知りたいんです。

どんな理由だっていい。私は唯知識を増やしたいだけなんだ…そう、ショタおにが好きだって理由だけで8○1板に飛び込んだ、若き頃から変わらない知識欲を収めるのだ。


「……私の家はかつて、戦争で負けた国にありました」

「…最近の戦争か?」

「……はい」

「グイズエント帝国か」


グイスエルク帝国、別名糞みたいな掃き溜め。

家から一歩でも歩けば引ったくりに出遭い、もう一度出会う確立が150%。

つまり一度ひったくられて再度荷物を取り返してひったくられた後にひったくりに出会う確立が50%。

最強騎士団で行けば大丈夫だろうと高を括った結果、住民に襲われ全滅した。

宿に強盗がやってくるのは日常茶飯事。むしろ店員が強盗になることも。

強盗を撃退する為の武器が戦争用の毒ガス。因みにガスマスクは子供でも買える値段で売っている。

「其処まで危険じゃないはずだ」と笑って旅行に行った人間が裸一貫で送られてきた。


…因みに史実はもっと酷いらしい。

流石に隣国のこの絶望的な状況に頭を悩ませていた国王が、周囲の国を率いて戦争をし滅ぼした。

……因みに報酬で住民を根こそぎ取られたので、私達リトネスブルグ王国では労働力が足りないという悲しみ。

そしてそれを解決する為に制定されたのが奴隷法らしい。此処までは知ってた。


「…それで働く所も無かった私は、毎日家を襲っては金を得ていました」

「お前の所為で余計帝国民受け入れ反対派が出たらしいな」

「……はい。ですが」

「ですがも何もねぇだろ。んで?俺の所に来た理由は?」

「…簡単です。我が儘子息のメイドに相応しい“強さ”を持っていた。だから私が選ばれたんです」


…目線を見る。

視線が凄く微妙に動いている。つまり嘘を吐いているのだろう。

真実を知りたい。でも此処で無理矢理知るのは自殺行為に等しい。

……頃合いか?


「嘘を吐いてるな」

「っ!?」

「…嘘を嘘と思うから、嘘を吐いた時に視線が動く。真実を織り交ぜたと思うな」

「真実を言ったと思え…ウィリアム家のお言葉ですね」


ウィリアム家では何故か5歳の誕生日を迎えるまで名前を貰えません。

何故かって?それは勿論“間引き”があるからですね。なので五歳になるまでは息子娘が生まれたという情報は外に流れないらしいですよ。

恐いですね。


「…そうだな。じゃあさっさとやるぞ」

「……え?」


さて、勉強をすっぽ抜けるタイミングではけておきましょう。

何故ならこれこそが我が儘俺っ子メス堕ちアへ顔ダブルピースガンギマリショタエンドへの一歩なのです。

自分の身体で“アレ”をするのもちょっとあれですが……まぁはい。エッチなのは最高ですからね。

もう少し年齢上がったら自分で試すんだけどなぁ…


「へ?あ、あの……クビにしないんですか…?」

「俺の専属メイドにしたってのは多分合ってるんだろうし、お前がどうしようもないほど人間として終わってる帝国民というのが分かったからな」

「ヒグ」

「…安心しろ。お前を俺が手放す訳ないだろう」

「……へ?」


やっべ台詞言い間違えた。

本当は危険人物って言いたかったのに間違って告白みたいにしちゃった。

…まぁいいや。後でカバー出来るでしょ。


「お前の実力は知ってるからな。戦闘以外に関しては他のメイドに頼るしかないが……それでも戦闘面においては……どんな奴よりもお前が一番だ」

「わ、私が一番……可愛いウィリアム様の…一番」

「ああ。だから俺の手足となれ。俺を守る肉壁に、俺の道を空ける為の鶴嘴に…俺の道具になれ」


これで良いでしょう。

道具扱いを前面に押し付けておけば間違っても恋愛感情は湧かない筈。

確かショタコン設定はあったけどどM願望は無かった筈だし。

でも結局どうしてメイドになったかは聞けなかったなぁ……なんて思いながら、何かぶつぶつと呟きながら身体をくねくねとしているメイドを放置して私は図書室に向かう。

……さーて。今日は誰が居るかなぁ?


「…愚弟」

「……ちっ」


あ、ツンツンヤンデメンヘラ監禁リョナ天才肌のリリアーヌお義姉様じゃん。

主人公オスメス問わずエンドが殆ど監禁しかないというやばい人。因みにハッピーエンドは薬漬けトリップ幸せエンドだったかな。

グッドエンドで終わらせないと監禁しかされない地獄のお姉さまですが、これは監禁すれば弟はあんなにひねくれなかったという深い悲しみに囚われた上での行動なのです。

主人公にも“良い”性格でいて欲しいから監禁するんだって。不思議だね。


「…まって」

「なんだ」

「今日のお勉強はどうしたの」

「メイドが身体くねらせて天井見てたから放ってきた。……あ、後俺は天才だから」

「…そう」


取り合えず本探すぞー。

今日は何の本を読もうかなぁ…魔法系は生産を読み終わったばっかりだけど攻撃系…

いや此処で魔法系に偏らせても…今の状態だと知識不足で碌な火力出ないだろうしなぁ…この家最終ダンジョンだし。


「……どうしたの」

「何でもねぇ。用が無いなら帰れ」

「弟の困った顔見てたら帰れない。早く」

「何でもねぇよ!」


あ。お義姉様初級向けの本持ってる。

成程、ゲーム時代だと最上級の本しかなかったけど初心者向けの本もあるのか。

…普通の赤い革の本か……あ、あった。

とれ…とれ……とれねぇ!ジャンプしても届かねぇんだけどあの初級本!


「…くそ…」

「はい」

「…っ!?」

「これが欲しかったんでしょ?ほら其処に置いとくから受け取って」

「……」

「でも以外。どうして変容の魔術本?」

「…別に」


理由:戦闘系では一番難易度が低く扱いやすい。後役割が錬金術っぽいから大量の石と等価交換で宝石がとかが作れる。

好感度稼ぎに必要だったから欲しかったんだよね。うん。


「…って。最初に開くのが人工宝石?そんなのでお金稼げないよ?」

「……それが理由じゃねぇよ」

「じゃあ何で?」


取り合えずポケットに入れておいた普通の石を出して等価交換で極小のルビーを作っておきます。

……マジちいせぇ。電子レンジでルビー作ったのと同じくらいの小ささなんだけど。

因みに作った理由は本当にちゃんとあります。


「…魔術を扱う時、自然で作られた石より魔術で作った石の方が力を籠めやすいだろ」

「……でも自然の宝石の方が威力が高くなるよ?」

「扱う難度が違う。具体的には自然宝石を使った場合中級の魔術でも上級の魔術の難度と変わらなくなる。でも…」

「人工宝石の場合は上級が中級に………でも何でそんな事を?」

「お義姉……お前の為だ」

「…?」

「明日、試験なんだろ?」

「っ?!」


そう。明日はお義姉様の試験です。

確か此処で勉強している理由も試験が突破できるかどうか不安だったから。魔法をうまく扱えるかどうか不安だったから。

こんな思いをしているお義姉様を放っておいても何の得も無いので、助けてあげたいんです。ソレダケデスヨ。


「勘違いすんなよ?お前がこの石を使って魔法を使えば威力が弱まる。それを狙ってるんだ」

「……うん」

「それ以外に理由はねぇ。分かったな?」

「…うん。ありがとう」

「……さっき言ったのが本心だ」


よし、このまま行けば嫌われて監禁エンドが高そうですね。

主人公の性別が分からない以上どっちに転ぶか分かりませんが、まぁ別にどっちに転んでも大好物なのでどうでも良いです。


「お姉ちゃんがんばるから」

「別に頑張らなくていいぞ。その分俺が楽になる」

「ありがとう」


あれお義姉様この台詞でもありがとうとかもしかしてどM入ってる?私とお揃いですね。ハート。


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私には自慢の弟がいた。ううん、いる。

今ここに存在している。本当の優しくて可愛い、自慢の弟が。


「…おい」

「ん」

「此処の術式がちげぇ。今まで遊んでたのか?」

「っ?!…ほんとだ」


今までは唯うるさいだけで、とてもじゃないけど“自慢の”なんて呼べなかった。

でも今は違う。口こそ昔から変わらない…ううん、変えてないんだけど…その節々から優しさが溢れている。

こうやって遅くまで付き合ってくれたり、変容の魔術で魔力石を作ったり…あの子は優しい弟に変わった。


「…」

「…やっぱり今のレベルだと……外に狩りに………でも中級まで覚えないから…」


そして変わった弟は、何かを呟く事が多くなった。

変容の本に載っている事ではない。もっと別の…そう、これから先の未来を決めている様な感じだ。

中級には何が載っていたか、なんて…まだ初級しか知らない弟が知ってる筈もない。

それなのにも関わらず、弟は必要な魔術だけを選んで抜き取っている。“どれが要らないかを知ってる様に”


「…愚弟」

「なんだ」

「……貴方は…」


貴方は何者?なんて問いかけを、私はしようとして…止めた。

此処で何者か問い詰めたら弟が何処かに行ってしまうかもしれない。折角優しい弟が。

そんなの許さない。絶対逃がしてあげない。許さない。

この子は私の、私だけの弟なんだ。その為ならなんだってする。そう…なんだってしてやる。


「…おい」

「っ!?な、なに!?」

「何じゃねぇ。貴方で止めやがって…話したい事があるなら今のうちに話せ」

「え、あ…なんで?」

「寝て起きて忘れてたら俺が困るだろ」


その言葉を聞いて、私は漸く理解した。

…この子はきっと、私が受かる事を前提に動いているのだと。この子にとって私は駄目なお姉ちゃんじゃないのだ…と。


「…ううん。お姉ちゃんね?明日が心配だっただけ」

「なんだそりゃ。人口宝石使えば終わりだろ」

「そうだね。でもこれは初めて貰った贈り物だから…大事にしておきたいなって」

「庭の石がありゃ幾らでも作れる」

「それでもだよ」


そう。弟の初めては全部私の物だ。

今まで要らないと思ったのが本当にもったいない。この子は私だけの弟なのに、なんともったいない真似をしていたんだろう。

全部全部全部、私が貰うんだ。だから…


「…お姉ちゃん頑張るからね」

「あ?…ああ」


勝手にいなくなったら、駄目だよ?

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