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№6 新撰組の沖田総司に気に入られてしまった!

高校二年の歴オタ主人公・田島錠は幕末にタイムスリップし、「未来から派遣されたターミネーターによる歴史改変の阻止」という途方もない任務を背負わされてしまう。

どんな素人でも剣の達人になれるオートマチック・オペレーション・ソードを手に、新撰組の剣客・沖田総司から気に入られて何かと手助けを受けるようになった錠は、仲間になったツンデレの女剣士・那奈、爆乳の岡っ引き・お涼、クールな密偵・マキと力を合わせ、幕末の京都に潜む凶悪な敵を探し出し、地球を救わなければならない!

「そんなとこ、行かないよ!俺は帰る!」

「いいえ、帰しまへん!お話聞いてたら、怪しいことだらけ。都で人殺しを続けてる志士の仲間やないと、はっきりわかるまでは大番屋にいてもらいます!」


 お涼は、俺の刀をスッと後ろ手に隠す。

 出入り口に立っている亀吉は、いつのまにか捕り物道具の刺又を手にしている。


「帰る!」

「帰しまへん!」


 立ち上がった俺とお涼は、互いににらみ合う。

 先端がU字形の刺又を俺に向けつつ、亀吉はおろおろしている。


「よお、ましらのお涼さんはこっちかい?」


 ふいと出入り口の引き戸が開き、江戸言葉を使う若い侍が入ってきた。


「沖田様!お役目ご苦労さんでございます!」


 お涼は、侍を見るなり裸足のまま土間に下り、亀吉共々頭を下げる。

 袖口に山形のダンダラ模様を白く染め抜いた水色の羽織。色黒で、目と目の間隔が少し離れ、鼻が低く、平べったい顔をした青年が、ニコニコしながら俺を見る。

 「沖田」だって!?

 資料で読んだことのある顔の特徴……まさか、まさか彼は……。


「君が河原で三人を峰打ちで倒した人?僕は新撰組で一番組の組長を務める沖田総司です」


 やっぱり!


「あの、あの……俺は……棟田万太郎と言います」


 歴史上の超有名人物を生で見て、会話まで交わした俺は、興奮と緊張でドギマギしていた。

 沖田総司は、新撰組創設メンバーの一人であり、剣術では局長の近藤勇や副長の土方歳三にも勝ると噂された天才剣士。池田屋事件の頃から体調を崩し、若くして肺結核で亡くなってしまうのだけれど、今見る限りにおいてはまだそれほど体調も悪くなさそうだ。


「大番屋に運ばれた三人を取り調べに行ってきたんだけど、あいつら、僕たちが追っていた水戸脱藩の不逞浪士だったんですよ。峰打ちにしてくれたお陰で、生け捕ることができ、今後の吟味でも大いに助かる。棟田君、我々に力を貸してくれて、改めて礼を言います」


 ペコリとお辞儀する沖田を見て、お涼と亀吉は明らかに狼狽している。


「いえ、俺はそんな大層なことをした覚えは……」

「ところでお涼さん、そんな訳だから棟田君には早々に引き取ってもらっていいだろ?」

「も、もちろんどす!あたしらもそろそろお引き取り願おうかと」


 お涼が引きつった笑顔で、うなずく。ホントによく言うよ。


「じゃあ、僕が宿まで送って行こう」

「あ、それが棟田はんは、今宵の宿をまだ取ったはらへんようで」

「そりゃいけないな。今は祭りだから、旅籠はどこもいっぱいだろう。よし、僕が懇意にしている旅籠を紹介するよ。無理を言えるかもしれない」


 思いがけない沖田の厚意を受け、俺はお涼から刀と巾着を受け取って、まだ蒸し暑さの残る夜道へと出た。

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