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使用人たちが額を突き合わせて軽い朝食を終えた午前五時、太陽が顔をのぞかせ始めた。暖炉が暖めきれなかった室内に、明るさが宿る。
木のスプーンを置いたフィリナは口を拭ったナプキンをくしゃりと握った。
「バーバラはおもに、埃をはたいて空気を入れ替えてほしいの。お掃除はしてあるとはいえ、埃は毎日のものだから。ニールさんも悪いけど、高いところを手伝ってちょうだい。そのあと、殿下――旦那さまの居間と書斎の暖炉をいつでも使えるようにしてね」
うなずいた妹は、一呼吸おいて首を傾げた。
「待って、姉さん。お客さんの部屋はどうするの? 女の子だよね? お着替えとか手伝わなくていいかな?」
「落ち着きなさいな。それはお迎えしてから、その後の事でしょう。今はお迎えのお支度について話しているの。でも、そうね、決めておいたらあなたは安心するのよね。じゃあ、お手伝いはあなたがやって、バーバラ」
「わかった」
「ハイハイ! 俺、仕込みがあるから午後イチにはキッチンにいたいんだけど!」
赤毛のニールが、そのふわふわした毛先と同じ軽やかに問うたのに、若きメイド長がうなずく。眉の上で真っ直ぐに切りそろえられた前髪が清楚に揺れる。
「それも安心して。いちばん大切なお仕事だもの。でも、もっと大切なのは、三時のお茶会だわね」




