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透明少女と仮面少女  作者: あいまり
第一章:片隅に咲く百合
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第1-8 休み

 翌日。私は、少し重い足取りで学校に向かった。

 茂光さんの言う通り、無理して彼女と話す必要はない。

 けど、昨日借りた服は返さなければいけない。

 帰りの車で事情を姉さんに話し、帰ってからすぐに洗濯して乾燥機にかけてもらい、持ってきた。

 ……茂光さんの服だって知った時の姉さんのニヤニヤ顔は二度と忘れない。


「……あれ……茂光さんは……?」


 しかし、学校に着いても、茂光さんは来ていなかった。

 いつも私より早く来ていたのに……なんでだろう。

 私は鞄を机に掛け、読書を始めた。

 ……なんだろう……茂光さんが来る前までの日常に戻っただけなのに、なんだかすごく……寂しいような……。

 その時、やけに視線を感じた。

 試しに振り向いてみると、そこでは、相変わらずスクールカースト高い系女子達が話していて、でも、たまにこちらをチラッと見ているような気もする。

 あぁ、そっか。茂光さんと私が話しているのがもう日常みたいな感じだったから、私が一人でいるのを見て可哀想とか思っているのだろう。

 むしろ私からしたら、一人でいることの方が普通なのに……。


『影山さんおはよー!』


 っ……。

 唐突に、茂光さんの元気な挨拶が頭を過り、私は無意識にこめかみの辺りを押さえた。


「はい、それじゃあ朝のHRを始めますから、席についてくださーい」


 先生の言葉に、私はハッと我に返った。

 気付いたら全員が着席していて、私は、無意識に隣の席に視線を向けた。

 やはり、茂光さんはいない。私の隣の席だけがぽっかりと空いていて、私は無言でその机を凝視した。


「おはようございます。えー、早速ですが、茂光さんは、今日は風邪で休むという連絡が入っています。他に欠席はありますか?」


 担任教師の言葉に、私は顔を上げた。

 茂光さん、が……休み……? 風邪……もしかして、昨日の雨で……?

 ……私の、せいだ……。茂光さんが、私が少しでも濡れないように、って、自分の分のブレザーまで渡してきたから……。


「―――……では、HRを終わります。挨拶を」

「起立」


 学級委員長の号令に、私は慌てて立ちあがり、それから指示に従って礼をした。

 着席した私は無言で自分の鞄を手に取り、中にあるものを見てため息をついた。


「折角、作って来たのになぁ……」


 そこには、昨日借りた服が入ったビニール袋と一緒に、いつも昼食が少ない茂光さんのためにお礼を兼ねて作った弁当が、ポツンと置いてあった。

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