第1-3 姉
ダメだ……今日はいつも以上に疲れた……主に女子からの視線がきつかった……。
主に転校生による疲労や気怠さを感じながら、私は帰宅した。
「ただいまぁ……」
「おかえり……って、どうしたの? 疲れてない?」
そう言って私の顔を覗き込むのは、私の姉である影山 凛だ。
今、彼女は大学生で、バイトをしつつこの家から通っている。いつかは一人暮らししたいんだって。
「お姉ちゃん……」
「何、学校で嫌なことでもあった? 話聞くよ?」
その言葉に甘えて、部屋着に着替えた私は、リビングで早速茂光さんについての愚痴を零した。
「初対面なのにいきなりグイグイくるし、私はあまり目立ちたくないのに、強引で……」
「へぇ~。そんな子がねぇ」
クスクスと笑いながら、お姉ちゃんは言う。
それに私はムッとした。
「ちょっと、真面目に聞いてる? 私のこれからの高校生活に関わる話なんだけど」
「あぁ、ごめんごめん。ただ……泪はその、茂光さんとやらのことが大好きなんだなぁって」
「は……?」
つい、素っ頓狂な感じの声で聴き返す。
私の反応にお姉ちゃんは微笑み、「だってさぁ」と言って身を乗り出す。
「そんなに茂光さんに構われるのが嫌なら、いっそのことバッサリ切り捨てちゃえば良いじゃん」
「そんなことしたら……派手な子達に、目付けられちゃうよ……」
「茂光さん、話聞いた感じではすごく優しい子みたいじゃない。もし何かあっても、きっと擁護してくれるよ」
「言われてみたら……」
私が納得するのを見て、お姉ちゃんは笑みを浮かべ、私の顔を覗き込んだ。
「でもそれをしない辺り、なんだかんだ、泪はその子のことが大好きなんだろうなぁ……って」
「なっ……そ、そんなわけ、ないじゃん……」
そう答えつつも、私は少し困惑していた。
茂光さんのことは疎ましく思いつつも、やはり、彼女に話しかけてもらって嫌じゃない自分もいるような気がする。
でも……どうなのだろう……。
自分がどうしたいのか、イマイチ分からない。
「まぁ、良いんじゃない? 友達は無理して作るものでもないとは思うけど、いて困るものでも無いからね。話聞く限り茂光さんとやらは良い子っぽいし、姉は大賛成ですよ」
無責任な感じの言い方に、私は無言で頬を膨らませた。
すると、お姉ちゃんはケラケラと明るく笑った。




