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紅の姫は紅煌たる覇道を血で染める  作者: ネコ中佐
第1章 目覚めの王国
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Chapter1-1

まだ、エンジンは動くよ!!


○思い出は束の間の眠りに



『お前が、噂の公爵令嬢か。なかなかの美人だな。そうだ、今夜伽にブレェアァっ!?』


ブクブクと肥え太った同じ公爵家の三男、名前はとうに忘れたが、その顔面につま先をめり込ませて吹き飛ばした。


『なあ、俺のものになれ。女じゃこの社会じゃ生きていけなイグェッッッ!?』


ある時は、無言で足を払い踏みつけて、何かいけない扉を開けさせた、いやなんでもない。



『ほーう、なかなかに整った粒だな。アグラエィン王よ、余はこやつを貰いうkバラゥっ!?』


私は、例え隣国の皇子だろうと道理の通らぬ求婚者にはきつい一撃を送ってやった。


私は、クワイエット公爵家の令嬢として言いよる男は多かった。紅蓮の如き髪、翡翠の双眸、女神の如き肉体美。


生まれた時から、私は腕っ節が異常に強く社交界からは鉄血令嬢アイアン・レディなどと言われるほどだった。


また、読み書きも、教養も自分では知らないくらいすぐ覚え、理解した。家庭教師も泡食っていたと思う。


貴族嗜みの剣術だって、僅か3日で師範を倒してしまい、王宮剣術だってすぐ覚えた。

アグラエィン陛下からは『戦乙女ヴァルキリー』の名誉称号まで貰ってしまった、この時13である。


その他にもいろいろあるが、とにかく何かがおかしいと思うのは当然だった。



●●●


星空と月明かりの下、賑やかに人々の声が聞こえる。


夜空の中でもみえるきらびやかな宮殿。そこから人々の声が集中していた。

女性は皆装飾品をこれでもかと着飾り美しく見せようとし、男性はスーツをきっちり着こなしているものもいればそうでもないものもいる。


ここにいるものは皆この国の貴族たちであり、今日は貴族の子息たちの王族を含めて15歳の誕生日を一斉に祝う日であった。








「起きなさい、エストレア。」

「ウゥン、お父さま?」


どうやら、私は懐かしい夢を見ていたらしい。腕っ節が強い夢、というのはどうかな、と思うのだけれど。


「やあお目覚めだね。調子はどうだい?」


赤みが混じった茶髪をオールバックにし絹で仕立てたスーツを着込んだ男性。男は彼女の養父でありこの国”シェートリンド王国”の四大公爵家の一つ、”クワイエット公爵家”現当主”アーノルド・レヴァン・ウル・クワイエット”と言った。

若くして公爵当主となり優れた手腕で経済、軍備などの底上げに貢献したほどの男である。


「その衣装、似合っているよ。さすが自慢の義娘だ、引く手あまただろうね。」


称賛するアーノルド。義理の娘といえ家族である目の前の”娘”を褒めない父親がいるだろうか?普通はいないだろう。


「ありがとう、お父さま」


素直に称賛を受け入れる彼女。貴族なら恒例のやりとりだったりする。


「旦那さま、お嬢様そろそろお時間ですのでお集まりください。」


我が家の執事を務めるボフォイ・スチュアート。彼の手腕は私の目からしてもかなりのもので彼の入れてくれる紅茶は絶品。渋さに合わせてお菓子を合わせてくれるのも評価は大きい。


「さて、いくよ。誕生日おめでとう、エストレア。」




さて、行きましょう。私達の戦場へ。








会場に入ると、小さくどよめきが広がる。


「戦乙女だ、そうか彼女も15だったか。」


「うーむ、貴族として上に立つものとして当たり前だと思うがやはり大人びている。そそるな……。」


「そろそろ、あの子も婚約者いるのか?いないならうちの息子を勧めてみるか……」


「馬鹿ね、申し出た子息たちがどんな目にあったか忘れたの?」


「いや、あれはろくに話をせずに強引にしたからだろ?きちんと話を通してやれば少しは……-」


「まあ、お姉様よ、なんて綺麗な衣装なのかしら。」


「シンプルなのが逆に綺麗に見えるわ……うう、大丈夫かな。」


「う、うわあああ!!怖い、怖いよぉ!!」


「あ、あいつトラウマ再発したぞ。」


「ほっとけ、あいつが蒔いた種だろう。にしても、やっぱ戦乙女の称号なだけはあるな。なんというかオーラがすごい。」


「ああ、わかる。俺たちも見習わないと。この国を背負うんだからな。」


反応は様々。大人は私と自分のところの子息とどうくっつけるか考えているし、子息や令嬢たちもおおむね同じ感じだ。

中にはトラウマが再発して逃げていったけど。私のせいじゃないよね。


やがて、宮殿の中にある大ホールにシャンデリアが全て灯り国お抱えの演奏楽団がムードを盛り上げる。


使用人たちが忙しなく動き、貴族たちは交流あるものたちと酒が入ったグラスを片手に楽しく談笑している。

貴族の子息たちはそれぞれのグループをつくり、将来の夢を語っている。

私も、我が家と交流の深い男爵家や侯爵家の令嬢達や子息たちと楽しく談笑している。


そんな中王冠を抱いた人物が来たことで静まりかえり同席する宰相が号令をかける。


「一同、臣下の礼を捧げよ!!」


今まで楽しく談笑していた空気に瞬時に対応して目上に対しての姿勢をとる。私も同じように行う。


すると、国王は私達の前に立つと高らかに宣言する。


「諸君、今日はめでたい日だ。そして無礼講だ、存分に楽しんでくれッ。共に夢を語るもよし、野望に燃えるも良し、だ。若き才能ある未来の者達に祝福を贈ろう!」


シェートリンド王国現国王”アグラエィン・リンジェル・バン・シェートリンド三世による開催の言葉をもって盟歴569年命育宮(ウォセレ)の月。今夜、シェートリンド王国祝誕会が始まった。


                          

※誤字訂正

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