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紅の姫は紅煌たる覇道を血で染める  作者: ネコ中佐
序章
7/163

Chapter0-1

これで、転生条件達成。描写が前作では少なめだったので足しました。次、異世界柄側のChapter0-になります。


「ただいま。」


諸葉は慎也や明菜達と別れるとこの東京の中でもそれなりに大きい屋敷に入る。

門をくぐると、竹箒をもって庭を掃除する既に80を超えるよく見知った人物がいて諸葉を見つけるとニコッと笑顔を振りまく。


「おかえりなさいませ、諸葉坊ちゃん。」

「周平さん、ただいま。」


「「「「若様、おかえりなさいませ!!」」」」


続いて、黒い服を着た人たちが諸葉に挨拶をする。

ここ、紅家は血筋としては戦国の世から周囲の街を仕切っていて、明治の初めから影の桜の代紋を担っていたらしい。


つまり、その筋の人、といえば分かりやすいかもしれない。そして、暴力団対策法が強化された今でも、この紅家を取り締まれないわけは、この紅家に代々伝わるあるものが関係しているという。


「あ、周平さん、今日は少し遅くなるから。」

「何故か、とお聞きしても?」


紅家の跡取りなので、少し過保護気味なのがたまに傷なのだ。


「んっとね、あいつ。慎也の家に行くからさ。」

「……………。なるほど、そういうことですか。」


このやり取りもかなり前からやっているので、慎也の家に行くというだけでどういう理由かもわかるというものだ。


「なるべく、遅くなりませんように。今日は旦那様と奥様が揃っていらっしゃいます。」


「わかった。終わったら連絡入れるよ。」


「かしこまりました。」




●●●



「………うわっ!これは、ひどいな。」

「うむ、俺もどうかな、と思うぐらいには。それにここボロいアパートだろ?そろそろ苦情が来るんじゃねえかな、と。」


「これは、来るだろ!!あー!台所放置して!ゴミ袋持ってこい!!弁当は分別しろ!プラと燃えるものを一緒にするな、と言っただろ!!」


諸葉は思った。これは、戦争だ。俺を満足したければこれの10倍は持ってこい、と。



「え、10倍にしていいの?」

「比喩だ、比喩!!」







香辛料の香りが広がり、諸葉と慎也、2人のお腹の音がなる。

作るのは無論、カレー。

というか、ここに来るたびにカレーを作っている気がする。


「なあ、慎也。なんで、カレーだけなんだ。他のものも頼めば作るってのによ。」

「カレーがいいんだよ。長持ちするし、腹に溜まるし。なにより、そこらのカレーより諸葉のカレーが美味いしな。」


正直言って、キモく感じた。作ったのが美味いってのは作った甲斐があるがなにやら背中がうすら寒く感じる。



「うわ、キモいぞ。それ、彼女出来たら言ってやれよ。」

「はっはー、諸葉さんよ、冗談きついぜ?俺に彼女出来てたらこんなことになってねえっての。」

「そうだな、こんな私生活がだらしないと彼女なんて遠い夢だな。」


「勘弁してください………。」


痛い真実を突きつけられて崩れ落ちる慎也。そんな親友、そして、幼馴染の姿に仕方ないなと思いフォローしてやる。


「料理は出来なくても、掃除くらいはこまめにやってればたまらないぞ。それにお前、意外とモテるの知らないだろ?」


「え?」


「うちのクラスの羽山さん、あの人から相談受けたことあってな。」


慎也が目を輝かせて崩れ落ちた体勢から瞬時に距離を詰めてくる。

思わず、払いのけられずたたらを踏んでしまう。


「マジで!?マジなんスっか!?」

「近い!落ち着け!!」


足を払い、払った足と反対の肩をこちら側に寄せるようにすればあら不思議、一回転して倒れる。

ぷげ!?という変な声が聞こえたが気のせいだろう。


そんなことをしていれば、カレーを入れた鍋の近くにあるタイマーが鳴る。取り敢えずは出来上がったようだ。蓋を開けてみれば、少し水っぽいがまさしくカレーである。

それと同時に時刻を見れば既に夜の7時を回っている。


「慎也、時間も回ってきたからな。そろそろお暇するよ。しっかり片付ければ大丈夫だからな?これで何回めだよ、全く……」


「おお、そんな時間か。最近、クソ寒いからな。冬だから当たり前か。道中で転ぶなよ?」

「俺を誰だと思ってるんだよ、お前も知ってるだろ?」


互いに軽口を叩きつつ、諸葉は慎也の住むアパートを後にする。







●●●





「まったく、慎也のやつ私生活をもう少しなんとかならないのか……」


息が白くなる程冷え込む夜道を歩く諸葉はこうして情けない親友の面倒を見始めてかなり立つ。


「あっ…………、雪か、珍しいな。」


はらはらとほんの少しであるが、白い結晶が空から降ってくる。関東圏のヒートアイランド現象が進む首都圏で雪が降るのはかなり珍しい。


そして、だんだんと振り落ちる量が多くなりこの日がクリスマスであればホワイトクリスマスになったことだろう。


「あいつらも呼べば良かったな。」


雪が降るなんて聞いたら子供のようにはしゃいでいる姿が浮かびクスリと笑いたくなる。


「あ、そうだ。周平さんに連絡しないと。」


スマホを取り出すと、連絡先にある周平にアクセスする。プルル………プルル………と間をおいて応答する。


『はい、坊ちゃんですね?かけてきたということは終わったのですな?』

「ああ、今、大通りに出る前の道を歩いてるからさ、迎え頼めるか?」


『かしこまりました。若い者を何人か連れて行きます。』


そういえば、と諸葉は電話の向こう側に今雪が降っている、ことを伝えようとしたがーー


「周平さん、今、雪が降っていrーー


諸葉は次の言葉が出なかった。過剰なまでに基材をのせた軽トラが諸葉のそばを曲がろうとした時荷台に乗せていた基材が自身の上から降り落ちてくる、そんな光景が見えた。


『坊ちゃんーー!?何かあったんですか!?坊ちゃんーー!!?』


投げ出されたスマホから周平さんの明らかに事故が起きたとわかる音に取り乱す声が響く。


運転手が慌てて、基材を取り除こうとして、しかし既に意識が消えゆく状態では無意味だった。


ーー雪の降る、冬のある日だった。


諸葉は消える意識の最後に声を聞いた気がした。


ーーごめんなさい、あなたを利用してしまいます、と。











『昨日、午後7時過ぎ、東京都○○区○○街にある住宅街で、人身事故がありました。被害者は北陵ヶ丘高校の生徒で近くにある指定暴力団『紅家』の長男、紅 諸葉さんで。警察は下校途中で事故に遭遇したとーー』

エンジンが動いている間は早いうちに投下できそうです。

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