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紅の姫は紅煌たる覇道を血で染める  作者: ネコ中佐
序章
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Chapter0-0


次話です。時間があればやって行きたいと思います。


「おい、準備はいいか、諸葉?」

「はぁ、いいよ。慎也、さっさとやろう。授業始まるぞ。」


机を向かい合わせにして2人の男子がなにやら気迫じみた雰囲気を醸し出す。


場所は、東京の一角にある都立穂浪ヶ丘高校、その一年の教室。既に担任は席を外していて、次の授業がこの教室なので生徒たちは思い思いのことをしていた。


向かい合う彼らが手に持つものは、一枚の紙。慎也と呼ばれた男子生徒は目の前にいる腐れ縁に対して闘志を燃やしている。

たいして、諸葉と呼ばれた生徒はやれやれと退屈そうに、けどどこか楽しげな表情で見つめている。


「なあ、だれかジャッジ頼むぜ!」

「どうせ、明菜だろ?幼馴染だし。」

「えぇ〜、またかよ?げへぇっ!?」


文句を言う慎也に振り下ろされる拳骨。振り下ろした真犯人は拳が煙を上げているように見え、額がヒクついている。


「悪かったわね、いつもの人で!」


彼女は、綾城明菜。変則なツインテールで途中から三つ編みにしているためどうやって作っているのか不明だ。


「んで?いつものでしょ?テストの総合点の競争。」

「ああ!!今度こそ諸葉をギャフンと言わせてやるぜ!!」


やや遅れての紹介だが、この意気揚々としている男子生徒は鷹島ときしま慎也しんやガッチリとした肉体持ちで、クラスの中ではかなり高い179㎝の身長に目つきも野獣のように輝いていているが、いつも陽気に笑うクラスのムードメイカー。


そして、見た目通り運動は化け物じみているものの勉学の成績はそこまでよくなかったりする。


「無理だと思うけどな。」

「ドーカン。いつも負けてるじゃない、すごい大差つけられて。」


バッサリ、慎也の自信を打ち砕く発言をしたのが先程から諸葉と呼ばれた男子生徒、紅 諸葉。

野獣の目つきをする慎也と違い射抜くような、三白眼に似た顔つき。


しかし、体格は筋肉質でありながら引き締まっており、傍目からは女性の柔肌にしか見えない。本人はかなり気にしていて、クラスはおろか慎也は明菜の2人にとって禁句である。三人とも幼馴染であり、よく遊んだものだ。


諸葉だけは生まれが少々特殊なもので、まあいわゆる国家に対してコネ持ち、あるいは影から発言することが出来るなどと噂があるが、いわゆるヤクザの一族である。

周りには、武術家の家だと説明しているとのこと。


「では、紙を裏面にして互いに机の上に置くこと。私の合図でひっくり返してね。」


「おうっ!!」

「わかった。」


一方は神妙な顔で、一方はやれやれという感じで合図を待つ。


「じゃ、オープン!!」


「オラァッ!!総合点302点!!」


合図と共に豪快に広げた慎也は自信ありげに鍛えられた胸板、もとい胸筋を張る。


「はいはい、総合点485点。これで通算83対0。俺の勝ちな。」

「はい、諸葉の勝ち。残念ね、慎也。」


「くそおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」


思いっきり膝をついて悔しげな声を出す。周りのクラスメイトはまたか、という感じで微笑ましく笑っている。このクラスではよく起こるので、度々賭けが行われている。無論、賭けにならないのだが。


「おーーい、お前ら。授業始めんぞー。席につけよ?」


授業の担任が来たことで、この競争も終わりを告げることになる。










●●●




「だーーっ!!悔しいぜ!今度こそいけたと思ったんだがなー!!」

「あんたみたいな馬鹿じゃ諸葉に勝てるわけないでしょ?あんたが唯一勝てるのは無駄にでかい体とでかい声でしょうが。」


昼休み。慎也と諸葉、明菜は机をくっつけて購買で買ったパンを食べている。唯一、諸葉だけは弁当だ。ただし、自前。






黙々と食べている諸葉をよそに2人はさらに白熱する。


「だいたい、ほぼ完璧超人の諸葉にあんたの勝てる要素どこにあるの、って話よ。」

「いつか、だ!いつか俺が強いっていってやるんだ、小さい時の約束だからなっ!」


「おい、俺で話を盛り上げるなよ。」


「うるせぇバカ!!仕返しに卵焼きいただきー!!」

「あ!このバカ慎!」


憂さ晴らしなのか、慎也は諸葉の弁当からだし巻き卵を奪う。普段ならば、その手に箸を入れて防いでいるのだが、今回は明菜もいるので馬鹿な争いはアホらしいと気にしていなかったのだが………。


今回のだし巻き卵は自信作だったのでじっくり味わいたいと思っていた矢先だった。




「おい、慎也覚えとけよ?」

「ごめんなさい、許してください!!なんでもしますから!!」


食べ物の恨みは恐ろしい。

静かな怒気を発する諸葉に冷や汗を流す慎也がとった行動はーーー


謝罪と土下座だった。彼曰く、プライドなんてあいつに負けた時から捨てているとのこと。特に怒っているときは。




「ん?いま何でもって言ったわよね?」

「お前じゃねえから!!」








●●●


「終わったーー!!」


チャイムの合図とともに下校の時間になる。この後部活をやっている人はそのまま部活になるが、慎也を含めた三人は帰宅部だ。


「あ、そうだ。なあ、慎也お前最近ちゃんと食っているのか?」

「ぎくっ!」


諸葉に聞かれ、思わず変な声が出たが逆にそれが確信となる。


「食ってないんだな?この前、教えてやったカレーはどうした?」

「うっ!」


「あと、最近、お前ん家行ってないな?掃除とかやってるのか?」

「ひっ!」


両者に流れる空気は、気まずいものになる。そして、先に爆発したのは諸葉だった。


「この!バカ慎也ーーー!!今日は行くからな!徹底的にやる!!いいな!?」


こうして、諸葉は慎也の家に行くことが決まったのだった。

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