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151.ユニオン、始動!

 セレナ主導による、第一回面接の期間はあっという間に通り過ぎ、無事終了を迎えた。

 厳選なる面談の結果、採用されたのはウラライカを含めて五名。

 この五名にはまだまだ終わっていない屋敷の掃除、そして何か用事があった際、訪れた人への応対、及び言伝の受け取りを行って貰う事になった。

 トライアル雇用として一か月間、彼等彼女等にはこのユニオンで働いて貰う事となった。

 その後も雇用し続けるかどうかは、働きぶりと本人の御意向次第である。

 主要な仕事内容は、とにもかくにも掃除である。

 自分達が寝泊まりする個室だけは何とかウラライカが掃除してくれたが、そもそも元貴族の屋敷というだけあり、こんな広い屋敷を一人で掃除しろというのは酷を通り越して無理だ。

 ユニオンの顔とでも言うべきエントランスホールですらまだまだ掃除が終わっておらず、ウラライカが一生懸命掃除を進めている状態だ。

 それに加え、離れに至っては今すぐ使う用事が無い為、完全に放置である。

 こっちに関しては庭の草むしりから始めなければならない程だ。


 離れはまだ手を付けず、ユニオンの本部となっている本宅の方の掃除を進めねばならないだろう。

 急な来客があっても掃除されていなければ客室に案内出来ないし、厨房も掃除しなければ使えない。

 衣食住保障といっても厨房が無ければ料理すら出来ない。

 料理自体はウラライカ達にやって貰うにしても、埃まみれの厨房で料理する訳にも行かず、現状ではどうしようもない。

 今回雇用した面々には、ひたすら掃除をして貰う事になるのは決定済みだ。


「――さて、今回新たにユニオン運営の為に必要な人手を雇用しました。なので、これからいよいよユニオンの本格始動となります」


 セレナがフィーナとミサトに対し、明言する。


「と、言っても。これからこの聖王都でふつーにギルドの仕事こなすだけなんだけどな」


 そのセレナの内容に、ライゼルが要項を追加する。


「そうなの?」

「だってまだ、建てただけのぺーぺーで無名ですし。これからコツコツと名を売っていかないといけないんですよ」

「名を売るといっても、どのような事をすれば良いのでござるか?」

「別に大した事じゃないよ。普段通りギルドで仕事を受けてこなしていけば良いだけよ。その後、鬱陶しくならない範囲で『ユニオン"黒犬(こっけん)"を宜しくお願いします』ってアピールしてくれば良いのよ」

「ふーん、そんなに難しい事じゃないのね」


 人手に関しては、まだまだ不足なのだろうが、一応の体裁程度は整えられた。

 これより、ユニオン"黒犬(こっけん)"は本格的に始動していく事になる。

 その名が売れ、知名度が高まっていけばギルドを中継せずに直接依頼が入るようになる事も考えられる。

 そうなった時に現状の人手だけでは明らかに不足だが、それに関しては知名度アピールをしていくと同時に雇用人数を増やしていく事で対応する事になった。

 

「と、言う訳だ。お前等は今日も汗水流してあくせく働いて来い」

「ライゼルは?」

「俺様はほら、ウラライカちゃんとかにお仕事を教えないといけないからなぁ~。お前等が居ない所で、俺様が手取り足取りうべっ」


 フィーナによる華麗なるかかと落としがライゼルに直撃した。


「で、本当は?」

「仕事教えるのは嘘じゃねーっての……この暴力女が」

「私もそろそろ、働きに出ないと駄目ですからね。一月金貨30枚を稼ぐには、何時までものんびりしてる訳には行きませんから」


 ここまで、事務的な仕事で本来ライゼルもせねばならない事柄は全てセレナに押し付けた状態であった。

 勿論その分だけ給料としてライゼルは金貨を払っているのだが、何時までもその状態という訳にもいかない。

 ユニオンというのは、簡単に言ってしまえば会社である。

 会社という事は、仕事をして金を稼がねばならないのは世の道理だ。


「つーか、今回雇った奴等の給料はお前等の稼ぎから払われるんだからな。お前等が金稼がなきゃあいつ等に払う給料が無いんだぞ? そしてお前等が稼いだ金の一部を支払う事で、お前等が寝泊まりするこの屋敷内の掃除といった身の回りの世話をあいつ等がやってくれるっていう話だ」

「というか、ライゼルが働いてる様子が全く無いんだけど。働け働けって言うけど、そういう自分はどうなのよ?」

「んな一丁前な口利きたかったら、金貨7万5000枚払ってから言ってみろ」


 フィーナの減らず口を封じ込めるべく、ライゼルは淡々と、明確な金額を提示する。

 この屋敷を即金で買い上げるのに使用した金銭は、全てライゼルの懐から出ている。

 ライゼルとセレナが合同で立ち上げたユニオンとは言うが、実際にはほぼほぼライゼルに対して多額の借金をして建立したというのが現状だ。


「ここで働く連中に支払う給料と、この屋敷を買うのに支払った分の返済。これ全部ひっくるめて金貨30枚だ。利子がつかない分だけ滅茶苦茶良心的なんだぞ? ここで寝泊まりしてる以上、お前等は俺に借金している状態だって事忘れんなよ? これすら俺に払えねえってなら、そんな無能をここに置いておく余裕無ぇからとっとと荷物纏めて国に帰りやがれ」

「でもライゼル様。それで本当に帰っちゃったら稼ぎ頭が減って辛くなりませんか?」

「そんときゃ、雇用してる連中の数減らすだけだ。リストラだよリストラ、いざって時に切りやすいように更新方式にしてあんだからよ」

「……社会の闇でござるなぁ。ではそうならないよう、拙者も仕事に励まねばならんでござるな」


 屋敷購入の代金を支払った、ライゼルに対しての返済、そしてこのユニオンで働く事になったウラライカ達に支払う給料。

 それを稼ぎ出す為、ライゼルを除くフィーナ、セレナ、ミサトの三名は各々の仕事をこなしつつ、このユニオンの知名度を上げるべく、今日もまたギルドへと足を運ぶのであった。

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