12-15 襲撃者Ⅲ
氷の腕を生やしたゲオルギウスが突進を仕掛けるのに先んじて、レイが動いた。炎の鎧を推進力にして、一気に距離を詰めるなり、龍刀影打を下から斜めに振り上げた。狙うのは槍の穂先より下だ。
上級モンスターを一撃で粉砕できる破壊力を持つが、流石は神々が所有していた道具。炎の刃越しではあるが、とてつもない硬度と密度を感じ取った。槍という形―――正確には死を司る神の杖―――をしているだけで、まるで一つの世界を相手にしているかのような重さがあった。
武器を破壊するのは不可能だ。
そう判断すると槍をかち上げ、ゲオルギウスの懐に飛び込んだ。持ち手を変えて迫る石突は首をひねって回避すると、カウンターとしてもう一本の影打を振るった。ゲオルギウスは半身を下げて回避しようとするが、レイの手を離れて浮遊する刃は、至近距離で放った矢のように空間を貫く。
「掠めただけかッ!」
飛翔した影打はゲオルギウスの頬を浅く裂く。青い血が汗のように流れるだけだ。
レイは新たに影打を展開しようとするが、風の迫る音と共に吹き飛ばされた。ゲオルギウスの呼び出した竜巻がレイを空高く放り投げたのだ。
回転する渦の中、天地が逆さまになったレイは、ゲオルギウスが竜巻に飛び込むのが見えた。
このまま竜巻の中で叩くつもりか。両足から炎を噴出させ態勢を整えようとすると、薄紅色の極光が竜巻を襲う。
リザの放った熱線が竜巻を叩き切ったのだ。
上昇気流に乗っていたゲオルギウスの体が投げ出されると、リザは次弾を放つ。帯状の光が落下中の怪物を襲うも、振るわれた槍によって一瞬で掻き消された。
「《アイスニードル》」
反撃とばかりにゲオルギウスの魔法が放たれる。
リザの足元が歪むと、鋭い先端を持つ氷の棘が幾つも起立した。足元からの奇襲に、軽業師のような要領で回避するリザだったが、足のふくらはぎが軽く裂けてしまう。
魔法の範囲外に脱出したリザは腰のポーチに手を入れ、回復薬を取り出そうとした。
ところが。
「なるほど。そこに道具を隠し持っているのか」
いつの間にか接近していたゲオルギウスの槍がリザを襲う。精霊剣で弾くことは出来たが、蛇のようにしつこい攻撃にポーチの底が破けた。二重底になっていた道具入れだったが、中身が氷の大地に落ちて砕けた。青い大地に色とりどりの液体が染みとなって広がっていく。
「六将軍最強の男と呼ばれている割には戦い方が陰湿ですね。パーティーの回復役を真っ先に潰そうとしたり、回復手段を奪おうとするなんて」
「回復手段を断つのは戦いにおける常道だろう。……ああ、なるほど。貴様がジグムントの剣を受け継ぐ者か。陛下のおっしゃる通り、奴の構えに酷似している」
似たようなことを学術都市で『魔王』フィーニスから言われたのをリザは思い出した。
あの時と同様に、複雑な感情が心の中で生まれるが、戦闘に集中する。
すると、竜巻から脱出したレイが、影打を背中に複数展開しながら一気に飛翔して来るのが見えた。
ゲオルギウスの背後の光景だが、六将軍は振り返りもせずに嘆息した。
「貴様らの相手を同時にするのはいささか面倒だ。レイ、貴様はこれと遊んでいろ」「《サンダービースト》」「《ウォータースネーク》」
三つの声が一度に放たれると、ゲオルギウスの背後に二種類の怪物が現れた。どちらも人の背丈の五倍近くはある。雷が糸のように絡み合い虎の形を。水が容器に注ぎ込まれたかのように集まり蛇の形を作っている。
物言わぬ魔法の怪物達は上空から真っ直ぐに飛翔するレイに向けて、地上から飛びかかった。回避するには距離が近すぎた。
蛇がぱっくりと開けた口に飲み込まれたレイは、そのまま水の胴体に囚われる。すかさず、雷の虎がレイに向かって突進すると、蛇の全身が雷に包まれた。当然、中で捕まっているレイも雷の餌食となっていた。
「レイ様!」
「おい、余所見をするな。貴様の前に居るのは、『勇者』ジグムントと最も多く切り結んだ男だぞ」
言葉と共にゲオルギウスの刺突が繰り出される。
リザは精霊剣の熱線を推進力に変え、剣を振るう。
刺突を正面から叩き伏せ、距離を詰める。刃で柄を抑えながら相手の指を切断するが、それは氷の腕だ。いつの間にか、捻じれて絡み合っていた不可思議なデザインの槍は二つに分かれていた。ゲオルギウスの右手は、もう一本の槍を握り、リザの首を狙う。横薙ぎの一撃はしゃがんで回避。剣を引く動作と共に体を回転させ、込めた精神力を熱線に変えて下から放った。
だが、熱線を放つ直前、槍の一撃を右腕で受けてしまう。貫くと言うよりかは、槍で押さえつけるような力加減で態勢を固定された為、熱線はあらぬ方向に放たれた。空が一瞬だが薄紅色に染まった。
放った熱線の勢いに身を任せて、槍の穂先から距離を取った。氷の大地に背中から落ちるなり、追撃を回避するために背中の筋力だけで起き上がり、すれ違いざまに一刀を放つ。ゲオルギウスは驚異的な反射を見せるが、肩口から出血を生んだ。
立ち上がり距離を取ったリザは、呼吸を整えるよりも前に攻撃を放つ。
何しろ、間合いは長槍を持つゲオルギウスの方が有利なのだ。このままゲオルギウスに有利な間合いで戦いを続けても消耗するのはリザだ。
精霊剣を振るうと、空中に薄紅色の極光が舞う。
空気が弾け、都合十度の激突が刹那の間におこなわれた。
リザの猛攻は軽々とあしらわれた。
宙を帆布に見立て筆を振るったかのように、薄紅色の線が複雑に絡み合う。全てがゲオルギウスから一定の距離で途切れていた。
「……攻め切れませんね。なんて、隙の無い。ここまで間合いに踏み込めないのは初めてです。今日ほど、自分の才の無さを思い知ることはありません」
ゲオルギウスの槍術は頂点の領域だ。これまで、リザが見てきたどの槍使いからも隔絶された技量を持っている。誰かとの戦闘で傷を負っているため、万全な状態とは言えないが、不足している部分はとてつもない戦いの経験が補っている。
武の道を進んだ者として到達点に辿りついている。遥か高みを見上げるしかない自分が不甲斐ない。
武の極致を垣間見てしまい、こんな戦闘中ではあるが、感嘆の吐息すら零しそうだ。
一方で、ゲオルギウスもリザの技量を素直に褒め称えた。
「そこまで卑下することはあるまい。貴様の技量も悪くない。私と十合打ち合い、武器を壊せなかった者はそれほど多くないぞ。……それも、華美なだけの剣で、よくやる」
精霊剣は過去のエルフが作り上げた宝剣ではあるが、材質は特殊な宝石だ。硬度はそれなりにあるが、矛をぶつけることは想定していない。そもそも、武器というよりも、鑑賞用や儀礼用として生み出された。
前の所有者であるエルフの『英霊』イーフェは、精霊を複数宿して身体能力を上げると、貯めこんでいた精神力を一気に放出して軍勢を薙ぎ払う砲台のような使い方をしていた。
「精神力で剣の表面を強化しつつ、斬撃の際に熱線を推進力として用いることで速度と力を加えている。膂力で私に劣る貴様が、十度撃ちあって崩れない理由はそれだな」
ゲオルギウスの常軌を逸した槍は、どれもが相手の命を一撃で絶つだけの威力がある。死を運ぶ十の攻撃に対して、リザは精霊剣の特性とジグムントの剣術を組み合わせて対抗した。
「ジグムントも似たようなことをしていた。あれの聖剣とやらも、仕組みは知らんが熱線を放つ。それを前提とした剣術を、ここまで再現しているのは驚いた。……だが、ここまでだな。底が見えたぞ、娘」
投げかけられた言葉の重さに喉が引きつる。プレッシャーが一段と強まり、無意識に体の軸が傾く。
「貴様の技量は完成してしまっている。ジグムントの剣術を習得し、似通った剣を手に入れているが、あれが『勇者』と畏怖されたのは剣術に非ず。仲間と認めた者が死に瀕するほど追い詰められた時に発動する、あの技能が、奴を怪物たらしめていた。貴様にそれがあるか?」
罵倒でも挑発でも、嘲りでも無い。ゲオルギウスの言葉にそのような感情の色は微塵も感じられず、武の道を究めた先達が、後に続く者を気遣って声を掛けるかのような気づかいがあった。
リザは、知らずと奥歯を噛みしめていた。
言われるまでも無い。
そんな事は、百も承知だ。
―――自分はここまでだ。
激化する戦いを必死になって駆けずり回り、何度も死線を掻い潜ってここまで来た。幼い頃に習ったジグムントの剣術を愚直に磨き上げ、精霊剣を使いこなせるように鍛錬を重ねた。経験を積み、器を成長させ、遂には上級冒険者へと至った。
でも、分かっている。ここから先へ行くには、超越した力が必要なのだ。
行く手を遮るのは巨大な壁。
あるいは地の底まで続く亀裂。
はたまた水平線しか見えない嵐の大海原か。
なまじ、ここまで来てしまったから見えるのだ。
怪物達が棲む領域がどれほど恐ろしく、どれほど過酷で、どれほど遠いのか。
『勇者』ジグムントが。
『守護者』サファが。
『龍王』黒龍が。
『機械乙女』ポラリスが。
『魔王』フィーニスが。
『聖騎士』ローランが。
六将軍第二席ゲオルギウスが。
そしてレイが居る領域は、リザにとって遠すぎた。
レイは《トライ&エラー》に加え、赤龍の力や『魔王』の影など、超常的な力を幾つも手に入れている。その度に、体が傷つき、血を吐くような思いをし、魂を削るかのような試練を越えている。苦難に見合った対価を得て、到達したのだ。
身近で見続けていた彼が怪物の領域にたどり着くのを、誇らしくも思いつつも、悔しくも思っていた。
今の自分では、いや、未来の自分がレイと同じ領域に到達するという想像すら出来ない。
このまま経験を積んで、技量を磨き、技能を獲得しても足りない。
何をやっても届かない。女として生まれた限界だ。もう、諦めろ。
そんな弱い自分の声が、ふとした時に聞こえてくる。
自分はレイとは違う。
同時に、彼女たちとも違う。
シアラは半分とはいえ魔人種の血を引く。レイと同様に特殊技能を持ち、魔法に対して優れた才能を持つ。このまま成長すれば、あるいは『三賢』マクスウェルと肩を並べる術者に成長するかもしれない。
クロノは元神だ。神の力を失い、人間として転生したが、それでも神の力が復活しないとは限らない。技量自体は未熟だが、歯車を無数に生みだして組み合わせるという力は、成長する余地を残している。
コウエンは言わずもがな。捕食したモンスターの特性や姿形を再現できる能力は破格だ。特に、ミラースライムのコピーは黒龍が相手でも通用した驚異の力だ。ゲオルギウスの右腕すら吹き飛ばした。使い方次第で、更に強くなる可能性がある。
他の仲間だって、足りない力を補うための道を見出している。
エトネは格闘術を向上させるのと同時に、もっと多くの精霊と仲良くなって、召喚できるようにしている最中だと聞いた。まだ、三体同時に憑依させるのも難しいが、成長すれば『英雄』イーフェ同様に複数の精霊を従える者になれるとハヅミは断言していた。
ヨシツネは戦闘面での成長は考えておらず、交渉や諜報活動に専念している。北方大陸に出発する直前まで、レイの秘書としてギルドや商人たちとの会談をこなしていた。レイが余計な人間との争いに巻き込まれず、怪物たちとの戦いに集中できるように動いている。
そして、レティ。
彼女は旧式魔法を習得し、魔法のバリエーションを増やした。これまで以上に複雑化する戦況や怪我から皆を守るためだ。もう、自分の後ろで震えている少女の姿はどこにもない。
自分の強みを磨いたり、あるいは新しいことに挑戦したりしている中、リザは立ち止まっていた。自分の限界点に到達したと理解しているがゆえに、越えられない壁を前に足踏みをしていた。
―――だから、どうした。
「そんな事は知っています。私が、《ミクリヤ》の中で最も凡人なのは、知っていますとも」
ゲオルギウスの金色の瞳が細くなった。
「だから、どうしたというのですか。貴様やジグムントの立つ地平に到達するのは不可能かもしれない。だから、どうした! そんな事は知ったことではありません!」
凡人だからと自分に言い訳して、落ち込んでいたら道が開けるようなことはあり得ない。バルボッサによって戦奴隷にされ、奴隷商人の元で過ごした五年間で学んだ。
何もしなくても、道が勝手に開けることはあり得ない。
足掻いて、もがいて、這いつくばって、のたうち回り、しがみ付くようにして、やっと一歩前進する。凡人に許された、たった一つの答えだ。
晴れた空を思わせる青い瞳に抱いた、ただならぬ覚悟を見抜いたゲオルギウスは、どこか懐かしさを思わせる視線をリザに向けた。
「……似ているな」
「くどいですね。私の剣がジグムントの系譜なのは、すでに承知の筈でしょう」
「いや、剣術では無い。……私に似ている、と思ったに過ぎない」
―――六将軍第二席にして最強の魔人と自分が似ている?
突拍子も無いことを言われ怪訝そうな顔をしてしまうリザに、ゲオルギウスは首を振った。
「忘れろ。戯言にすぎん。……どうやら、レイを待っていても無駄なようだぞ。奴に差し向けたのは、魔法で生み出した物体とはいえ超級精霊に匹敵する戦力だ。幾ら奴とて、早々に倒せるほど容易くは無い」
ゲオルギウスの後方で、レイは雷の虎と水の蛇と戦い続けていた。頭上には暗雲が立ち込め、黒い雨と切り裂くような稲妻が降りしきる中、生存を証明するかのように紅蓮の炎が縦横無尽に駆け回っている。
「誰がレイ様を待っているといった。ゲオルギウス。お前は私が一人で倒す」
「威勢の良い啖呵だが、実力が伴わなければ虚しくなるだけだぞ」
これ以上、言葉は無用とばかりにゲオルギウスの槍が動く。同時にリザの精霊剣が薄紅色の軌跡を残して振るわれた。
直線的な軌道の槍と、曲線的な軌道の剣が刹那の間に交わり離れ、衝突し、逸れていく。
今度はリザがゲオルギウスの猛攻を凌ぐ形となった。
一合交わす度に槍の切っ先がリザに近づいていく。ゲオルギウスの闘気を象徴するかのような前身は止まらない。
リザが動き回って間合いを取れば、まだ希望はあったかもしれない。だが、氷魔法を躱しきれなかった時の負傷が、彼女の足をその場に縫い付けていた。下手に距離を取ろうとすれば態勢を崩し、一瞬で決着が付いてしまう。
技能を使ってゲオルギウスの懐に潜りこむことも考えたが、待っているのは敗北だ。エトネは精霊のアシストがあったから、ゲオルギウスの懐に飛び込んでも生還できた。リザが何の策を用意せずに飛び込んでも、あっという間にやられてしまう。
決して、エトネよりもリザが劣っているという訳では無い。
現に、打ち合いは既に三十を越えている。エトネはもちろん、レイですらゲオルギウスを相手にその場で三十も打ち合うことは難しい。
目も眩むような薄紅色の残光が彼女の必死な抵抗を表している。まるで華を咲かせるような光景に混じり、赤い血が飛ぶ。
三十を超える斬撃の応酬。
リザが無事でいられる訳もない。
十カ所以上の切創から血が噴き出て、足元を赤く汚している。防ぎきれなかった刺突を、リザはあえて体で受けていた。致死に至らず、戦闘不能に陥らず、剣を振るうのに必要な筋肉や神経の無い場所を選んで槍を受け止めていた。
繰り返される槍と剣の衝突で握力も無くなっている。
腕から流れ落ちた血が凍り付いたお蔭で、辛うじて手から離れない。
振り回す体力も底をつき始め、呼吸が続かず視界が狭まっている。
精霊剣の熱線を連続して放ち、剣を振るう推進力に変えて互角の打ち合いを演じている。
気づけば、打ち合いは五十を越えていた。
槍の切っ先はリザの胴まで、拳一つも無いほど近づいていた。
数多の戦士を屠ってきたゲオルギウスは、リザの状態を観察した上で、打ち合いはあと三合で終わると確信していた。
槍を引き戻し、最後の踏み込みと共に刺突を繰り出す。リザの精霊剣が右下から槍を払おうとするも力なく、狙いを逸らすのが限界だ。少女の脇腹下に浅い線が生まれる。
残り二合。
そのまま脇から反対の脇まで切り裂こうとするも、放たれた薄紅色の光帯を防ぐために槍を戻した。眼前まで迫った熱線を消し去ると、ゲオルギウスは異変に気づいた。
持てる力の全てを振り絞って必死に抵抗を続けていて、精根尽き果てた少女の瞳が真っ直ぐに魔人を射抜いていた。
―――いや、違う。
正確には、魔人の後方で戦うレイを見ている。
瞬間、ゲオルギウスの後方で爆音が響く。例えるなら、極限まで熱した水風船が破裂したかのような湿っぽい爆音に、ゲオルギウスは振り返ることも出来なかった。
なぜなら、リザに近づいたというのは、リザの間合いに近づいている事と同じだ。振り向けば、背中から斬られるだろう。
見ていたのはリザだけだ。
青い瞳は、水の蛇に捕まったレイが、蛇の体内で龍刀を引き抜いたのを見た。
強化された龍刀が放つ熱に耐えられなかった蛇は一瞬で弾け飛ぶ。水蒸気爆発に巻き込まれた雷の虎は上半身を失くして地面へと落ちた。
解放されたレイは、迷うことなく龍刀影打をゲオルギウスに向けて全て放った。
紅い糸のような直線を残して放たれた影打に対して、ゲオルギウスは振り返らない。
「《アイスシールド》」
水の蛇を召喚した口から氷の防御魔法が展開される。ゲオルギウスは、自身の背後に炎を阻む氷の盾を複数展開した。それらはあらゆる角度からゲオルギウスを狙っていた五本の影打を弾き飛ばした。
ただ一つを除いて。
「……なに?」
疑問の声がゲオルギウスから漏れた。それも仕方ない。自分を狙って放たれたと思った炎の刀が、何故かリザの掌に突き刺さったのだ。
「決めろ、リザ!」
落雷が地上から天に向かって放たれる。武器を使い果たしたレイが蘇った虎の稲妻を浴びるが、それでもリザを鼓舞する声は届いていた。
六本目の影打を右手で掴んだリザは小さく呟いた。
「ありがとうございます。レイ様。使わせて頂きます」
そう言って開かれた手には、古びた指輪があった。
殺傷能力の無い炎が運んだのはレイの切り札だ。
「《超短文・超級・全力全開》!」
指輪に籠められた強化魔法が、リザの消耗した四肢に力を注ぎこんだ。
読んで下さって、ありがとうございます。
次回の更新は16日頃を予定しております。




