10-EXⅡ
『クロノス』
神。時を司る神。年齢不明。レベル測定不能。
儚く、触れれば崩れ去るような人が触れられない美を持つ女神。
エルドラドにおける時間を管理していた神だったが、潜りこんでいた13番目の神による陰謀によって地上へと落とされてしまう。
落ちる最中、記憶を消される自分を取り戻すべく、自身に時間遡行の権能を発動していたが現在のエルドラドに適用されている、神は力を失うというルールとぶつかってしまい、エラーを起こしてしまう。結果として彼女の周囲は古きエルドラドのルールに塗り替えられ、記憶は崩壊と再生を繰り返し扱える権能も限定され、狂った神となってしまう。
本来の彼女は人々との交流を大切にしており、エルドラドを深く愛していた。しかし、無神時代以前の神々が積極的に介入することをあまりよくは思っておらず、自分の権能が時間を操るという重要な物だったこともあり、エルドラドに降り立つのを控えていた。その分、他の神々が管理する世界に、神としての機能を排した状態で訪れる悪癖があった。そのため、『正体不明』による記憶と認識の書き換えによって、自分のせいでレイを死なせたという無理がある設定を受け入れてしまう。
IFの話ではあるが、彼女が精神は狂った状態で神としての権能を完全に使いこなせていた場合は、レイ達に勝利は無かった。
彼女の持つ時間を操る権能は、突き詰めれば運命の選定すら可能。自分の望む未来に繋がる時間軸を選ぶのではなく、自分の望まない未来に繋がる時間軸を取り除くことができる。《ミクリヤ》が勝利するという未来を全て潰すことで、レイを手に入れるという目的が果たされる未来だけが残るという結果になったはず。ただし、その最低限の目的だけを果たす事が出来るため、リザが生き残ったり、シアラだけが生き残ったり、あるいはレイが五体満足で手に入るのか、あるいは死体で手に入るのかという細かい部分にブレが生じていた。
この権能を用いても、エルドラドが崩壊するという運命を変える事は出来なかった。何故なら、彼女が管理する時間の流れの中に、滅びないという結果が無かったのだ。そのために、運命に対する強い影響を持つ『招かれた者』を呼ぶ必要があった。
『カタリナ・マールム』
魔人種。元六将軍第三席。四百五十歳程度。推定LV不明。
知性と狂気を併せ持つマッドサイエンティストにして、純粋と呼べる家族愛を持つ女性。
魔人種から蛇蝎の如く嫌われておきながら、学術都市において研究所を構え、博士として幾つもの研究はっぴょをするという大胆な行動を取る。
目の色を変える眼鏡と髪の色を変化させて変装しており、都市での偽名は『ナタリカ』。
あまりにも安直な偽名のため、彼女の正体に感づいても、あまりの堂々とした姿に思い違いかと周りは納得してしまう。
エレオノールやジョゼフィーヌを姉妹と呼ぶ、『正体不明の娘』の一人で、おとうさまの計画における薬物・魔法技術の開発を専門に行っている。
なのだが、他の姉妹に隠れてレイの魂を研究したり、姉妹の持つ情報網を潰したりと暗躍をする。
その真意は、彼女が持つもう一つの家族へと向けられており……。
『キョウコツ』
人間種。帝国皇室御用達隠密。18歳。LV49。
一族の重みに耐えられなかった影の者。
美人なれど、どこか陰鬱な影が付き纏うタイプ。
ガシャクラの孫娘にあたり、帝国の皇室に重用される一族の出。
父親と祖父が権力争いをした結果、父親が勝利したことで一族における立場が急に上がってしまい、慣れたない立場に悪戦苦闘。その上、父親が別件で死んでしまった事で頭首の座が転がり込んでしまう。
弟が成人するまでの代行として一度は受け入れたが、一族内の不満や分裂を押しとどめるだけの器量は無く、レティ誘拐に失敗した際に一族を離反する。
晴れて自由の身になったのも束の間、次に仕える事になったのは、世界でも指折りな危険人物カタリナ。
彼女が日々開発する謎の薬の実験台や、持ち込んでくるサンプルと言う名の凶暴なモンスターの世話などを押し付けられている。
寝首を掻かれるリスクがある生活と、ツッコミで心労が溜まる生活のどちらが大変なのか悩む毎日を過ごす。
『オーギュスター』
人間種。ギルド冒険者部門統括長。80歳。LV207。
一時代を築き上げた職人気質の冒険者。
老齢の域に達し、デスクワークが中心となってもなお現役にこだわり貫いていた武人。
三人しかいないS級冒険者の一人で、冒険者らしい冒険者と言われている。
チームの高齢化によって解散した際に、自分の仲間は死んでいった者とここに居るお前らだけだと言い、誰ともパーティーを組まない事を決める。それからしばらくは一人であちらこちらの街や村を回り、流れの冒険者として活動をして見聞を広めており、その経験を活かしてギルドを発展させようという野心家。これは権力に固執している訳では無く、ギルドの活動が盤石となれば世界が安定し、より発展するだろうという展望であり、広い視野で物事を見渡せるのは上に立つ者の資質としては不可欠である。S級の地位を返上しないままギルド職員としてのキャリアを積み上げ、数年後には空白だった統括長に就任する手腕を発揮する。
……果たして、それが彼一人の力だったのか確かめるすべはない。
『グラッセ』
大猩々人族。学術都市運営評議会学長。50代。
物静かな賢人の風格を漂わせるゴリラ。
学術都市運営評議会を束ねる学長であり、学術都市における最高責任者。
なのだが、近年はギルドの権力拡大を止める事が出来ず、他国の介入もあって厳しい立場に置かれていた。
元々は、獣人種のルーツを解き明かすという研究を行っていたが、学術都市に残された資料や研究の山を見て、先達たちの足跡が今にまできちんと伝わり、それを次世代に伝える事に目覚めてしまう。研究は後進に譲り、自分は繁栄の賢者となり、学術都市をより良い形で次の世代に渡せるように活動中。
『モランヌ』
人間族。学長付き秘書。20代前半。
眼鏡が似あう、誰もが思い描く理想的な知的美人敏腕秘書。
元々はある商会で働いていたのだが、そこで商会の不正を知ってしまう。生来の気質から見逃す事は出来ず、告発した事で関係者から大変恨まれ、命まで狙われることに。そこを助けたのがグラッセで、今は彼の元で働いている。
『ベルトランド』
人間族。『紅蓮の旅団』ベルドランド班を預かるB級冒険者。二つ名は『破砕』。40代中頃。LV201。
鍛え上げた膂力で敵を粉砕する一騎当千。
ランクこそはB級で留まっているが、実力的にはA級上位のオルドと遜色のない冒険者。
実はファルナの母親が結成した『紅蓮の旅団』の前進にあたるパーティーから所属しているため一番の古株。
ファルナの母親に対する恋心を持っていたが、成就することなくオルドに奪われてしまう。
何時までも未練がましく残っているのもと考えており、ファルナが産まれ、母親が前線に復帰して頃合いを見計らったら抜けるつもりでいたが、母親が死んでしまい『紅蓮の旅団』が衰退するのを目撃してしまう。
その中でも幼い娘を抱え、クランを存続させようとするオルドに火を付けられ、残留を決定。オーギュスター同様、生涯現役を誓っている。
『エスラ』
兎人族と人間族のハーフ。『紅蓮の旅団』エスラ班を預かるB級冒険者。二つ名は『首狩』。LV145.
兎の跳躍力と聴力、人間の精神力を併せ持った高レベルな魔法戦士。
実は、『紅蓮の旅団』に入ったのは割と最近であり、瞬く間に出世した一人。
彼女が『紅蓮の旅団』に入った理由は、ある人物に心を奪われたから。二つ名通りの物静かな憂いを持った佇まいに、戦闘が始まれば苛烈極まる暴れぶりに、エスラは惚れこんでいた。
彼女の視線の先に居るのは、『弓姫』ロータスだった。
ロータスに気に居られるために危険な役目も積極的に受けていたら、周りから信頼されるようになり、それまで班を受け持っていた冒険者が独立する事になったので、空いた班長に就任する事になった。その決定は誰からも反対されなかったことから、全員が彼女の実力と人格を信頼しているのが窺える。
ただし、本人はロータスと離れ離れになるのが嫌で必死に抵抗はした。現在は、年に一回は必ず会えるという立ち位置が、事情があって離れ離れになっている恋人のような関係だと自分に言い聞かせている。
『ギルドの職員ズ』
人間族。ギルド本部職員。20代前半から後半。
酒場でギルドの噂話をぽろぽろとしてしまう、隙のある若者。
年齢も所属している部門もバラバラだが、ギルドに入ったのが同時期のためよくつるんでいる三人組。
冒険者部門で働いている青年が最も熱くその分猪突猛進なきらいがある。商人部門で働いている青年は妻帯者で家を持っている。職人部門で働いている青年は食欲旺盛で割り勘の際は二人からよく突っ込まれる。
『グレゴ・ラングフォード』
人間族。求道者。二十代後半。
神の教えを探究し、神の奇跡に触れる事を願う青年。
無神時代以前に使用されていたサーコートの図柄を手に入れ自分の手で再現したり、13神の痕跡や伝承を求めて王国中を旅している。決まった護衛を持たず、豊富な資金力を持っているため有力貴族の関係者と思われるが……。
後の世では法王庁を作り上げる『初代法王』だが、いまは13神に対して偏執的な愛情を持ったコレクター。
『アンドリュー・モーガン』
人間族。王国男爵。二十代中盤。
大きな存在に翻弄される小さき者。
身の丈に合わない野心に突き動かされて王国中枢に食い込むことができたが、そこで何枚も上手な存在に篭絡されて、一転して使いパシリのような事をさせられてしまう。
自分を粗雑に扱う王やムルリエ、騎士達から敵意を向けられるという状況を全てエイリークに関わったからだと思いこみ逆恨みしている。
そして遂に再会したエイリークに恨みを晴らそうとするが、数か月の間に成長したエイリークに敗北してしまう。地の底に落ちて虫の息だが辛うじて生きていた彼に近づいた存在は、旧『七帝』と呼ばれていた。
彼の明日は本当にどっちだ。
此処まで読んで下さって、本当にありがとうございます。
これにて10章は完結となります。今後の予定に関しましては、近日中に投稿する活動報告にてお知らせします。宜しければ、ご確認ください。




