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試行錯誤の異世界旅行記  作者: 取方右半
第8章 動き出す世界
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8-4 漆黒の鎧

 縦に振った龍刀から炎が走る。それは二十歩の距離を離れた将軍に向かって真っ直ぐ突き進んだ。風と混じり合ったかのように広がり伸びる炎を前にして、将軍は微動だにしない。


 大地に根を張る巨木のように、動くことなく炎に飲み込まれ、観客は悲鳴を上げた。


 紅蓮の炎は純色の黒を飲み込む。だが、その炎を突き破って槍が振るわれると、炎はあっという間に掻き消えてしまった。炎の下から現れた鎧に変化はなかった。高熱で溶けたり、変形したりしていない。


 変化があったのは将軍の視線の先だった。


 レイの姿が舞台上から消えていたのだ。


 瞬間、自分の死角から振るわれる一撃を将軍は感じ取った。炎を目くらましとして使い、龍刀に宿らせた炎を推進剤として背後へと回ったレイの一撃が、将軍を襲う。全身を隙間なく覆う鎧といえど、つなぎ目や、関節の部分は弱いと考えてわき腹を狙う。


 だが、将軍はその一撃を振り返ることなく片手で握る槍で受け止めた。


 鋼と鋼が打ち鳴らす音が周囲を震わす。これが本当の始まりの合図だと言わんばかりに音は広がった。


 止められることも織り込み済みだったレイは、龍刀の一撃と同時に相手の手首に向けて下から膝蹴りを放っていた。しかし、その一撃を防ぐつもりもないとばかりに、将軍はまたしても受け止めた。


 全身を隙なく固めている漆黒の鎧は、ただの膝蹴りを意にも介していなかった。むしろ、片足立ちしてしまったレイの方が隙を生んでしまう。


 龍刀を受け止めているのとは逆の槍がレイの胸を狙う。片足立ちでは躱す事も出来ない。鋭い切っ先を前にしたレイは、どういう訳か避けようとしない。


 その行動に訝しげる将軍が目にしたのは、自らが振るった槍が、胸当てから出現した障壁に受け止められた光景だった。


 《耐久》の加護を持つ胸当てに槍は。その結果が何を意味するのか、レイは理解しながら次の行動に出る。一度詰めた距離を逃さないとばかりに攻撃を続けた。


 龍刀を振るい、足を動かし、攻勢に打って出る。これまでに潜り抜けてきた戦いの数々を、この男にぶつけるかのような剣裁きは、炎のような激しさを有している。


 将軍はその攻撃の数々を、二つの槍で受け止めていく。石の舞台に貼りつけていた足裏を剥がして、常にレイを正面で迎え撃つように細かく態勢を入れ替えながら、炎のような攻撃を完璧に凌いでいく。


 何時しか、攻守が交代していたのを観客たちは気が付いた。


 将軍の持つ二本の槍が、まるで至近距離から放たれる短弓の如き鋭さと速さでレイへと迫る。炎のような激しい攻撃を、風のような鋭さと勢いで蹴散らしていく。


 レイが五合攻撃する間に、将軍は八合攻撃する。


 手数が違う。


 一呼吸の間に増えて行く手数の差によって、龍刀は相手の槍を防ぐことに追われていく。


 横薙ぎの一撃を防いだ瞬間、頭を狙って放たれた二本目の槍。それを手甲で防ぐ。あまりの鋭い一撃に、火花が飛び散り、レイの視界を一瞬だが焼いてしまう。


 火花で白く塞がれてしまう視界。その見えない領域から攻撃が放たれたのを予感して、レイは将軍の間合いから離れた。


 ところが。


 首筋に鋭い痛みが走る。


 一歩、二歩と距離を取ったレイが首に手を当てると、ぬるりとした感触が帰ってきた。見なくても、血で濡れているのは分かった


 龍刀が届かない距離まで下がったというのに、将軍の槍は容易く届いてしまう。


 ここはまだ将軍の間合いだ。


 それに気が付き、しまった、とレイが思っても遅かった。


 本来なら両手で握ってしかるべき長さの槍。それを左右にそれぞれ一本ずつ構えた将軍が、連続で突きを放つ。的確に、流れるような槍捌きだ。それら一つ一つが至近距離から放たれたクロスボウ並みの威力を有している。下手に直撃すれば、体に向こう側が見える穴が出来てしまう。


 レイは龍刀で凌ぎつつ、更に距離を取ろうとする。左右に槍を散し、時にはあえて相手の間合いに踏み込むことで攻撃のリズムを崩そうとし、炎を牽制として放つ。


 だが、それらが全て小細工だと言わんばかりに槍は貫いてしまう。


 一合、七合、十合と数を増やしていくうちにレイの鎧に槍の穂先が掠めていき、金属が削れ、石の舞台へと花びらのように散っていく。


 このままでは心の臓を穿たれるのも時間の問題と、レイがそう判断した時、彼は賭けに出た。


 それまで両手で握りしめていた龍刀を片手で握ったのだ。左手で柄頭を握り、左腕を右肩に回すようにして、龍刀の先端を背中に隠した。


 その行動に、将軍は兜の下で失笑を浮かべた。


 あまりにも見え透いた行動。柄頭まで握る事で間合いを最大限にした、横の大薙ぎをいまからすると相手こちらに教えている。未熟な行動には手痛い代償が必要だと将軍は考え、レイの一撃を弾いたのと同時に間髪入れず次の一撃を叩きこもうと決めた。


 相手の後の先を取る。


 ところが、レイの行動は将軍の裏を掻いていた。


 レイは背中に回した龍刀を、そのまま背後に落としたのだ。くるくると回った龍刀は石の舞台に突き刺さらず、後方へと投げ出された。


 この状況で武器を捨てるという異常な行動に将軍の体は急停止する。後の先を取るつもりでいただけに、出鼻をくじかれたも同然だった。


 致命的ともいえる隙だが、同時にレイに龍刀以外の攻撃手段は無いはずだと将軍は読んでいた。槍の届く間合いで、レイに龍刀以外の中距離攻撃は無い。つまり、まだ此方が仕掛けても十分間に合うだろう、と。


 レイはその思考の隙を突く。


 大仰に振りかぶった左手の影で、右手は特徴的な形をしたダガーを腰から引き抜いていた。


 逆手に握るダガーが紫電を纏わせた。


「雷牙・二式!」


 紫電が急速に収束すると、牙のような鋭い刃となって放たれた。その数は二本。


 一瞬だがレイの行動に気を取られてしまっていた将軍に避ける時間はなく、心臓の付近を狙って放たれた一撃を、腕で受け止める。漆黒の鎧は炎を防いだのと同じように紫電すら簡単に弾いた。


 だが、レイにはそれで十分だった。足を止め、更には防御へと追い込めた隙に龍刀を回収して槍の間合いから離れたのだ。


 荒げた呼吸を繰り返す事で落ち着かせたレイは、将軍が持つ二振りの槍を睨んだ。槍使いとの戦いは何度かあった。《紅蓮の旅団》と共に旅をしていたころは、槍使いのオイジンとも手合わせをしていた。だが、その経験の中には変則的な二槍流は存在していなかった。


 変幻自在の槍の軌道に惑わされ、防戦に追われてしまう。しかし、それも数を重ねるごとに呼吸や、相手の癖が多少なりとも分かってきた。あともう少し続ければ、こちらから攻勢に打って出る事も可能だろう。


 なにより、レイの、将軍の能力値アビリティである。つまり、勝負を分けるのは二つの要素だけという事だ。


 片方は相手に軍配が上がり、もう片方はこちらに分があるのは、これまでのやり取りで証明された。後は、《トライ&エラー》で相手に追いつくだけだ。


「……仕切り直しか。それにしても、驚いたな。まさか、魔道具を二つも持っているとは。炎に雷の二属性。威力も申し分ない、実に良き武具だ」


「褒めてくれるのは嬉しいけど、どうせその後に使い手が未熟だとか言うんだろ」


「ふっ。その口ぶりだと、どうやら私以外にも似たようなことを言われてきたようだな」


「まあね。つい最近だと、あの貴賓席で仏頂面をしている人から言われたよ」


 自分でも自覚していることだけに、他者から言われると余計に傷つくこともある。レイが肩を落としていると、将軍がしかしと続けた。


「しかし、その武具らは貴様によく従っている。修練に励め。さすれば、唯一無二の存在となろう」


「……いい言葉なんだけど、アンタに言われると腹立たしさが先行するのはなんでなんだろう」


「若輩者は先達の言葉に耳を傾けるべきだと思うがな。それが上達の一歩だぞ」


「勝手にほざいてろ!」


 龍刀を構えたレイは、舞台を蹴り、再び将軍へと挑みかかった。







 拮抗した二人の戦いに、集まった民衆は沸き立っていた。一進一退の攻防。冴え渡る武芸の数々。摩訶不思議な魔道具の輝き。


 どれも安全な首都で暮らしている民衆には珍しい物で、彼らは自分たちに出来ない事をするレイと将軍に憧憬と畏怖が入り混じった視線を向け、興奮と感嘆が同居する歓声を上げていた。


 そんな温度の高い観客席で、逆に冷めた空気を漂わせている一角があった。


 それは貴賓席からほど近い、《ミクリヤ》と《神聖騎士団》の面々が並んで座っている場所だ。


 彼らは一人を除いて、表情を険しくしていた。信じられないとばかりに顔を強張らせ、目の前で起きている現実が現実なのか疑っていた。それこそ、魔法で幻術を見せつけられているのだと言われれば納得できる。


「リザ。ワタシの見間違いかしら」


 シアラの声はこれ以上ないぐらい不信と疑心に震えていた。


「主様、互角に戦っているわよね」


「……見間違いじゃないわ。私の目にも、そう映っているもの。レイ様は、間違いなくあの将軍と互角に、それこそ善戦していると言っても良いぐらいに戦っています」


 自らの主が健闘しているというのに、それがあり得ないとばかりに囁き合う二人。それはレティやエトネにしても同様だ。ガヴァ―ナの港町を脱出する際、夜雨が降りしきる中でも帝国の将軍が放つ闘気は鮮明に感じられていた。


 遠目で見るだけで、全身の神経を苛むような苦痛。近くに居れば、心臓が闘気に当てられただけで鼓動を止めかねないほどの存在。


 あとから『聖騎士』ローランと互角に渡り合っていたと聞き、納得してしまう。そんな存在とレイがこのように互角に戦えるわけがなかった。主の事を信頼していない訳ではないが、何かがおかしいと少女らは考えていた。


 同様の事を考えていたのは《神聖騎士団》の面々もだった。


「おい、ローラン。いい加減、儂の疑問に答えろ。どうして、レイ君があの鎧将軍と互角に戦えるのだ。お前と互角にやり合えた相手なのだろう」


 見た目はレイと同年代ぐらいの、しかし喋り方がどうにも老人のような『三賢』マクスウェルの問いかけに、ローランは視線を僅かに向けた。


「マクスウェル。この場合、レイ君の健闘を喜ばしいと評価するべきなんじゃないかな。僕相手に互角だった相手に、彼は互角に渡り合っている。つまり、彼の実力は僕と互角だった、と」


「大戯け。いまこの時にそのような戯言を聞く余裕があると思うてか? きりきり話さんか」


「ふふふ。いつもなら、僕の事を非常識と詰る君からそんな言葉が出るとはね。いや、これはむず痒いが、面白いなぁ。もう少しだけ黙っていたくなるよ」


 ローランの冗談なのか本気なのか分からない態度にマクスウェルが苛立ち、身分を超えて発言しようとするリザやシアラ。


 ところが、彼女らよりも前に動いた者が居た。


「ローラン」


 彼女がしたのは名前を呼んだだけだった。


 だけど、名前を呼ばれた者も、それを聞いた者も皆が、血管に氷を流し込まれたような寒気を感じた。ローランが反対側に視線を向けると、そこには『聖女』と呼ばれているミストラルが座っていた。


 膝に手を当て、揃えた足を斜めにして、にこやかな笑みを浮かべているミストラル。その所作の柔らかさは、春の日差しを浴びた花のような美しさと温かさが同居していた。


 それなのに、どういう訳かローランは震えが止まらなかった。百戦錬磨の男ですら、この場を離れたいと願っていたのだ。


「ローラン。貴方が日頃、マクスウェルに対して感じている不満を晴らしたくなる気持ち。理解できなくもないですが、大概にしてください。……レイ君の命が掛かっている大事な戦い。そこに居る彼女たちも、主の事を心配しているのですよ」


 急に話を振られたリザだが、その通りであると首を縦に振った。


「彼女たちを安心させるためにも、貴方が気付いていることを話してはくれませんか」


「……分かったよ。まあ、話を聞けばなんて事はない。単純な種だよ」


 仕方ないとばかりに呟くと、ローランは将軍の方を指差した。


「謎を解く鍵は二つ。一つはあいつが僕と戦った時、アイツは僕と互角の力を出していた事」


 将軍を指す指を天に向かって伸ばすと、ローランは続いて二つ目の指を伸ばした。


「そして、もう一つがレティシアちゃんの魔法さ」


「ええ? あたしですか?」


 急に名前が出たレティは椅子から飛び上がらんばかりに驚いてみせた。全員の視線を受けてエメラルドグリーンの瞳が忙しなく動く。


「思い出してごらん。ガヴァ―ナの港町。殿として残った僕を助けに君たちは来てくれた。レイ君の作戦が順調に進み、馬車の中に逃げ込んだ僕らを狙い、アイツは何をしたんだい」


 ローランの言葉にレティはあの夜に起きた出来事を振り返る。レティが担当としたのは最後に攻撃が来た場合、それを防ぐための魔法を発動する事だった。


 レイが《心ノ誘導》を発動することで攻撃の軌道を制限し、そこを妨げるように、レティはある魔法を放った。


「あたしは《反射盾リフレクションシールド》を発動して、投げられた槍を


「ちょっと待って、それって!」「ああ、なるほどな。そういう事か」


 不安げに呟かれた内容にシアラとマクスウェルが同時に、異なった反応を示した。シアラは驚きから立ち上がり、マクスウェルは深くため息を吐いて瞑想するかのように瞼を瞑った。


 自分が何か間違った事を口にしたのかとレティはおろおろしながら周りを窺う。シアラは興奮した面持ちで、思いついた事を口にした。


「レティの《反射盾リフレクションシールド》は上級魔法。普通に考えて、ローラン様と打ち合えていた将軍の攻撃を防げるわけないわよ。そんなのあり得ない!」


 シアラの言葉に遅れて理解した者達が息を呑んだ。


 彼女の言う通り、あり得ないのだ。


 ローランの普通の攻撃は上級モンスターや、超級モンスターですら一撃で粉砕できてしまう。そんな人間の攻撃を正面から競り合えるという事は、将軍の一撃も同程度という事になる。


 つまり、あの時最後に投げた槍の一撃も、それに同等しているはずだ。なのに、上級魔法である《反射盾リフレクションシールド》が成功したというのは理屈に合わないのだ。同様に、いまレイと将軍が互角に戦い合っている事も理屈に合わない。


 その理屈に合わない部分を合わせる符号を、マクスウェルは口にした。


「つまり、ローラン。お主は、あの将軍が戦う相手に合わせて能力値アビリティを変化させていると思っているのだな」


「おそらくね。これは推測だけど、戦う相手の能力値アビリティをそのまま複写しているんじゃないかな。だから最初は僕と全くの互角だったんだ」


 ローランが口にした結論にリザ達は驚くと共に納得した。なぜなら、それに近いモンスターを彼女らは知っていた。かつて、レイが戦ったミラースライム。戦う相手の姿形、技能スキル、そして能力値アビリティまでをコピーするモンスター。そんなモンスターが居るのだから、それと近い技能スキルや魔道具が存在しても不思議ではない。


 そして、ローランと互角に戦えた将軍と、レイが互角に戦えても矛盾していないのだ。いま、神前決闘に赴いている将軍の能力値アビリティは、レイと互角になっているからだ。


「あの戦いの時、アイツの強さは段階を経て弱くなっていた。初めは僕と互角だったのが、レイ君が参戦した時に一段弱くなった。あっさりと炎の鎖に掴まり引きずり下ろされたんだ。そして、レティシアちゃんたち《ミクリヤ》の者達に助けられ、脱出する際。アイツの投げた槍は《反射盾リフレクションシールド》に防がれる程度まで弱体化していた。おそらく、アイツは戦う相手が集団になると、その集団における平均値に能力値アビリティを合わせているんじゃないかな」


「だとすれば、能力値アビリティを変動する受動的パッシブ技能スキルか、あるいは魔道具を装備しているという訳だな。とはいえ、そんな技能スキル、聞いた事もないし、どうやれば発現できるか分からんな。効果からすればむしろ技能スキルよりも魔道具よりじゃな。となると、あのいかにも禍々しい鎧。あれが種という訳か」


 闇を固めたような鎧。普通なら重すぎて戦うどころか、動く事すら満足にできない全身鎧を身に着けているという事は、その鎧に何か秘密があるのだなとマクスウェルは睨む。つまり、あの鎧は所有者の能力値アビリティを変動する魔道具だと。


 おそらく、レイもガヴァ―ナでの脱出劇を経て、同様の結論に達していたのだろう。変則的な二槍流に間誤付いているが、互角に戦えている事実に驚いていない事からすると、それは間違いないだろう。


 一方でシアラはあれが魔道具かどうか、なぜ気が付かなかったのかと自らを詰った。


 魔人種の血が流れているシアラは、魔道具に宿る同族の血液を感じ取る事が出来る。議事堂ですれ違った時に気が付いていればと不覚を恥じていた。そんな友人を気遣いづつ、リザは自らの驚きを口にする。


「戦う相手に合わせて能力値アビリティを上昇する魔道具。そんな魔道具もあったなんて、知りませんでした」


「そうね。着るだけでローランと互角になるなんて、そんなの反則級じゃない」


 恐ろしいとばかりに呟くリザにミストラルが同意した。どれだけ弱い戦士でも、鎧を身に着ければ即、最強の戦士と同等になる。そんな不条理を可能とするのが魔道具でもある。それを生み出す元となる魔人種の血液を求めて血が流れたのも当然と言えた。


 ところが二人の話を聞いていたローランが表情を険しくてして首を横に振った。


「それは違う」


「違うとはどういう意味でしょうか」


 否定の言葉を口にしたローランに対してリザが不安そうに尋ねる。貴族然とした青年の姿は苦渋に満ちていたのが、余計に不安に拍車を掛けた。


「剣を合わせた時、鎧の魔道具に隠れた、アイツの本当の実力に僕は気が付いた。単に強くなるためだけにあんな魔道具に頼っているだけの弱兵なら、僕は勝てないなんて思わないよ。あの魔道具で隠された真の実力は、はっきり言って僕よりも強いだろうね」


「……ちょっと待て。それじゃ、一体。あれは何のために鎧なんてつけておるんだ。強くなるためではないのか?」


 嫌な予感に胸を締め付けられ、絞り出すように尋ねたマクスウェルに、ローランは恐ろしいことを告げた。


「強さを求めていないなら、答えは一つだ。


読んで下さって、ありがとうございます。

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