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ノズの村 2

 二人が席に着くと村長は話を始めた。


「依頼になるような困りごと、でしたな?」

「はい。モンスターや山賊の退治、土木作業など何でも構いません」

「困りごと……にはまだなっていませんが、気になっていることがあります」

「……と、言いますと?」

「西の森にオオカミの群れが住み着いたようなのです。見てのとおり、私たちはヒツジなどを飼い、その毛で物を作って生計を立てております。これが襲われたりしたらひとたまりもない」

「オオカミに襲われる前に退治してほしい、ということでしょうか?」

「さようです」


 金を稼ぐなら警護役として雇ってもらうほうが儲かるが、そんな金を払う余裕もないのだろう。

 グッドマンは大まかな事情を察し、依頼を引き受けた。


「わかりました。では西の森のオオカミを退治してきます」

「もし、オオカミがすでにいなくなっていても多少の報酬はお支払いしましょう」

「助かります」


 二人は席を立ち、村長の家を後にした。

 家から出てきた二人にちょうど居合わせた村人は顔を背けて去っていく。

 排他的な村に流れ者が長くいついても良いことは一つもない。

 さっさと依頼をこなして村を出ていくのが無難だ。


「ヴァーゴ、聞いたとおりだ」

「チッ、しょうがねえ。さっさと片付けようぜ」


 二人はさっそく村から離れ、西の森へ向かった。




 当該の森はふつうの森だった。

 木々が生い茂り、けもの道を進んでいくと日光が届きづらくなり、薄暗くなっていった。

 グッドマンが手の指先を口に含んでから頭上にかかげた。


「何してやがんだ?」

「風の向きを見ている。オオカミはニオイに敏感だ。風下から移動しないと勘づかれる」

「手馴れたもんだな」

「幼い頃、親父に教わったのさ」

「貴族様の鹿狩りかい?」

「私は平民だよ。猟師の親父に生きる術を教わった」

「ならなんで騎士なんかやっていた?」

「親父が急死してな。狩りの手法を学びきる前に孤児になってしまった。良くしてもらっていた領主様の計らいで剣を学んだ。運良く才能のあった私は騎士として召し上げられたのだ」

「運悪く、の間違いじゃねえのか?」

「このまま野垂れ死ねばそうなる。そうならないように私は復讐を完遂させる責務を負っている」


 地面を注視しながら歩いていたグッドマンは声を潜めた。


「ムダ話は終わりだ。オオカミの足跡がある」


 ヴァーゴが目を凝らして見ても気付かないほどかすかな地面のへこみで判断したようだ。

 グッドマンが手で制するように合図し、自分が先頭を務めることを伝える。

 剣を手に、音を立てないよう注意を払いながら進んでいくと、ケモノの鳴き声とは別のものが聞こえてきた。


「おいグッドマン」

「ああ、誰かが襲われているようだな」

「助けるのか?」

「状況による。私が判断するから君は合わせてくれ」


 複数人の男の声が聞こえるほうへ早足で近づいていった。

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