表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

33/50

背任

 グッドマンから許可が出たため、ヴァーゴはターンウッド商会へ来ていた。

 応接室のソファに座るヴァーゴの前には会長の男が座っていた。


「お前がヴァルゴか? マーカス商会の?」

「ああ、まだ新人だが金が稼ぎてえ」


 ターンウッド商会の会長はずんぐりむっくりに太った目つきの悪い男だった。

 ヴァーゴも悪人面ではあるが、男の表情には金に執着する者特有の意地汚さが滲んでいた。

 ヴァーゴは男にある書類を手渡した。


「マーカス商会で進行中の新商品の企画書だ。こっそり書き写したものだから字が汚えのは大目に見てくれ」

「ほぉ、マーカス商会の新商品ねぇ……」


 男は受け取った書類をじっと見つめ、ニヤリと笑みを浮かべた。


「ちゃんとマーカス商会の印もある。本物だ。この新しいデザインのイス、職人さえ確保できれば俺んとこでも作って売ることができる」

「マーカス商会に先んじて売り出せば利益が出るだろ? そこから俺にも分け前が欲しい」

「お前、いい度胸してんな。せっかくマーカス商会に就職できたのに、こんなことがバレてクビになったらどうすんだ?」

「俺は元冒険者だ。ちまちま机に向かって仕事をするのは性に合わねえ。それなりに稼げたらトンズラするまでよ」

「ハッハッハ! いいねえ! お前、気に入ったぜ!」


 やり方を選ばないヴァーゴは悪人に好かれる素質があるらしい。

 嬉しくも何ともないが、計画に役立つのはありがたい。

 ヴァーゴもニヤリといやらしい笑みを浮かべてみせた。


「今後もこういう書類が手に入ったら持ち込みてえんだが……」

「まあ待て。あまり派手にやるとお前の裏切りがバレちまう。こういうのはたまーにやるのがいいんだよ」

「じゃあ次はいつ頃にやればいいんだ?」

「そうだな……。最低でも三ヶ月は空けたほうがいいな」

「長えな」

「んなこたねえさ。新商品だってそんなポイポイ企画ができるわけじゃないだろ? それをことごとく俺らのほうで出し抜いたらバカだって内通者に気付いちまう」

「それもそうか」

「ああ、そういうことだ。大金を稼ぐにしたって一発ドカンと当てるなんてカジノでもなきゃ無理ってもんだ」


 ヴァーゴはふと歓楽都市エクサリドの件を思い出した。

 目の前の男はドクヘビの息がかかっているのだろうが、エクサリドの話が出てこないところを見るに、まだ情報が広まっていないように思えた。

 エクサリドの襲撃では目撃者は皆殺しにしたため、ヴァーゴたちの顔が割れることはないが、あまりこの計画を間延びさせるのもリスクがあるかもしれない。

 ヴァーゴはターンウッド商会の会長と握手を交わし、ドクヘビ幹部へと繋がる第一歩を踏みしめた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ