魔剣デルフィンとスキル『命取り』
吹雪が吹き荒れる中を二人の男が歩いていた。
目指すは大陸でも最北部の村、ノズ。
投獄されてから時間の経っている現在、二人に必要なのは何よりも情報だった。
「君のスキル『命取り』とはどういうものなのだ?」
「自分の寿命を削るっつうクソ使えねえスキルさ」
「寿命を削る? 言葉通りか?」
「そのままの意味だ。使えば使った分だけ寿命が縮む」
『そこで俺様の力が役に立つってーわけだ!』
二人の男とは別の声がした。
それはヴァーゴの腰もとから聞こえてきた。
「おい、魔剣」
『デルフィンと呼んでくれよ、相棒』
「馴れ合いをするつもりはねえ」
『でもよ、お前さんのスキルと俺様の能力の噛み合いはピカイチだぜ?』
「インテリジェンスソードか……。不思議なものだ」
監獄の獄長が所持していた魔剣は世にも珍しい自我を持つ魔剣だった。
名はデルフィン。
彼の言葉を借りれば、その昔「吸精のデルフィン」という通り名で恐れられた魔剣とのことだ。
魔力を持たないグッドマンには無用の長物としてヴァーゴが所持者となった。
『俺様の見たところ、相棒の能力は命を削る代わりに、その代価として消費した生気に見合ったパワーアップが得られるもんだな?』
「何っ! そうなのか!?」
「ペラペラとおしゃべりな野郎だぜ」
『そう言うなよ、相棒! 俺様は殺した生き物の命を吸い取る魔剣だ。俺様は外の世界を旅できる、お前さんは俺の吸い取った生気を吸収して消耗した命を回復できる。これほど利害が一致してる関係なんて中々ないぜ?』
ヴァーゴは鼻を鳴らして不機嫌をあらわにした。
デルフィンの言うことは一理ある。
これまで寿命を削るという致命的な欠点のあったスキル『命取り』がデルフィンの能力によって使えるものになった。
役立たずなスキルを生まれ持ったヴァーゴは復讐のため、せめてもの攻撃手段として老剣士から剣技を教わっていた。
その努力が思わぬ形で役に立つこととなった。
『魔剣使いを名乗れるなんて名誉なことなんだぜ?』
「馬鹿か。てめえが魔剣だと知れれば俺が魔力持ちだとバレる。俺の目的を忘れてんじゃねえよな?」
『復讐だろ? いいじゃねえか。俺様は所詮は剣、道具に過ぎない。だが意志を持っちまったら話は別だ。剣としてモノを斬りたくてウズウズしてるんだ。その点、お前さんには期待してるんだぜ?』
「なら大人しくしてやがれ。無駄口を叩くようなら谷底にでも捨てていくぞ」
『今度のご主人は剣づかいの荒いこって!』
二人のやり取りを聞いていたグッドマンは思わずこぼれそうになった笑いをこらえた。
「なんだ、グッドマン、何か言いたげだな?」
「ふふ、気にしないでくれ。君たちは意外といいコンビになりそうだと思っただけだ」
『おお、グッドマン! おめえ見る目あるな!』
「冗談じゃねえ」
二人と一本は吹き荒れる吹雪の中を進んでいった。




