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ドクヘビの幹部

 作戦の決行日、すなわちドクヘビの幹部との面会の日。

 例によってヴァーゴとグッドマンは金持ちを装うマントを羽織ってカジノを訪れていた。

 従業員にも話が通っているようで、カジノに入るや否や、地下へと案内された。

 ミーアの前情報通り、地下は地上よりも広大に作られているようでくねくねと曲がりくねった道を連れまわされ、大きな扉の部屋の前に着いた。

 従業員がノックすると中から「入れ」と男の声がした。


「お前さんたちか、俺のカジノで大暴れをしてくれたのは」


 中に入ると中央のソファに眼帯に無精ひげ、長い黒髪を後ろでひっつめた中年の男がテーブルに足先を載せてふんぞり返っていた。

 そばにはヴァーゴを射貫くような視線で見つめるカジノ副支配人のレトル。

 後ろに護衛と思わしき男たちが十人以上。

 その半分ほどはカジノにふさわしくない粗野な格好をしていることからドクヘビの手下と見ていいだろう。


(顔に横一文字のキズだったか?)

(ああ、大ハズレだぜクソが……)


 ヴァーゴの復讐相手はあくまで顔に横一文字の傷のある男。

 この歓楽都市エクサリドを支配するドクヘビの幹部は別人だったようだ。

 男は二人に向かいのソファに座るよう勧めた。


「ひでえ言われようだな。俺たちはただゲームを楽しんだだけだぜ?」

「カジノってのは胴元が儲からなきゃ潰れちまうんだ。知ってたか?」

「そいつは知らなかった。運のいい野郎が儲けるための場所だと思ってたぜ」

「ハハッ、運だけで儲かるならカジノなんて繁盛しねえわな」


 男はそばに立つレトルに小声で「こいつか?」「こいつです」と確認を取った。

 男は両手を広げて、


「俺はラガス、ここの支配人だ。ヴァーゴと言うらしいな。うちのレトルにも腕を認めさせたと聞いた」

「運が良かっただけだ」

「隠さなくていい。この世界じゃ、バレずにイカサマできるやつが勝つんだ。強いやつが勝つ、当たり前のことだろ?」

「カジノでイカサマしていいのかい?」

「お前さんが言ったらしいじゃねえか。バレなきゃイカサマはイカサマじゃねえってよ。俺もその考え方は好きだぜ。強かろうが弱かろうが結局は最後に立っていたやつが勝者だ。どれだけ大きく儲けようが最後にスッちまったら負け。最後まで金っつー命を失わないやつが勝ち。そこを理解してないやつらがのめり込んで墓穴を掘ってあの世行きだ」

「てめえの人生論に興味ねえよ。俺をディーラーとして雇うのか雇わないのか、今日の話し合いはそのためのもんだろ?」

「ハッハッハッハ! ちがいねえ!」


 支配人のラガスはヴァーゴのカラッとした性格がいたく気に入ったようだ。


「ヴァーゴ、お前さんの腕なら文句なしに雇いたい……と言いたいところだが、問題は給金だったな。そっちの男の用心棒だったか?」

「ああ、成金のバカ冒険者の護衛なんてうんざりしてたところだ」

「お、おい、ひどい言いようじゃないか!」

「ハッハッハ! 金を稼ぐなら気分よく稼ぎたいよなぁ? んで、今もらってる護衛の給金はいくらなんだ?」


 ラガスが雇うこと前提で話を進めようとしていたとき、遠くから複数の怒号が聞こえてきた。

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