作戦会議
宿にもどった二人は他のみんなと作戦会議を始めた。
「ヴァーゴ、よくやってくれた。これで作戦は確実なものとなる」
「ようやく作戦開始ってわけか」
『なあ相棒、あの男とのゲーム、どんなイカサマをしたんだ?』
「大したことじゃねえよ。グッドマンから見て盗んだスキル『アイテムボックス』を応用しただけだ」
ヴァーゴが説明するには、この街で売っている新品のカードをすべて買って『アイテムボックス』に仕込んでおき、ディーラーとしてプレイ中に同じ種類のカードから欲しいカードを手のひらの下から取り出し、配ったというだけの話だった。
『なーんだ、タネがわかっちまえばつまらねえイカサマだな』
「小僧、お前ウィリアムのスキルが使えるのか?」とゴランがたずねた。
「何度も見て覚えた」
「にわかには信じがたいな……。スキルとは天賦のもの。通常、他人のスキルを使えるようにはならんのだがな」
「俺は元々、クソ使えねえスキルしかなかったせいで他人のスキルには人一倍敏感なんだ。何度も注意深く見て仕組みを理解すれば、本人ほど上手くはないが劣化した小手先程度のものは使えるようになる」
「ふむ、君が以前、監獄で使っていたスキル『予兆』も元は誰かのスキルだったということか」
「よく覚えてるじゃねえか、グッドマン」
監獄の中でヴァーゴが予感していた脱獄の機会を知らせるスキル『予兆』も元々は彼に剣を教えていた老師のスキル『予知』が原型になっている。
剣の技術を研ぎ澄ませた先に光る師匠のスキルを形だけだが習得してみせたということだ。
ゴランはヴァーゴの他人のスキルをまがりなりにも身に着ける能力を胸の内で称賛した。
「んで、下準備はできたのかにゃ?」
「ああ、問題ない。ヴァーゴがディーラーとなるために、カジノの支配人との面会を取り付けた。支配人がドクヘビの幹部で間違いないだろう」
「そこにクーデター軍の襲撃をぶつけるのだな?」
「そういうことだ。ドクヘビの幹部と面会中にクーデター軍に領主の屋敷を襲撃してもらう。手下がそちらに割かれれば儲けもの。緊急時の隙をついてカジノ地下のドクヘビの幹部および側近たちを暗殺する」
「ついでにカジノの資金も強奪するってわけか。てめえは騎士より強盗のほうが向いてるぜ」
「金はあればあるだけいい。悪党から奪えるならむしろそれは善行だ」
迷いもなく言うグッドマンにヴァーゴはおかしそうに鼻で笑った。
「念のためクーデター軍の団員リストも受け取った。活用の機会はないだろうがトップの名前くらいは頭に入れておいてくれ」
グッドマンが『アイテムボックス』から取り出したリストを全員が簡単に回し読みしていく。
クーデター軍とは名ばかりの市民反抗軍と雇われの傭兵たち。
そこには中年以上の青年団と成人したばかりの若年団とにメンバーが分かれていた。
リストを確認していたヴァーゴは動きを止めた。
「どうした、ヴァーゴ? 何か気になる点でもあったか?」
「……いや、なんでもねえ」
ヴァーゴは特に気にした風でもなく、リストを手渡した。




