カジノ荒らし 3
腹を抱えて笑っていたレトルはきょとんとした顔で答えた。
「あなたが、ディーラーを……?」
「ああそうだ。俺がディーラーをやる」
「それでいったい何が変わると言うのですか?」
「俺がディーラーをやれば必ず俺が勝つ」
「バレないようにイカサマをすると言うのですか? あなた馬鹿ですか?」
再び笑うレトルにヴァーゴは人差し指を突きつけた。
「おいおい、もう忘れたのか? 俺はさっき言ったよなぁ? イカサマはバレなきゃイカサマじゃねえんだよ」
レトルは笑うのをやめ、自信に満ちたヴァーゴの表情を不快そうに見下ろした。
「いいでしょう。そこまで言うならあなたにディーラーを任せます。ただし、イカサマが見破られたら反則金として賭け金の百倍の額を支払ってもらいますよ?」
「構わねえぜ。俺はあくまで実力でてめえに勝つんだからよ」
罰則金まで明示されてなお陰らないヴァーゴの表情にレトルはため息をついた。
ギャンブルにハマった者の中には根拠のない自信を振りかざす者がいる。
レトルはそのような人間を数えきれないほど見てきた。
そして、その手の人間の行きつく先は常に破滅だった。
「どうぞ。もしイカサマをするならくれぐれもバレないようにしてくださいね」
レトルから受け取ったカードを、ヴァーゴは簡単にチェックした。
裏も表も不自然なところなどない。
新品の新しいカードだ。
「細工などしていませんよ」
「始めるぜ」
ヴァーゴはカードを何度もシャッフルした。
手がカードになじむように、くり返しシャッフルした。
レトルと自分の分のカードを配り、小さな動きで自分の手札を確認した。
「カードを引くかい?」
「ええ、いただきましょう」
レトルが一枚引き、ヴァーゴも一枚引く。
今度はレトルが手を横にふり、ヴァーゴも引かなかった。
オープン。
「どうやらわたくしの勝ちのようですね」
「チッ」
「おいおい、ヴァーゴ大丈夫なのか?」
「てめえは黙ってろ」
カードを回収し、何度もシャッフルする。
レトルの視線がヴァーゴの両手とカードに注がれていることを意識し、何度も。
カードを配る。レトルはそのまま、ヴァーゴが一枚引く。
オープン。
レトルの勝ちだった。
その後も三回連続でレトルが勝利した。
「これで二十連勝ですか。ディーラーが変わってもわたくしの強さは変わりませんでしたね」
「…………」
くり返しのシャッフルで手になじんできたカードを配った。
レトルが一枚引き、ヴァーゴも一枚引く。
レトルがもう一枚引く前に、
「賭け金を金貨千枚追加します」
「……本当にいいのか?」
「ええ、勝ちますから」
自信に満ちた笑顔でレトルは新たなカードを手札に加えた。
ヴァーゴもさらに一枚を追加し、勝負の時がきた。
オープン。
「ば、馬鹿な……!」
「残念、俺の勝ちみたいだな」
レトルの手札は目標の数字より一つだけ小さい数字。
ヴァーゴは目標の数字ピタリだった。




