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カジノ荒らし

 翌日以降もグッドマンとヴァーゴはカジノに通った。

 グッドマンが初心者らしく負け越した後、ヴァーゴが参戦してここぞというゲームで大金を賭けて勝利する。

 その手際は見事なもので、一週間も経たない内にカジノ側だけでなく客の間でもウワサになっていた。

『カジノ荒らしのヴァーゴ』などという不名誉なあだ名まで付けられていた。


「き、きた! カジノ荒らしだ!」

「おお、あれがウワサの成金と用心棒……」


 形式上、グッドマンは成金の冒険者でヴァーゴは金で雇った用心棒ということになっていた。

 無論、カジノに剣を持ち込むための方便である。

 二人がいつものようにカードの区画に向かおうとしていたら背の高いスマートな男が声を掛けた。


「これはこれはウィリアム様にヴァーゴ様。本日もよくぞいらっしゃいました」

「私たちはいつの間に名前を覚えられるほどの常連になったのだ?」

「お二人は有名ですからね。本日はそんなお二人に提案がありまして……」

「提案?」

「ここではちょっと……」


 背の高い男は暗についてこい、と言っていた。

 グッドマンはヴァーゴに目配せをした。


「いやあ、どんなお話か楽しみですな!」

「きっとお気に召すかと」


 二人はカジノの奥へとついていった。




 豪華な個室に通された二人は男の言葉を待っていた。

 背の高い男に殺気はない。

 扉の前に立つ筋骨隆々とした男たちも敵意があるわけではなかった。


「さて、お二人にお越しいただいたのは特別なゲームをご提供したいと思ってのことです」

「ほぉ、特別なゲーム?」

「強運なお二人には通常のゲームでは物足りないでしょう。そこで、無類のゲーム好きである私と直接、戦っていただけないかと思いまして」

「お前は何者だ? このカジノの支配人か?」とヴァーゴ。

「これは失礼いたしました。わたくしは本カジノの副支配人レトルと申します」

「副支配人ですか! これはすごい!」


 無邪気なグッドマンの反応に、レトルは射貫くような目つきで二人を睨みつけた。


「……すごいのはあなた方ですよ。うちのディーラーはいずれも一流の者を揃えています。それを赤子の手をひねるかのように打ち負かしてしまうとは」

「私たちには幸運の女神が微笑んでいるようですからな!」


 副支配人レトルはグッドマンを一瞥するとヴァーゴに視線を移した。


「ヴァーゴ様、とおっしゃいましたね」

「そうだが」

「ぜひわたくしと戦っていただきたい」

「え、私は?」

「てめえはギャラリーだってよ、グッドマン」


 レトルの鋭い眼光を無表情に受け流し、ヴァーゴは勝負を受け入れた。

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