歓楽都市エクサリド
エクサリドに着いた一行は安宿に部屋を取り、行動指針について話し合った。
「私は旧友を探す。二人は自由にしていて構わないが、ここは変な輩も多い」
「詐欺師にならず者、面倒ごとに巻き込まれるなというのだな?」
「そんなヘマはしねえよ」
ゴランは魔法銃を磨きながら、ヴァーゴは壁に寄りかかりながら面倒くさそうに答えた。
「軍資金も渡しておく。多少は羽を伸ばすのも良いが、特にヴァーゴ」
「あんだよ」
「ドクヘビへの探りは私の指示があるまで禁止だ」
「チッ」
ヴァーゴは思考を読まれたような不快感に舌打ちをした。
「気持ちがはやるのはわかる。だが、ドクヘビの組織内に君が危険人物として情報がまわれば同行している私まで動きづらくなる」
「目撃者を全員殺せば済む話じゃねえか」
「殺せれば問題はない。しかし、相手は巨大な犯罪組織だ。どんな輩が潜んでいるか、どんな手段で襲ってくるかも分からない」
「臆病風に吹かれたなら故郷に帰ってミルクでも飲んでな」
「口の減らない小僧だな。わしが足の一本でも吹き飛ばしてやろうか」
話の進まないやり取りにしびれを切らしたゴランが割って入った。
豊かな白髪の眉毛の奥から鋭い眼光がヴァーゴを貫く。
その程度で怖気づくヴァーゴでもなかったが、禅問答を繰り返すのにも飽きて言葉を引っ込めた。
「要は私が旧友を見つけ出し、彼女の情報から作戦を立案するまで待機してくれということだ」
「承知した」
「あまり待たせんじゃねえぞ」
金貨の入った革袋をなかば奪い取り、ヴァーゴは部屋から出ていった。
ため息をついたグッドマンにゴランが確認した。
「ウィリアム、本当にあんな小僧が役に立つのか?」
「戦力として使えるのは間違いない。しかし、いかんせん若くて経験不足だ」
「足を引っ張る味方ほど厄介なものはないぞ」
「わかっているつもりだ。もうすこし辛抱してくれ」
ゴランはグッドマンの甘い性格を知っているためか、鼻を鳴らすにとどめた。
宿を出たヴァーゴは煌びやかな街中を経路の確認のためだけにさまよっていた。
いざ事が起これば街の地図が脳裏に刻まれていたほうが動きやすい。
酔っ払いどもが千鳥足で歩き、肌の露出の多い女が客引きをする大通り。
歓楽都市とはよく言ったもので、酒とギャンブルと売春で成り立っている街だ。
いずれにも興味のないヴァーゴにとってエクサリドの街並みは色あせて見えた。
「おにーさん! うちで飲んでかない? かわいい娘もたくさんいるよー!」
娼婦ほど肌を露出していない女がヴァーゴに声を掛けた。
気分は乗らないものの気持ちだけが急くヴァーゴはなんとはなしに返事をした。
「すこしだけなら飲もう」
「わっ! ありがとうございまーす!」
女についていく形でヴァーゴはキャバレーに入っていった。




