魔導具師ゴラン 2
グッドマンは工業都市ダンカランでしか手に入らないものを買いあさった。
復讐に役立ちそうなもの、役立つか分からないが他では手に入れにくいもの。
金に糸目を付けず、片っ端から買っていった。
一週間後、ヴァーゴとグッドマンは再びゴランの店をおとずれた。
「できてるぞ」
まずはグッドマンが依頼した宝石を両替した大量の金貨の回収。
そして本命の鉄の箱。
「解錠はしてある。中身は見ていない」
「助かる」
グッドマンが箱を『アイテムボックス』に収納するのを待って、ゴランが面倒くさそうに声を掛けた。
「ウィリアム、お前、あの都市に行くつもりだな?」
「もちろんだ。商工都市ベールトルード、我が怨敵の巣くう街」
グッドマンの目的地を確認したゴランは大きなため息をついた。
「単刀直入に言う。わしを連れてけ」
「何があった?」
「情報屋から耳にしたんだがな、わしのバカ弟子がちとやらかしたみたいでな」
「おいちょっと待て。俺たちはピクニックをしてるんじゃねえぞ」
話の雲行きが怪しくなり、すかさずヴァーゴが口をはさんだ。
「グッドマン、こんなジジイを連れていくつもりか?」
「なんぞ、ずいぶん失礼なガキだな。ウィリアムも目が曇ったか」
「落ち着け二人とも」
険悪な空気を抑え込み、グッドマンが事情をたずねた。
「ゴラン、君には弟子がいたのか」
「長生きしてればバカ弟子の一人や二人はできるわい」
「馬鹿が馬鹿やって死ぬのはてめえの勝手だろ。俺たちを巻き込むんじゃねえ」
「落ち着けヴァーゴ。彼はこう見えて戦力になる」
グッドマンの言葉を証明するように、ゴランが『アイテムボックス』から細長い筒を取り出した。
穴の開いた先をヴァーゴに向ける。
「バカとクズにはこいつで風穴を空けてやるのよ」
「ゴランは元々、手練れの冒険者だ。私や君よりも踏んだ場数は多いぞ」
「鉄砲玉が俺に効くとでも思ってんのかい」
「ハッハ、これがただの砲銃に見えるならまだまだケツが青いな」
「ヴァーゴ、これは魔法銃だ」
「なにっ……!?」
火薬を炸裂させて鉄の玉を撃ち出す砲銃は強力な武器として広まってきている。
だが、魔力を持つ者だけが扱える魔法銃は別格の強さを持つ。
魔力を弾丸に形成して発射するため装填の手間がかからず、練り上げた魔力によって銃弾の魔法効果を変化させることができる。
熟練の魔導具師にしか作れず、また魔力を自在に操る者にしか扱えない武器。
魔法銃を得物として戦う冒険者など数えるほどしかいない。
「そういうことだ」
「いくら体力が衰えようと、やすやすと倒せると思うなよ、小僧」
「ケッ……」
魔法銃の使い手となれば戦力として申し分ない。
ヴァーゴは不機嫌を隠しもせず、しかしグッドマンに判断をゆだねた。




