してやったり!
『ブッヒャヒャヒャヒャ!』
俺は地縛霊、数年前の朝起きたら死んでた。
多分だけど、その日の夜中に心筋梗塞でも起こしてクタばったんだろうな。
本当なら死んだらそのまま昇天するんだろうけど、俺は生前企てていた悪戯で市の奴等が困り果てたり、侵入して来た馬鹿共が酷い目に合うのが見たくてグズっていたら、地縛霊になってしまったんだ。
俺はそれなりの資産家だった。
地縛霊となった俺が住み着いている此の建物も、地方都市とはいえ県内一の人口を抱える市の一等地に建っている。
まぁ此の建物を建てるのに金を使いすぎて、現金は殆んど残って無かったけどな。
遺産相続人に、弟の息子たち甥が2人に従甥や従姪が1人ずついたけど、皆んな俺の性格の悪さを熟知してたんで相続放棄していた。
そんで固定資産税を払って無かったんで市が此の建物を差し押さえた。
まぁ差し押さえられるのを見越して払わなかったんだけど。
此の建物、届け出的には21階建て高さ60メートルの高層マンションなんだけど、実際には俺の自室があった最上階だけが居住部で、それ以外の地上部と地下40メートルまである建物の内部は複雑怪奇な迷路になっている。
その建物自体もナチスドイツの高射砲塔を真似て造った、壁の厚さが3メートルっていうコンクリートの塊みたいな代物。
だから差し押さえた此の建物を使用するにしても取り壊すにしても、莫大な金が必要になるって訳だ。
今も、建物の中に廃墟ツアーとか称して不法侵入し出口を求めて彷徨っている馬鹿共や、歩道から恨めしげな表情で建物を見上げている市長や市の幹部職員たちの顔を見ながら、してやったりと笑い転げているんだよ。
『ブッヒャヒャヒャヒャ!』




