生かされた男
小さい頃は体が弱く、すぐ風邪をひいていた
幼い頃は重い病気で生死をさまよったらしい
小学校では運動が苦手なくせに遊びまくり
よく車の前に飛び出していた
今思えばよく轢かないでくれたと思う
就職して免許をとって調子に乗ってスピードを出し
危うく事故るところだったが、奇跡的に無事ですんだ
だけど就職運が悪いのか自分に協調性がないのか
夢を追いかけて退職したりみんなと合わずにやめたり
就職先が潰れたりブラックだったりと
職を転々とした
そして今日気付いた
全ては今日のためだったのだ
死にそうになっても死なずに生かされたのも
仕事にまつわるいろいろな経験を得たことも
いい人も悪い人もいろんな人間を見させられたのも
全ては今日のための糧だったのだ
今日のこの状況で働くために天に生かされたのだ
天の意思の助けとなるライトワーカーの一員となって働くために
目の前には地獄絵図が広がっている
空は暗黒になり火の玉が降り乱れ
地は裂け炎が襲い人々は逃げ惑い
海はそれら全てを飲み込んでいる
さあ天よ、望みを、オーダーを
俺はどう働けばいい?
今は避難して静まるのを待て
働くのはそれからだ
ごめん、今日じゃなかったようだ
おしまい