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欲張りな私

須藤の女

ノクターンノベルズに投稿した、

欲張りな女

https://novel18.syosetu.com/n0163ha/

のサイドストーリー

栗山里依のモノローグ

須藤の個人秘書としてセフレとしてキョウコさんを須藤を見ています


 須藤旬、私の上司であるボスが、会社に出社しなくなってしまった。

 まあ、ここは須藤個人の会社なので、社長と私しか所属がない。出社しなくても仕事していれば大丈夫なのだけど、さすがにひと月過ぎると、目立つ。

 須藤にクレームを入れるが

「連絡はすぐ取れる。問題はない」

 とすげなく言われてしまった。


 そうボスである社長の須藤の個人秘書として、須藤の投資会社との折衝を任されてる。須藤自身が、あまり外に出たがらないし、人と会うのを嫌う、所謂、引き籠りの人見知りなので、須藤が便利という事で作ったのだ。知った顔がいた方がほっとするという理由で。まあ、須藤は能力のないやつは嫌いなんで、ココに誘われて嬉しかったし、サラリーも他所へ行かれないよう高待遇。


 今まではそんな事はしなかった。

 何をやってるのかしら。

 私は、須藤宛の個人宛封書の開封と整理を始めながら考える。


 おかしくなったのは、ここ1年ちょっとくらい。お外が怖いとかふざけていたのに、頻々にワインの試飲会とか、お金を投資して欲しい人をモブとか言って茶化してたのに、ベンチャーの会合に出かけてたりしている。

 そしてもう一つの指示、鏑木恭子を探すというのがあった。誰?それ?と思った。

 自慢じゃないけど、私、須藤のパーソナル秘書として、ベンチャー系は無論、ある程度の須藤に関係あるありそうな人物は頭の中にデータベース化してる。それなのに。


 で調べて出てきたリストをSlackにあげとくと。

 それ程あるわけではなく、デザフェス参加者? 深セングループ? 香港お土産クラブ? なにこれ、支離滅裂。という感じ。


 まあいいわ。はいDONE!


 あー須藤が来ないと暇だわ。

 それにひとりだと張り合いがないし、なんとなくお給料泥棒みたいな感じ。


 でも、須藤がいてもいなくても同じようにしている。

 私の毎日はこんな感じ。

 事務所で、午前中は一連のルーチンをやってる。

 面会の申し込み。はいDONE

 パーティーの参加。はいDONE

 そうすると、会社の秘書から連絡が来る。重要なメールと共有。予定のすり合わせをして、須藤に確認し、それぞれに返信をする。

 そうこうするともう昼休み。

 お昼は、須藤が居ればパワーランチのアテンドがある、でも今は居ないので、会社にいる大学時代の友人に連絡して、情報収集を兼ねお昼を一緒に食べる。

 午後は会社の方に行って、今動いてる案件の進捗を見る。見に行かなくても全部分かるだけど、須藤がいないから喋る人いないので、口が退化しそうなので。進捗状況を纏めていると、退勤時間ちょっと前に、須藤が事務所に顔出し、夜の予定があれば同行する。


 外国人のくるパーティーは男女同伴なので、私を連れて行くと一石二鳥って事で。しかしこの頃は、そんなことも少なくなった。


 うーん、今までこんな事しなかったのに、なぜ、何をしているの?

 会社の秘書にもこの頃社長をお見かけしませんねとか言われ、探られてくるし。

 そんな私の方が知りたいよ。


 そういえば、今日会った友人が、会社の持ってる不動産物件を社長が借りてるとか言って、知ってます?とか聞いてきた。

 まあこれどう処理するの?という事でしょう。確認しなくちゃ。

 知ったのが彼女だからいいもの、他の人なら愛人できたとか言いふらされて、週刊誌ネタになるじゃない。もう。


 すると今度、

「暫く出社はしない」

 新しいプロジェクトで動くと。僕はここにいるから、住所を示された。その住所はあの物件のマンション。

 どうしてもとなったら、会社の秘書をよこす様に指示された。お前は来るなと。おかしい。おかし過ぎる、

 夜の会食、パーティは余程のことないと出席しないと。

「はあ?投資会社の社長がそれでいいのですか?」

 と聞くと、スタッフが優秀だかねと、肩をぽんぽん叩いて行ってしまった。

 コレは私をそこに、寄りつけたくない何があると邪推してしまう。


 須藤からの指示はちゃんとしているし、電話にもすぐでる。心配はないけど。不安はある。


 そして半年過ぎると、世間の噂が喧しくなる。姿を殆ど見なくなった為、須藤旬の引退説、闘病説と色々煩い。


 そろそろちゃんと顔を見せないと、会社の存続問題に発展しそう。連絡取ると里依が出ればとか言い出す。


 なんでこんなに無責任になったの〜。


 疑問が、私をそのマンションへ近づけた。


 満遍の笑顔の須藤と隣に年配の女の人と歩いてるのを目撃してしまった。それもスーパーの袋を持って。

だれ? それ、ふと思い出した以前調べる様に言われた人の名前を。それだ。

 

 事務所に戻り、探し当でた先にある名前。鏑木恭子。52歳。52

歳!

 なにこれ。いやー、やめて。こんな歳の人と何?

 バン、バンとパソコンを叩きつるよう閉めた。

 

 心が、サラサラと砂漠になる。私は須藤のなんだったの。単なるセフレだったの?

 目眩がする。

 須藤に確認しないと。

 いやダメ、須藤、好きなもの隠すから。

 できるだけ、こちらで調べる。まず会社登記。そして役員、須藤の金。関係。そしてあの女の素性。


 そういえば、毎週の様に来ていた吉川さんが来てない。おかしい。あの人須藤の金でお酒飲むのが趣味とか言ってたのに、ここ数ヶ月見てないわ。

 なんで気がつかなかったのかしら。もしかして一緒に仕事してるの?


そうこうしているうちに、須藤が趣味の会社を作った知ってる?って聞かれる様になる。


「新規プロジェクトです。なぜ?はあ、須藤が考えることは、たまに凡人の理解を超えることがありまして、はい」


 いつものように答える。本当にこっちが知りたいよ。

 もう須藤を呼び出す。


 なんであんな会社を作ったのか、なんのメリットがあるのか、

 もうちゃんと聞かなくちやー。


 あー、須藤とは大学時代からの付き合いで、この会社に須藤から誘われた。なので社内では須藤に苦言を言える。そして対外的に私は須藤の女。


 その頃、大学一年の須藤は、お勉強大好き、お金大好き、遊びもちゃんとね。というイケイケ系の起業塾みたいな交流サークルにいた。


 須藤自身はパッとしないし、経済学部なのに、プログラミングとかしている変わった学生だった。


 ただ、話題のお店とかのチェックは欠かせないらしく、よく行くみたいで、かわいいカフェの時に声をかけられて一緒に行った。

「なんかデートみたい」

なんて言ったら、

「栗山さんもそんな乙女みたいなこと思うんですね。驚きました」

「乙女ではいけないんですか?」

と声を荒げたら、

「いけないとかでなく、単に驚いただけで、栗山さんって、そういう男女ものバカにしていましたよね、だから」

私は同世代の男子が苦手だ。中学まで私立の女子校だった所為なのだけど、高校で隣に男子が座るだけでビクビクしていた。

大学生になってからは、地方から東京に来た学生もいて、はあ? お前ら本当に大学生って感じで、幼く見えて、同学年で付き合い始めたクラスメイトを馬鹿にしていたのは内緒だったのに。

「なんで気がついたんですか?」

「あー、栗山さんの態度って羊系、所謂、草の男子からすると怖過ぎですよ。だからね。その辺の男子は、羊なんで連んでるで、すぐ伝わり、みんな遠目にみてますよ」

気がつきませんでしたか? なんて顔で言って来た。

頭にきた! 私をなんだって思ってるの?起業サークルで起業したい人が集まってないの?

私の怒りに気がついたのか、

「まあ起業サークルって、女子は専業志向で、どちらかというと、鷹になる、獅子になる、鮭になる有望男子探す所ですよ。男からすると、可愛い女の子を美味しくいただくと」

また知らなかったんですか?という顔をしてきた。

「えっ! それ本当なの?」

隣でゲラゲラ笑ってる。

「それ知らないの女子では栗山さんと佐々木さんくらいでは?」

ちょっと佐々木さんってあの地味な三つ編みじゃない。大学生で三つ編みってて、周りから遠まきに見られてる子だ。アレと私が同じだと認識されてるなんて。頭にきた。あんなサークル辞めてやる!

「栗山さん、いま辞めない方がいいですよサークル。それより佐々木さんと友達になった方がいいですよ。彼女の会計に関するカン?凄いですから」

「はあ? なんであの地味な子と友達になる?」

「大学時代友達って異業種交流がしやすいから、この時にしておく方が、いいですよ。特に女子は理系にもてますし。後、就職したから慌てて異業種交流会なんか行っても、意識高い系ばかりで意味ないですよ」

 そんなアドバイスを聞き、納得した。そして、そんな事、何故分かるのかとちょっと興味が出たので、何回か須藤とデートもどきをする様になった。

 そしたら、須藤からSEXしたことないけど興味がある、でも風俗まで行く気にならないと言われた。

 「えー興味ないんですか? 初めてにはなんか思い入れあるですか?」

「き、き興味あるわよ。経験ないって何故分かったの?」

 まあ、みてれば、というだけで、どこでしますか?なんて言い出すので、ちょうどオープンしたばかりの、マンダリンホテルがいいとか言ってしまった。

「栗山さんがマンダリンが好きって、びっくりです。アジアに住んだことあるのですか?」

「バンコク2年シンガポール1年だけどね」

「あーそれで、女子校が温くって、高校は国立なんですね。納得」

「で外泊は大丈夫なんですか?」

「泊まるの?」

「まあ初めてなら何が起きるかわかりませんからね。泊まった方がお互いに」

 

 須藤が、何故こんなに冷静なのか、そしてもうやること前提なのも癪だったけど、その上、そのうち家族に紹介して、特にお母さんにと言われた。


 そして今日はやめておきましょうと。


 まあうちの母から外泊許可取って、夏には致してしまいました。


 須藤の評判は娘に手を出したのに、ウチでは良い。解せぬ。


 まあ最初は、お互いに初めてということで大変だったけど、相性がよかってのか、2人で情事に溺れ、やりまくった事も、まあ若気の至ということで。


 卒業しても忙しいし、須藤はお金の臭いを嗅いで群がる女の子にヘキエキしていたので、相手を探す手間もないと、相性も良かったしと、セフレ以上彼女未満の関係が続いていた。


その時には、OLでは食べられない食事を奢ってもらったりした。


 そう、その頃大学を卒業して2〜3年位で、もう須藤は一端の実業家だったんだ。


 須藤が最初に兎角を表したのは、大学2年の頃だった。FXで稼いだらしく、週刊誌の取材が来ていた。どんな人とか聞かれたと、クラスの子達が言ってた。しかし須藤の姿ってあまり知られてなかったので、逆にどんな人なのかと学内の噂になった。


 そして金持ち大好きな専業志向の女子達のターゲットとなり、大学に来なくなった。


 大学を、辞めたという噂を聞いていたけど、ゼミで再び出会った。


「久しぶり、大学辞めたとか聞いたけど」


「うん、怖いお姉さん達に狙われ、ココに逃げ込んだんだよね。教授センセ、投資関係の論文書いていて、その事に質問したらゼミに来いって言われて、ついでに匿ってもらった」


「頭が違う人はいいなあ。私がこのゼミ入る為にどれだけ大変だったがわかる?」


「まあ有名だし就職率いいから仕方ないな」


「そうだ、須藤の言った通りに冴ちゃんと友達になったよ。ほら佐々木さん」


「へえ栗山が人のアドバイス通りにするなんて珍しい」


「須藤がいなくなって、気がついたら、私友達いないじゃんってなって、慌てちゃって、でもちゃんと大学生活エンジョイしているよ」


他に男いるからアピールもしておいた。突然、連絡できなくなる男はダメだからね。


「でもさあ、須藤の方が知ってたんだから、先に友達になれば良かったじゃん」


「いやいや、佐々木さんとは、僕、友達になれません。それにあの手の女の子は僕、苦手だし」


何を言ってるのか分からなかった。しかしその後、冴ちゃん人情沙汰しちゃったのよね。で、納得。

 私慰めてる時、実家に帰って、税理士になるとかつまんない事考えていたのを、東京に折角出てきたんだから、若いうちは、東京にいればいいしと、キャリアつけるなら公認会計士目指せばとかアドバイスしたら、恋でなく、仕事に生きる女となってしまった。なお今、須藤の会社の会計任せてる。


 そう冴ちゃんが恋愛関係の絡れからちょっとしたトラブルを起こした起こした。相手も悪かったという事で大事にならなかったけど、ちょっとした噂になった。まあ、相手の男性のブツを切るとかしようとしたんだよね。それほど恋愛関係で激情するタイプって事?

こうなるタイプってわかったんだ。だから…。


 そうよ、須藤って昔から人の本性や能力を見抜く目があったのよね。なのにあんな年増に現を抜かして、全然仕事に来ないし、こんな週刊誌ネタばら撒いて、もう。


 須藤が作ったという趣味の会社の事を調べてみると、須藤個人の資金で作ったみたいだ。だから私が気が付かなかった。

 そう? パーソナル秘書が気がつかないはずがない?

 まあ調べる事はできるわ。

 まず、須藤の財布と会社、仕事の事から説明するわ。


 一つは投資会社。出資者から金集めたり、企業から買収を頼まれ会社を買ったり売ったりする会社。まあ億単位のお金が動く会社で、こちらの金の流れは法人なのと目立つので、ミスがあると査察案件。私は関知しない。ただ、トラブルが発生したり須藤の介入が必要になると調整する。なので人間関係の把握と案件の進捗が私の仕事。


 そしてココの会社。

 大体千万単位億未満。節税対策の事務所で須藤個人の折衝がメイン。


 あと、須藤が面白いと興味を持った会社、ベンチャーとか、それ未満のスタートアップの起業支援もしている。


 そして、その仕事のフォロー、私がここに引き抜かれた理由の一つが


「里依って事務能力高いから、できたばかりの会社に何が足りないかすぐ分かるし、投資しても良いビジネスが調べるのが上手いし、本当に使い勝手がいいよな。ついでに虫除けになるから一石二鳥どころか三鳥」


 とそんなこと言っていた。面白いビジネスを見つけて投資しても無駄だったり、いい商品を作っても売れない。売れてもうまく利益を出せない。そんな時の問題点を探すというお仕事。


 そして、マスコミ対策本部。週刊誌ネタになった時など、顧問弁護士とか会計士を呼んで折衝したりする。

 大きい会社の売買や話題の買収、M&Aなら会社が対応するけど、大体この案件はほとんどこちら。


 他に、どのくらい須藤を露出させるか、どんな風に出すかを決める。そして、須藤の友人でプロモーターの吉川とプランを練る。


 まあ、今は、須藤個人のスケジュール管理が主な仕事になっている。


 あと、出なくてはいけない会食、パーティーの選択とか、須藤個人が動く時に勝手に何かしない様に監督している。


 パーティに行く時は社内的に秘書、社外的には愛人、恋人となる。須藤が一石二鳥と言った意味はコレだ。会社の女の子でもいいんだけど、勘違いする子続出だったので、この形に落ち着いてる。


「里依はゴージャスだからね。一緒に連れて歩けば、男としてもステータスになる」

 と須藤が言う。


 で最後に、須藤個人のお金。まあぶっちゃけて言えば小遣い。領収書のいらないお金。

 まあポケットマネーで払って後で清算もができるので一応領収書を貰ってくるようには言ってる。


 っていっても有名な個人投資家だし、連続起業家でもあるので、普通の金銭感覚ではない。


 住んでるマンションは会社の物だし、車は運転しないとなってるので、使うのは朝食、会食、パーティがない時の夕飯くらいじやない? その上、須藤って物欲ないのと、金額が張るものは個人事務所扱いになるので、結構持ってるんじゃないかと。


 そうよ。個人の金、使っていたらなおさら疑われる。その上、年上。それも20歳以上。やめて。もうやめて。聞きたくない。なんでそんなな女に手を出したんだ。はあ。はあ。


 私は、須藤の評価もあるけど、自分はいけてると思っていたんだけど、須藤の趣味悪いのか? 私須藤の女やってるのやめるか?

 いやこんなお得物件手放しません。キッパリ!


 まあ須藤の個人の金なら流れ掴めないかー。いやアレでも奴、ケチだからね。絶対に領収書あるはず。


 ほら。須藤のプログラミングの師匠である宮城さんの会社が新しいシステム開発費を個人事務所に請求している。

 吉川さんと宮川さんにも2人の会社設立資金に投資してるじゃん。


 もしかしたら、投資会社にも何かあるかな? あっちの秘書室の方が見られるもの多いから、向こうに行く。来るとは思えないけど、メッセージ残して。


 調べました。あの趣味の会社に使ったお金は5000万円弱。

 宮城さん、吉川さんと宮川さんという須藤の凄く仲の良い人達、所謂、気の置けない人達を使って会社を作り運営している。その上、常駐させてるので、拘束分のお支払いは別の形になってました。

 システム開発費、起業投資、あと、ECに特化した配送センターを作ってましたね。


 ふうーん。会社には他の人を入れないように秘密が漏れないようにとかな?


 妥当と言えば妥当な金額。そしてあの女の会社。

 会社の登記からは、あの女の作品の商品化をメインに、あの主婦のプロモートしていると。プロモート?主婦を?そんなに好きなのその人が。


 その上、佐々木さんが言う所、会社で、財務処理していると言うので、帳簿も見てきました。


 なんであんな会社なのに主婦の趣味品を作ってる会社なのに、こんなに売上があるの?


 もう宮川さんを呼び出します。

飲みでもとお誘いしたら、なんと地方にいるとか。えっ? 何故?


 もう、なんかイライラします。


 はあ、須藤から珍しく連絡がきたと思えば、案の定週刊誌が動いてると。


 そうだよね。おかし過ぎる会社だもん。


 そして今、以前の様に須藤は個人事務所と会社を行ったり来たりしながら仕事をしてます。


 そう週刊誌ネタになった時点で、あそこの会社に行くのを控えてもらいました。

 もう見っともないくらいに、あーだこーだ言ってましたが、無視。

 素直に投資家としての仕事をして、夜はパーティー、会食にとやってもらってます。


 そして、昼間は、FacebookのグループやLINEのオープンチャンネルを見て


「あーいいなあ、僕も行きたかった」


 とか


「今日は着物なんだ、かわいい」


 とか言ってます。


 もちろん隣には妻の私が秘書としています。


 そうです、須藤と入籍しました。


 今回の事件感謝です。


 須藤の隣で須藤の全てをサポートできる位置につきました。

 色々暗躍した事実は否めませんが、これでひと安心。

 そしてお腹には須藤との愛の結晶がいます。


 須藤は托卵と思っている様ですけど、この子は間違いなく、須藤と私の子供です。


 そうこの子を授かった日は、珍しい事に、須藤がひどく酔っ払って帰ってきた日でした。


 あー、今は一緒ですが、その時は隣同士ですが。別々でしたよ、流石に。個人秘書なんで、須藤の素行もわかるということで。


 そして、その日、私の部屋のチャイムを荒々しく鳴らし、入ってきました。

 そして、居間のソファーに押し倒されて…。

「里依だって僕の事、お金に見えるんだろ」

「なんで僕の周りの人間は、すぐ金、金って言うんだ」

とか言いながら、激しく抱いてきました。


 須藤って初めての時でさえ、そんなにガツガツしていなかったし、相手のことをを無視しながら欲望を打ちつけてくる姿に驚きました。


 ただその時、須藤と暫くご無沙汰だったので、ピルを飲んでませんでした。だって殆ど顔を合わせてないし、避けられていたんですから。


 須藤も、いつもならちゃんとゴムもつけてくれるのに、今回は感情の方が先に立ったんでしょう。


 翌日アターピルを処方してもらえば良いと、思ったのですが…。


 私の中で悪魔が囁きました。コレで須藤を手放さなくていいと。

 本当に心に悪魔って住むんですよ、人間って。


 まあ、私は内外共、須藤の女でしたから。コレで、やっぱりって言われますよね。いいんですそれで、私の中では女である事の方が強かったんですよ。


 ただ反論させてもらうと、実際、須藤をサポートできるのは私しかいないんですよ。


 須藤が言うように、須藤の周りは金に目が眩んだ奴しかいないってね。そんなことないと思っても、周りに来ると皆んな金で気が狂うんです。今回は誰がって思い。あーあの女かな? とほくそ笑みました。


 私の中に黒い澱が溜まってきます。コレで須藤もあの会社を諦めるでしょう。


 そして運命の日が来ました。


 その時、心の中に溜まった澱は、もう少しもなかったんです。本当です。


 キョウコさんが、その前に私達の結婚記念に、アクセサリーを贈ってくれたんです。

 まあ私は手作り品はあまり好きでなくて、安心できるのと、人から何か言われないという事で、ブランド品をなるべく身につける様にしていたんです。好きとか嫌いとかでなくてね。


 なので、キョウコさんには悪いけど、まあぶっちゃけ気持ちだけ貰いますって感じだったんですよ。作品を見るまでは。


 作品を見て驚きました。


 そう昔、従姉妹が持っていたあのネックレスを思い出しました。

 欲しくて欲しくて、つけるだけでもとか言ったのに、意地悪されて触らせてももらえなかったネックレス。そんなことを思い出し、切なくなり、あー、やっと私のところに来たのね。そう思いました。

 形や見た目なんか全然違うのに、何故そんな事思ったか、分からないけど、そう思い、


「うれしい! 素敵」


 と言いながら、手に取りました。

 もうその時、私は負けたんですよキョウコさんに。


 そう運命の日の話。

 須藤が1週間家に帰って来なかったんです。


 その前にキョウコさんの名前が商標登録されたとこっちに連絡が来て、慌てて須藤が向こうの会社に向かい、弁護士に連絡入れる様指示されて、私が対応していました。権利関係はちょっとですが、やっていたので、詳しい方です。


「何故、最初にそんなに入れ込んでいるなら、商標取っとかなかったの」


 とつい言ってしまいました。

 悲しそうな顔した須藤が


「主婦の名前だよ」


 と言って、はっと顔を歪めました。そう、須藤の落ち度なんですね。


 本人が分かっているならいいです。


「特許事務所への異議申し立て等は、こちらで弁護士と対応しますから、向こうに行って対応を」


 と言ってしまいました。そう敵に塩を送ってしまいました。


 ふわっと笑った須藤が


「ありがとう」


 って言って、慌てて駆け出していく姿を眺めて、そう、私ではダメだったんだと。悲しくなり、お腹に手を当て撫でました。もう目立つ様になってきました。


 そんなセンチメンタリズムに陥ってる暇はありません。


 顧問弁護士に連絡して対応方法を考え、この件がマスコミにバレない様に注意して、これからの対策を練ります。


 当たり前ですけど、素人には負けません。


 まず騙された節のあるキョウコさんのご主人に内容証明を弁護士名で出す。


 権利蹂躙という事で、特許事務所に商標登録の差し止めを出す。


 そしたら、宮川さんから、ファンクラでキョウコさんの擁護をするので、ファンとしてコメント入れて欲しいと連絡が来、馴染みのセレクトショップのオーナーと、扇動を始めました。


 そして今度はその会社が自分達が騙されたと、キョウコさんのご主人を訴えるとか始まり、須藤が私に


「好きにしていい」


 と言ったので、妊娠中の鬱憤を晴らさせてもらいました。こんな事する会社はやはり小粒です。


 キョウコさんは日に日に憔悴している様だと聞きました。かわいそうに。夫に裏切られたんですもの。


 須藤が1週間、自宅に戻りませんでした。


 そして、知った事実は今まで須藤はキョウコさんとビジネス以外の関係はなかったという事。で、今回…。


 そうあの後ろ姿を見送った時から分かっていました。その上、ボロボロなキョウコさんをそのままにしてきたら、私の方が怒るかもという不思議な感情が湧き出しました。


 なんででしょうね。コレ。

 宮川さんが言っていた、

「だからキョウコさん」

という言葉を思い出しました。


 須藤からは、キョウコさんの事黙認してくれれば、会社の共同経営者にする。子供の事は何も言わない。そんな事告げてきた。


 そして、全てが解決した後、宮川さんから、キョウコさんが会いたいって言ってるんだけどと、話がきました。私も素直に会ってみたいと思いました。宮川さんは立ち会うよと、言ってくれましたので、3人で会う事にしました。


 私はキョウコさんに会ったら、怒るのかしら? 私の夫を取らないでと泣くのかしら? そんな事をつらつら思いながら会ってみると、


「結婚祝い、ありがとうございます。とても気に入ってます」


と笑顔で言っている自分に驚きました。須藤の新しい恋人、しかも20歳以上歳上の。そんな情報を調べていた時と比べると心は平安です。


 いやキョウコさんは不思議な人でした。そんなに目立つ風貌でないし、何が須藤を惹きつけたのか分からないんですが、「ほこっ」てする雰囲気の独特なトーンの声を聞いて、あーこの声に須藤が惹かれたんだと思いました。


 で、キョウコさんは、


「今回わたし事の不祥事に、ご対応いただき感謝しかありません。その後の一連の事も謝罪したくって、この場を宮川さんに設けてもらいました。ご足労いただき感謝しています」


 となんか、大人だなあと思う口調で謝罪されました。


「謝罪は、多分私の方が先に須藤にしないといけないんですよね」


 と口にすると、須藤クン知ってますよ。とふわっとする声で続けた


「須藤クンは、奥様の事頼りにしているんですよ。だからわたしの会社にずーっと入り浸っていても会社は大丈夫だったんですよ」


 ふっと笑い。絶妙なフォローを入れてくれた。


「あんな、何億も動かすのに眉一つ動かさいないで、できるってすごいですよね。私なんか自分の会社でも無理」


「それを任されるのは並大抵ではないですよ。その会社の従業員の生活全部がかかっているんだから」


 と、私達と考え方が違う事がよくわかります。


「従業員?」

「だって働いてくれてる人達は会社なくなると、その場で生活困りますよね。だからそれを護ってくれる経営者って凄い」


 もう、笑うしかないです。この人の何が怖かったんでしょうか?


「あとね、護るもののない人は弱いから護る者がいるって安心できますよ」


 とそう言いながら私のお腹に目を向ける


「私はもう無理だからね。あとね。もう少ししたら、須藤クン、私の息子になりたいって言っているけど、里依さん、失礼でなければそう呼ばせてもらうわ、里依さんはお嫌?」


 そしたら、その子はわたしの孫。

 なんて言ってるし、えっ!えっ!

 どういう事?

 それからいっぱい話し、私がいっぱいいっぱいだった事に気がついて、


「そんなわたしだって驚いてるのよ、還暦迎えそうなこの時期に20歳も年下の恋人ができるなんて、あらごめんなさい。貴女のご主人よね。まあいい男は、共有財産」


 とか言って、隣で宮川さんが


「やっぱりキョウコさん」

 

 と呟いた。


 お子さん産まれたら嫌じゃなかったらベビーバングル贈るわね。と言って秘書と帰っていった。


 宮川さんが、


「あの秘書キョウコさんのファンで、どうしてもウチに入りたいと直談判してきて、旬がダメって言ったら、『できるかできないかやって見ないと分からない。もし、秘書ができなくても、ウチの会社に相応しい場所あるかも』と言って、採用したんだよ」


 で彼女感動して、キョウコさんにどこまでも着いて行きますって、言ってる。


 宮川さんのそんな話を聞きながら、少し居てもらう。

 そんな話しもキョウコさんらしいなと思っていた。 そして、

「キョウコさんってなんか」

 と言うと

「そうそう皆んな初めてキョウコさんに会うとそうなるの」

 頷くしかできない。

「ファンクラで擁護してくれた時で分かると思うけど、キョウコさんのファンって凄いのよね」

「あっ、あれね、分かるわ。キョウコさんの作品扱ってるというだけて、あの店のオーナー神扱いされて、私が須藤の妻だと分かると、いい旦那さんお持ちでとか、熱量が違うのよね」

 2人でため息をついた。

 そして勝負しちゃダメ、絶対ダメと、頷きあった。


 それから、暫くすると、須藤は自宅に戻ってきて、里依と結婚したから一日中、僕は見張られている。息が詰まる。とか言っているが、週の半分以上は、こっちにいる。

 その上、子供って女かな?とか、言って、子供の事も気にしているみたいだ。


 そして、キョウコさんの会社もキョウコさんが上手く運営できるようになったという事で、創業メンバーは手を引き、運営を須藤とキョウコさんに任せる様になった。


 須藤は会社投資とか起業支援に興味がなくなった感じで、私を会社の共同経営者にして、殆どを私に任されています。


 それを聞いたら、


「キョウコさんにぶん回される方が、企業投資よりドキドキするもん。ハラハラ感も違うし」


らしい。


 一応、私が一年くらい産休とるから、ちゃんと会社運営するのよ。と言ったら、


「妊娠中で悪いんだけど、キョウコさんと旅行行ってきていい?」

  

 と聞かれた。


 一年まともに会社経営すると死んじゃいそうだから、先にご褒美をくださいらしい。


ですって!



後、キョウコさんの夫の分を書いて終わりだと思います。

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