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第70話 色々と後始末

トンデモナイ間違いをしたので、訂正します。

石高に対して運用できる軍勢の数が誤っていました。


100万石⇒2万5千人(MAX)


この基準に直すとドラグーン辺境伯53万石ならば1万2~3千でないとおかしくなります。

関ケ原の時の大名の動員数を参考にしましたが、謝りだったようです。

お詫びして訂正いたします。

 面倒ごとも終わり、いよいよ念願のシャー・アズールへの航海の旅へ、と思っていたら・・・アルメリア州に新たな入植希望者が殺到した。

 その数約五百世帯。

 悪質なセクハラ被害を受けていた者たちが、最後の希望として、家族連れでこの地に来たのだ。


 受け入れ体制も何もない状態で、慌てて最も人口が少ない東部に村を建設した。

 一つの村で20世帯、25の村を急ピッチで作り上げた。

 時間が惜しいからチートスキルと魔法の大盤振る舞いだ。


 主要街道から村を結ぶ間道も石畳で舗装して、10キロ毎に休憩所を造った。

 水飲み場、トイレ、休憩所として屋根付きのテーブルとベンチ。

 徒歩での移動を考慮した場合、2時間半毎の休憩地点となる。

 殆どの者が馬車移動だろうが。念の為の備えだ。


 村が出来るまでの間、各駅が難民キャンプ化したが、村が出来るまでの辛抱と関係者を説得して廻った。


 城下町ザルツブルクから近い方が利便性は良い。

 全てに配慮するのは不可能なので、クジ引きで決めた。

 街や駅近くになるか、山奥の村となるかは運次第だ。


 戸籍の管理や村の名前などの細かい事は、東の支城府城代であり代官であるヘルマン・フォン・アシュタインに丸投げだ。



               **********



「~報告は以上に成ります」騎士団長のフランツが警備の報告を済ます。


「それで渡した魔道具で、音声と映像は残してある?」


「あぁ、あれですか。最初使い方が分からなくて苦労しましたが、証拠の映像はバッチリ撮れてます。しかし、証拠として機能しますか?改ざんの余地があると聞いたんですが」


「正式な裁判ならそうだけど、自白させる材料だけなら問題ないだろう。

 後は、街道警備隊に引き渡せば、王国の方で宜しくやってくれるさ」


 難民キャンプや新設の村に、逃げた女を取り戻す為に送り込まれた連中を捕獲して、ついでに狼藉の現場もバッチリ映して、街道警備隊に証拠の品と一緒に引き渡す。


 一領主の俺がやると、色々と厄介。

 相手は他領の貴族なり大地主だ。

 ここは王国の権威に任せた方が、色々と楽だ。


 数件分の野盗を引き渡す時、悪戯心で看板も一緒に渡した。


『馬鹿な主の命令で、犯罪まがいの方法で、愛人を囲う手伝いをした愚か者です』


 街道警備隊の人が話の分かる人たちで良かった。

 快く護送用の馬車に、目立つように取り付けてくれた。

 街道引き回しの刑である。


 まともな神経なら、きっと恥ずかしいだろうな~♪

 うんうん、いい気味である♪♪


「正直、執念深く、この地まで追ってくるとは思わなかったよ。

 事情を聞いて、一応警戒命令は出したけど、杞憂で終わると思っていたもの」


「実際には途中で捕まって、連れ戻されたケースも多そうですがね」


「残念だが、そこまでは力になれないな」


 俺はこの地の領主であって国王ではない。

 出来る事に限界はある。


「この調子じゃ、まだ一波乱二波乱ありそうです。

 部下たちには気を緩めない様に言っておきます」


 フランツの言葉に、わかったとだけ答えた。



               **********



 セクハラ難民となった世帯に村の誘致をし終わっても、これで終わりではなかった。

 その後も1日1~2件、セクハラ被害の家族が、この土地への移住を希望して訪れている。

 東部を中心に誘致を勧める。

 数件に1件の割合で、この地まで追っ手を差し向ける馬鹿に対しては、毅然とした態度で対応して、王国軍所属の街道警備隊に引き渡す。


 ここの処、そんな作業の繰り返しだ。

 こういう作業の合間に、テニオン神国へのダークエルフたちの送り迎えがある。

 1週間に1度とはいえ、地味に負担になる。


 そこで3つの村とテニオン神国を『転移門』で繋いだ。

 アクアポリスに2門、3つの村には1つずつだ。

 ただ国を跨ぐ所為せいなのか、距離に比例するのか分からないが、魔力バッテリーの消費量が半端なく、魔力バッテリーの増設をした。

 ポータブルバッテリーに例えるなら、今まで500Wで良かった物が、4000Wないと作動しなくなったのだ。

 フルチャージまで1週間かかるが、ダークエルフたちの精霊樹のお世話も1週間交代、丁度いいので、後は3つの村に丸投げした。

 後は魔力バッテリーに魔力注入するなりして、頑張って欲しい。



                **********



 そんな日常を送っていると、王宮からお呼びが掛かった。

 ミューゼル宰相の執務室に通される。


「突然呼び出して、すまなかった。話は一局やりながら話すか」


 そう言うと将棋盤を出して来た。

 1cm程の足が付いた2寸盤で、駒と駒台をセットにして贈った物だ。


 駒を並べ終えて、対局開始。

 ミューゼル宰相は、居飛車の舟囲い。

 俺はいつもどうり四間飛車の美濃囲いだ。


 この世界の人の将棋で、振り飛車を余り見ない、居飛車党が多いと思うのは、気のせいか?

 攻撃開始は6五歩。取り敢えず、これをしとけば何とかなる。

 角交換に応じて、棒銀で攻める。


「セクハラ防止法では、貴公に迷惑を掛けたな」


「いえお気になさらず、私もここまで影響があると・・思ってもいませんから。

 ここまで影響が大きくなると、誰が思うでしょうか」


 そう言いながら、宰相が舟囲いから左美濃に変えた時、角道が綺麗に通る事に気付き、5五角と打つ。

 王手飛車取り、3三銀で角道を塞ぐ、俺は8ニ飛車を取る。

 角は龍馬になる。


「処で貴公、シルバニッヒ伯爵領はいるか?」


 突然の言葉に、言っている意味が理解できない。


「それはどういう意味でしょうか?」


 そう言いながら、7筋に歩を銀の頭に突く、銀交換を迫る俺。

 宰相、銀を逃がす。


「言葉どうりじゃ、実はな・・・」


 宰相は事の経緯を話し始めた。


 何でも王都にアルメニア州への移住希望者が殺到したそうだ。

 その中でも50戸を越える希望者がシルバニッヒ伯爵領出身者だったのだ。

 他の領の出身者は1~2戸位なのに・・・

 異常な数に王宮騎士団を派遣して調査した結果・・・


 伯爵の城館の地下牢には、捕らわれた女性が多数居り、裏庭からは多くの白骨死体が発見されたそうだ。

 それでめでたくシルバニッヒ伯爵は、爵位剥奪の上斬首と領地没収。

 ザマーである。

 シルバニッヒ伯爵の親族は、貴族籍剥奪の上、財産差し押さえ。

 自業自得としか言いようがない。


「お話は分かりましたが・・何故、私なのですか?」


 普通に考えれば、王家直轄領だ。

 王様だって領地が増えて、中央集権化の一助となるから、その方がお得なはずだ。

 今の俺の領地が64万石。

 これに旧シルバニッヒ伯爵領15万石が加われば、79万石。

 80万石に手が届く大領になる。

 クズ貴族が減ったのは喜ばしいが、

 ・・・大きすぎる力は、王家から目をつけられるのがオチだ。

 それにうちは復興の最中で、とても本来の64万石相当の実力には程遠い。

 領民も村の数もまだまだ足りない。


 しかもシルバニッヒ伯爵領の場所は、白竜山脈の真裏、山向こうだ。

 地図で確認すると、丁度アルメニア州東部の真裏になる。

 しかも直接来ようとしたら、3000メートル級の山越えしか道は無い。

 普通はそんな危険な真似をせず、中央道で王都まで行き、それから東海道を使う迂回コースが一般的だ。

 飛び地としての経費が掛かり過ぎるし、何かと不便だ。


 断りの返事をしようとした時、宰相が口を開いた。


「これは、あの件の詫び料も含まれている」


 あの件・・・ドラグーン辺境伯との砂糖の件が解決した後、俺はドラグーン辺境伯に共同事業を持ち掛けた。

 養殖真珠の共同事業だ。

 ドラグーン辺境伯領の海は、養殖真珠の育成条件に合っていた。

 2年の試行錯誤の末、養殖真珠は成功して、王妃様に大玉の真珠のネックレスを献上した際、真珠の養殖に興味を持った王様に、スタッフを含めた事業ごと取り上げられた。

 流石に温厚な俺たちも、ふざけるなぁ~!!!・・である。


 俺たちは王に猛抗議した。場合によっては戦争も辞さない覚悟で。

 鉱山などが発見された場合、王家に召し上げるのが一般的で、今回もそのケースだと云う。

 王妃様に贈った大玉の真珠のネックレスが天然物なら、その価値、国家予算の1年分に相当する。

 大玉の真珠のネックレスの存在自体・・・あり得ない。

 天然真珠でこれだけの品質と大きさは揃えること事態、至難の業だからだ。

 和解案として、利益の1割ずつを俺とドラグーン辺境伯に毎年支払う事で和解したが、俺もドラグーン辺境伯も、この時の事を根に持っている。


 宰相の云う詫び料とは、この件の事も含まれている。


「それにな、旧シルバニッヒ伯爵領の領民に意見を聞いた処、アルメニア侯への帰属を強く求められた」


「お話は分かりました。しかし、ドラグーン辺境伯の件は、如何なされるおつもりか?」


「その件なら心配いらない。ドラグーン辺境伯領近くのクズ貴族を取り潰しにする事に決まった。証拠集めも順調だ。取り潰しの後、ドラグーン辺境伯領とクズ貴族に挟まれた下級貴族は、加増を条件に領地替え、ドラグーン辺境伯には伯爵領相当の領地を隣に贈り、詫び状を送る」


 辺境伯を辺境の伯爵と勘違いしている人がたまにいるが、国境に領地を持つ侯爵を辺境伯と呼んで、普通の侯爵と区別いるだけだ。

 家格によって領邦軍の人数や装備に制限のある一般貴族に比べて、国境防衛の義務のある辺境伯はその辺の規制は他と比べて緩い。

 53万石のドラグーン辺境伯なら、その気になれば1万2~3千の軍勢ぐらい、すぐに用意できる。

 代々国境を守ってきた武門の家柄だ。兵士だって決して弱くはない。

 王家だって下手に怒らせたくない相手なのだ。


 アレ?・・・話しながらやってた所為か、気が付けば形勢は不利になっていた。

 2筋に香車を打たれ美濃囲い崩壊の危機!!

 仕方なく王様の逃げ道を作る為、端歩を動かす。

 美濃囲いは優秀な囲いだが、上からの攻撃に弱い。

 美濃囲いは、少ない手筋で高美濃囲い、そして銀冠に3段階進化できる優秀さがある。

 囲いの優秀さで云えば、銀冠、高美濃囲い、美濃囲いの順番で防御が固くなる。


 しかし、もう囲いを剥がしに来ている宰相を前に、囲いを変える余裕などなく、結局負けてしまった。

 調子が良かったのは飛車が龍王に成れた処までだった。


 新たな領地の事もあるし、和解金代わりに年寄りに花を持たせただけだから。

 負け惜しみじゃないと思う。・・・たぶん。


最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。

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