第60話 血筋と血のつながり
俺たちは今、何故か愛船??天使に居る。
ネフェルティティ王女殿下が、俺たちの船に興味を持ったからだ。
これだけの人数が入ると、蒸し暑くなるのでクーラーをいれた。
「すっごく快適で、オシャレな内装ですわ。
アキュフェース様、私の船と交換しませんか」
「しません」冷たくあしらう俺。
「ラファ聞いて、アキュフェース様が、私に冷たい」
ラファさんも苦笑いだ。
さっきは20歳台前半に見えたのに、
ここに乗り込んでからの王女は、子供っぽくなった印象を受ける。
「そんな事ありませんよ、姫様。
アキュフェース様も姫様の美しさに当てられて、
如何して良いのか判らないだけでしょう」
ラファさんのウインク、真っ赤になる俺、両脇のリーフリットとアイシャからの肘鉄。
リビングルームのL字型ソファーで寛いでいる。
L字型の1辺に、王女様とラファさん、もう1辺に俺たち3人が、座っている。
戸口には姫様護衛の兵士2人が、歩哨として立っている。
そんな状況下で、ハクだけは甲板に出て、
リクライニングチェアに寝そべりのんびりしている。
「しかし、なぜ、あのような場所に?
本国からは、かなり離れているようですが」俺は、疑問を質問する。
「特使として、ルクナバードに向かう途中でしたの」と姫様。
「ルクナバードですか・・・
私たちは元々、シャー・アズールを目指しての航海をしていました、
・・方向転換して、シャー・アズールに向かいますか?」
今、巡航システムは、プトレマイオス王国の王都アレキサンドリアに進路を取っている。
アレキサンドリアは、王都であり港湾都市だ。
「お気遣いなく、私も、その辺は弁えていますわ。
負傷者が多い以上、これ以上の航海は無理ですわ。
一度戻って、体制を整えませんと」
王女様、チラッと俺を見て
「それにアキュフェース様には、助けて頂いたお礼を、まだしていませんもの」
「それこそお気遣いなく。
私たちはただ、当たり前の事をしただけですから」
ホントにお礼をする気があるなら、ラファさんをお持ち帰りしたい。
・・・口が裂けても、言えないけどさ。
1日かけて、王都アレキサンドリアに到着した。
かつては栄華を極めた都も、昔日の面影も無い。
建物も古びていて薄汚れている、その上人通りは少なく、閑散としていた。
なるほど、大きな田舎町というのも納得だ。
しかし、王女は違う事を指摘する。
「驚いたでしょう。この時期は、みんな、昼間は昼寝をしていますの。
下手に働けば、暑さで倒れてしまいますから。
本番は、夕方から夜にかけてですわ」と王女様。
熱中症対策という事か、国が変われば、色々と変わる。
驚いた事に、昔、奴隷制度があった頃でも、
奴隷にも昼寝が許されていたらしい。
俺たちは輿に乗せられ、王宮に到着する。
場違い感が半端ない。
客間に案内され、夕食までダラダラ過ごす。
夕食の時間となり、食堂に案内される。
驚いた事に、西側の貴族邸にあるイスとテーブルだ。
中央大陸の文化は、絨毯の上に料理を置き、車座になって食べるものだと思っていた。
もしくは、ローマ風に寝そべりながら食事をするイメージだった。
上座に座る女性は、恐らく女王陛下なのだろう。
年齢は40歳台と思うが、年齢よりもずっと若く美しい。
王女様が、あれだけ美人なのだから、納得だ。
俺たちは席に案内され、指定された席についた。
ラファさんは、王女殿下の後ろで控えている。
「本日は、西側諸国に名を轟かせた英雄を、我が国にお招き出来て、大変光栄に思います。
しかも娘の窮地をお救い頂いて、感謝の念に堪えません。
非公式の場ゆえ、たいしたおもてなしはできないが、心ばかりの感謝の念を受け取って欲しい」
「身に余るお言葉、持った得なく存じます。
人として当然のことをしたまでです。
充分過ぎるだけの、お礼は頂きました。
この件はこれで、ご容赦ください」と返礼する。
「当代の勇者殿は、謙虚な方でおいでの様じゃ」
女王陛下は、満足そうに微笑む。
それから、雑談に花が咲く。
「しかし、我が国にも転移魔法の使い手は居るが、国を跨げるのは初耳じゃ。
流石、勇者殿は規格外だ。
しかし良い事を聞いた、これからは困ったときには、勇者殿に頼めるの」
女王様の発言に、顔が引きつる俺。
「陛下、それは国を通してください。
私の一存では、どうにも。しがない一領主なので」
「侯爵をしがないとは、・・剛毅じゃな」楽しそうに笑う女王様。
俺は話題を変えるべく、踏んではいけない地雷を踏んだ。
「あの~少し気になっていたのですが、王家の方は、これだけですか?」
「いいえ、叔父上がおりますわ」と王女様。
「それを聞いて安心しました。
王弟殿下が、次の王になられるのでしょう?
『王家の血筋』も安泰ですね」
俺の一言で、空気が凍り付いた。
「王女殿下の前で、無礼が過ぎます」ラファさん、怒鳴る。
「流石に王女殿下に失礼よ」とリーフリット。
「デリカシーが足りないと思う」とアイシャ。
「なんで?王女殿下は、王家の血を引いていても、王家の血筋ではないじゃん」
無礼を重ねた俺の発言に、この人何言ってるの?という目で見られる。
「あのねぇお前ら。王家の血を引く事と王家の血筋を、ごっちゃにしてないか?」
「同じものでしょう」とリーフリット。
「いや、ハッキリと違う」と俺。
「無礼が過ぎます」とラファさん。
「これを説明する大前提として、先祖のルーツを知る家系図は、女性を軸には書けない。
男性が軸になる事を頭に入れて」
「何でよ~」とアイシャ。
「基本的に女性は、嫁に行くでしょう。
女性を軸にしたら、先代は齋藤家、当代は鈴木家、次代は小森家となれば、何処の家の系図?って事になるじゃない。
だから嫁を取る男を軸にしないと、系図は書けないの」
「そこまではわかった、それで」とリーフリット。
「『正統な王家の血筋』という場合、
『父方の系図を遡って、初代国王に辿り着く事が条件』
姫様の場合、王家と血のつながりはあるけど、血筋は初代王まで辿れない。
姫様の血筋は、女王陛下の旦那様、夫君殿下の血筋になるから。
血のつながりがあっても、血筋でない、
こういう立場の人を、日本では『女系皇族』と云う」
ワザと誤解されやすい言葉を使っていると思うけど、『女性』と『女系』は勘違いし易い言葉だ。
女系皇族の中には、勿論男性も居る。
女性皇族から生まれた子供が、女系皇族と謂われている。
何で父方?と、思うかもしれないが、
日本の一般家庭も同じだ。
○○家先祖代々と云えば、普通、父方の先祖を云う。
○○家の血筋と云えば、やはり父方の血筋を辿る。
「それの、どこがいけないの?」とリーフリット。
「『正統な王家の血筋』が失われる。
姫様は夫君殿下の血筋だけど、姫様が婿を取れば、それ以降の子供は婿殿の血筋になる、その子供が女の子だったら、それ以降は、その子の旦那の血筋となる。
もうそうなると、王家の血統なんて、影も形も見えなくなるでしょう。
名前だけは、残るけど」
イギリス王室は、正に、この状態。
ウインザー朝の血の繋がりはあっても、チャールズ皇太子を始めとする王子たちは、血筋で云えば、エリザベス女王の夫君殿下の血筋になる。
もっともヨーロッパの場合、黒死病などで王族も貴族も関係なくバッタバッタと死亡して、血筋の濃い薄いより家名の存続に重点が置かれた。
日本の場合とは歴史的背景も事情が異なるから、同列に論じてはいけないと思う。
もっと分かりやすく言うと、性別を区別する遺伝子は、男性を示す遺伝子は『xy染色体』女性は『xx染色体』だ。
何でいきなりこの話をしたかと云えば、『神武天皇のy染色体』を継承するのが天皇の皇位継承だからだ。
その為に緊急避難的に女帝が立っても、その子供には皇位継承権を与えずに系図を遡って本流を引き直している。
なぜなら女帝の子供たちには、神武天皇のy染色体が無いからだ。
だから感情論だけで愛子さまを天皇に推すのは、間違いだ。
天皇は日本の王である前に、神武天皇のy染色体を継承した、神官の頂点にたつ最高神祇官でもあるからだ。
神武天皇のy染色体を継承しているからこそ、日本の最高神祇官として認められている。
皇位だけの問題ではないからだ。
日本の天皇制度を壊したいのなら・・愛子さまを押すのが良い。
SNSや動画配信での秋篠宮家の誹謗中傷は、天皇制を壊したい左翼のフェイクニュースだ。
俺はひと息ついで。
「女系皇族に、王位継承権を認めてしまうと、厄介な問題も発生する。
王女が他国の王族、もしくは有力者に嫁いだ場合、
その子供が、王位継承権を主張して、戦争に発展する可能性がある。
ヨーロッパの王位継承戦争は、こうして繰り返し起こっている」
みんな、黙って聞いている。
「だから女王が即位した場合、女王の子供達には、王位継承権を与えず、系図を遡って、本流に引き直す」
二千年にも及ぶ永い間、面々と王家の血筋を守り抜いた王家がある。
神話部分を入れれば二千年以上、歴史的に確かと云われているのが、継体天皇からで約千四百年。現存する王家の中で、世界で最も古く、最も永く続いた王家。
それが、日本の天皇家だ。
小泉元首相が、皇室典範改正を言い出した時、ひげの殿下が激怒した。
TVの報道番組はどの局も、系図が系図がと、そんな部分しか流さず、見ている者には何のことだか分からない。
明治天皇の曾孫だか玄孫だかの人の解説を、深夜番組で聞いて初めて理解した。
小泉さんがやろうとした事は、女系皇族の容認だ。
女系皇族には神武天皇のy染色体が無い。
女系皇族を容認するのは、二千年守り続けてきた天皇家の正当な血筋を、
『有名無実化する』行為だ。
これは、明らかな天皇家潰しだ。
二千年続いた天皇家を、今代で潰すと云ったのと変わらない。
そりゃ~ひげの殿下も、激怒するでしょう。
少なくとも日本の総理が、発言していい問題ではない。
今でも、女系皇族を容認すべし、なんて発言をする国会議員がいる様だけど。
あなた、何処の国の議員さんと聞きたくなる。
二千年以上というのは、神話部分があるから額面通り受け取ることは出来ないけど、歴史上確かと謂われるのは継体天皇から、それでも千四百年。
実際にはそれ以上。
千四百年以上の長きに渡り脈々と守り続けた血筋を、時代に合わないとか、天皇の子供は愛子さまなのだからとかいう理由で、皇位継承を安易に決めて・・・本当に・・・良いのかな?
千四百年以上守り続けた神武天皇のy染色体をのを否定して、女系皇族を容認する。
それが正しいのかどうか、どうあるべきなのか、報道する側ももう一度、考えてみて欲しいと思う。
取り返しのつかなくなる前に。
どこの国の立場で報道しているのか分からない、自称日本のマスコミの偏った報道には、問題しかない。
俺の発言で、お通夜気味になった場の空気に、少し反省をする。
「それでも、王弟殿下が、次代の王に相応しいとは、思えません」
ラファさん、思いつめた目をする。
「王弟殿下は、既に二人の妻を、不貞を理由に殺害しています。
あの方が、王位を継げば、この国はメチャクチャになります」
ラファさんの言葉に、天を仰ぐ。
この国、問題が多過ぎない?
最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。
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