第5話 爆買い勇者の竜退治
「NANDE!ナンデェ!!なんでぇ!!!わたしがぁ~、あんなコト。
信じられない、嘘だと言ってぇ~
arienai、アリエナイ、あり得ないぃ~」
リーフリットが耳まで真っ赤にして、悶絶して叫んでいる。
左手で枕を抱いて、右の拳でガシガシと、枕に拳を入れる。
夫婦の営みを始めて2週間、毎朝繰り返されている朝の光景だ。
朝目が覚めて、正気に戻った途端、昨日の夜の痴態を思い出して
羞恥心に悶えているのだ。
「もう、殺してぇ~」リーフリットは、消え入りそうな声で呟く。
何だか凄く、かわいい、眼福、眼福。
今しか見れないリーフの姿、プライスです。
「リーフ、かわいいね♪♪」
「死ねぇ~~ケダモノォ!!」
枕を投げつけるリーフリット。
「昨日は悪かったって」
「なにがよ」
何とかなだめて朝食にする。
俺が料理をするのは、俺の方がうまいから。
中華の店でバイトした経験もあるので、
調味料と材料さえあれば、素人上手くらいはいけるかな?
そういえば仲間たちの進路は、ナイトハルトは、
近衛騎士団に迎え入れられ、近衛第2騎士団の団長に就任している。
ミツルギは、王直属の諜報部「王の目機関」のチーフらしい。
室長補佐くらいの地位だろうか?
「ねえ、文殊、街道の舗装をしようと思うんだけど、
石材をそのまま引き詰めて、大丈夫なものなのか?」
(解、セメントを引くことを推奨します)
「セメント、セメント、ねえ~、大体、セメントの材料が分からないんだけど」
(解、高炉セメント、高炉スラグの微粉末とポルトラントセメントを混ぜたもの。
港湾、ダムなど大型施設に需要があります)
「高炉スラグって、何?ポルトランドセメントって、何?」
(解、高炉スラグ、製鉄所の鉄製造の過程、高炉から生成する副産物)
(ポルトランドセメント、まず、前段階のクリンカーを造ります。
材料、ケイ酸三カルシウム、ケイ酸二カルシウム、カルシュウム・アルミネート・・
「STOP!!!もっと簡単なやつ」
(了、古代セメント:石灰、焼石膏、火山灰、砂、泥を混ぜたもの。
レンガなど、石と石をくっける接着剤の役割があります)
「OH!、なんか、いけそう」
(告、そもそも、この世界にセメントは存在します)
「はい?、普通に買えるの?」
(解、買えます)
「今の・この時間は・一体何?」
「ところでサァ、領官や衛兵、領民の募集は、しなくていいの?」とリーフリット。
「それなぁ~、そっちに手を付けると、
領主の決済に追われて、街道整備まで手が回らないような気がして、
街道整備に、人を雇うとなると、人件費が莫大だろう。
今なら、俺のクラフトマスターのスキルで、材料費だけで済むからね」
「そんなこと云ってると、いつまで経っても人は来ないよ。
取り合えず王都で、募集だけでも掛けたら?」
「ですよねぇ、でも、それ、数日中で良い?
やっぱり先に、目処だけは立てたいから。
それに、どうせ買うなら原産地の方が安いでしょう。
という訳で、文殊さんお勧めは何処?」
俺たちは、国内有数の石灰岩の産地に来ている。
大きな商店を廻って、只今爆買い中。
セメント、砂利、砂、特に敷き石、多めに。
「勇者様、本日は我が町の特産品を、この様に大量にお買い上げ頂きまして、誠にありがとうございます」
町長が、わざわざ挨拶に来た。
名乗ってないのに、よくわかったな。
買う時、身分証代わりに、貴族証を提示したが、
わざわざ名乗っていない。
「町長、本日はお世話になります」
俺は当たり障りのない返事をする。
「勇者様、実は、勇者様の腕を見込んで、お願いしたい事がありまして・・」
ただ買い物に来ただけで、ナンデこうなる。
「勿論、相応の報酬は用意致します」
だから、そうではなく。
「詳しい説明を致します。どうぞこちらへ」
これ、受けるの前提で、話が進んでいるよね。
町長の案内で、町長宅の応接間に通された。
「実は、数日前から石灰岩を産出する山の頂きに、突然、竜が住み着きまして・・
まだ具体的な被害は出ていませんが。
住人たちは不安に怯えています。
今後、産出にも影響が出るのでは、と危惧しております、次第で」
これ、断れないパターンじゃない。
隣を見ると、基本お人良しの性格ニャンコの娘さんは
「助けてあげようよ。人助けも大事だよ」
ほら・・こうなった。
「わかりました。お引き受けします。
報酬は、そうですね、購入した商品を、
何割か割り引いてくれると嬉しいんですが」
俺は、人好きのするスマイルをする。
確か討伐の報酬の相場は、下位竜討伐で、白金貨2~5枚
白金貨1枚、約100万円。
成竜で、白金貨10枚からのはず、
買った金額を考えたら、3割位の値引きで、採算は合うはずだ。
町長は破顔して、俺の手を両手で握り上下にブンブン振って喜んだ。
「そんなことでしたらお任せください。精一杯、勉強させて頂きます。」
ドラゴン退治が決定した。
俺たち二人は、飛翔魔法で指定された山頂に向かう。
山頂には、想像してたより遥かに大きい白竜がいた。
古代龍だったか。
高い知性と超極大魔法、爪と牙の反則級の攻撃力と硬い鱗の絶対防御。
伝説級の生ける厄災。
レイド案件じゃないか。割に合わねぇ~。
しかもこっちは、フルメンバーでは無い。
リーフリットと2人きりだ。
(否、神龍と推察。五爪の龍と確認、龍王と断定)
更に悪い。
「で、勝てそうかい?文殊さま」
(予測不能、勝負は時の運と激励)
「使えねぇ~」
とんでもない量の覇気を感じた。魔王なんてレベルじゃない。
俺は、聖剣をストレージに収めて青龍刀を出した。
この剣は、竜相手なら聖剣よりよく斬れる。
だって、この剣の銘は「ドラゴン・キラー」だ。
俺は、空中からドラゴンの眉間目指して急降下。
龍王様は、素早くブレスで応戦。
こちらも素早く避ける。
威力も精度も、ハンパねえ。
リーフリットが、炎の精霊魔法を当てるが、効いている様子がない。
俺は、首筋を狙って急降下。右手の爪に阻まれる。
そこから1合2合と打ち合い。
一旦離れて風魔法、「エアロカッター」首狙いで、
龍王さま片手を軽く払って、魔法消滅。
「マジか、どんだけデタラメなんだよ。」
「きっと、あなたにだけは、言われたくないでしょうね。」
「おまえ、どっちの味方だよ。リーフ、少しの間、弾幕を張ってくれ。」
「わかったわ。」
賢者スキルの「連続魔弾」でマシンガン並みの魔弾を撃ち出す。
俺は後ろに回り込み、後ろからの攻撃を試みる。
尻尾が俺目掛けて、飛んでくる。
おれは、背面飛びの恰好でかわす。
どれだけ器用だよ。その尻尾。
振り向いた龍王の大口が迫る、ギリギリ、バックステップでかわす。
目の前には、龍王の大きな顔。
思わず、鼻と鼻の間を、ドラゴンキラーで斬った。
「痛い!!痛いでは無いかぁ!!!」
あっ、竜が喋った。
「おまえ、喋れるのか。」
喋る竜は、アニメとラノベの世界だけだと、思っていた。
「当然だ。我を下等な者どもと、一緒にするな。それにしても痛い」
普通の竜は、痛いでは済まないんですが。
「話が出来るのなら、話がしたい。一旦、鉾を修めないか?」
俺は、剣を納めて提案をした。
リーフリットに転移で、町長を連れてきてもらった。
転移魔法は、メンバー全員使える。
流石に、普通は弾かれる結界を無視して、
突き破って転移出来るのは、カリオンだけだ。
最初、町長は、腰を抜かして真っ青になっていたが、
俺が、精神異常を回復させる魔法を掛けたら、落ち着きを取り戻した。
話し合いの結果、龍王は、俺の領で引き取ることになった。
転移魔法で龍王を、俺の領まで送った。
人里さえ脅かされなければ、北側の山脈部分なら
好きな場所に住んで、構わないと言った。
町長が大袈裟にお礼を言うので、逆にこちらが恐縮した。
約束通り、3割引きで、街道整備の資材を買った。
領に帰る前に、王都へ、久しぶりにナイトハルトの顔を見に寄った。
王宮で、顔見知りの官吏に捕まり、こう告げられた。
「いい加減、家名と紋章を決めてください。」
誤字を指摘して頂き、誠にありがとうございました。
全く気付いて無かったので、本当にありがとうございました。
気になって読み返してみれば、結構、やらかしていました。
例えば、アルメニアをアルメリアとしていたり
ナイトハルトをナインハルトとしていたり
自分のやらかし加減に、ビックリです。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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