第45話 港湾整備と老後の話
新しく造った港は、外枠だけ防波堤の規模だけ見れば現代の神戸港に匹敵するが、何もない状態なので、スカスカの状態だ。
普通に波止場や岸壁を造っても、まだ余る。・・何も考えずに頑張り過ぎたのが、原因だ。
「・・人工島でも・・造るか・・」(溜息)
大型商船用の人工島に着手する。
人工島って、何?と云う方へ
港の航空写真で、四角いコンクリートの大地が、海の中にあるのが、人工島。
人工島とは、岸壁や防波堤の技術を使い、土砂や廃棄物で埋め立てた海の中の埋立地の事。
物によっては、海に浮く、浮島などもあるが。
有名処だと
関西国際空港 10.68㎢ 空港
お台場 6.8㎢ 商業、住宅街、レジャー施設
ポートアイランド8.33㎢ 商業、住宅街、大型施設
流石に、この規模は考えて無い、大型貨物船が接岸できる波止場と岸壁、倉庫街とそれに付随した商業施設をいくつか出来れば良いと思っているレベルだ。
大きさも500×300メートル位のささやかな規模だ。
気合を入れ過ぎた為、規模だけならエストニア王国一の大きさだが、スカスカの状態、だからといって人工島を造り過ぎても使い道がない。
仕方が無いので、後の拡張工事は、様子見を決め込む事にした。
港に入って西側を漁港とし、中央部を貿易港に、東側が軍港だ。
「後は入国管理局と検疫所を設ければ、いつでも営業できますね」
「ああ、少し待ちどうしいな」
セドリックの言葉を受けて、そう答えた。
そうは答えても、やらかした感は否めない、地味にジョックだ。
俺は軍港に足を運ぶ。
少し気になる事があるのだ。
ガーネット、フランシスコ、パンザを呼び出す。
「お前たちの船を、どうするか聞きたくって呼んだんだが。
海軍の船は、これから造る予定だ。
そうすると、お前たちの船が宙に浮く。
普通なら売却か、誰かにレンタルと云う形だが。
お前たちはどうしたい?」
ガーネットが代表して、口を開く。
「正直、あの船には愛着があります。売るのも、貸すのも抵抗があります。
出来れば、このまま個人所有したいのですが」
ガーネットの言葉に、フランシスコとパンザは同意する。
「しかし、使わないと、痛みが激しくなるぞ」
「「「・・・」」」
海の漢の船への愛着は、領主の土地への愛着と通ずるものがあるかもしれない。
無理に取り上げると、大反発を招きそうだ。
暫し、黙考する。
「海軍で、お前たちの船を一括レンタルするのは、どうだ?
勿論、メンテナンスは、こちらで行なう。
勿論、1年分のレンタル料は俸禄に加算するが」
俺は譲歩案を提示する。
「それでお願いします」ガーネットが答えると、
「それでいい」とフランシスコとパンザから、同意が取れた。
「但し条件がある。ガーネットの船のように『タービンエンジン』をつけてくれ」
フランシスコの言葉に、パンザも同意した。
「心配しなくても、タービンエンジンと簡易巡航システムもつける予定だ」
帆船の運用で一番のネックとなるのが、人件費の問題。
艦長、航海士、掌帆長、甲板員、砲撃手、軍医、調理員など、人件費が、かかり過ぎる。
巡航システムを併用すれば、人件費はかなり抑えれるはずだ。
最初の予定は、権天使の同型艦を、後2隻造って、それから護衛艦を増やしていくつもりだったが・・・
・・護衛艦として、戦列艦やフリゲート艦を増やす方向の方が、良さそうだ。
海軍の主な任務に、海難事故の対応もあるが、メインは通商路の安全確保だ。
海賊、場合によっては、私掠船も、通商路を脅かす敵となる。
グランバニア港の開港で、エスパニアの5大貿易港(グランバニアも含む)の利便性が向上した事を意味する。
特に、王都グランシールから、海洋都市グランハウゼンの中継基地として、グランバニア港ができたのは、大きい。
早速、マリアンヌ嬢とローバーさんの元へ向かう。
ドックの建設依頼と海運業の立ち上げの相談の為だ。
ドックの建設を指示して、今日の本題に入る。
「自前の貿易港も出来た事だし、これを機に海運会社を設立したいと思う」
「それは良いのですが、だいぶ資金が掛かりますよ」とローバーさん。
「それについては、株式会社の形態を取ろうと思う」
「初めて聞く言葉です。株式会社とは、何でしょうか?」とローバーさん。
「ザックリと説明すると、例えば1株=銀貨1枚(1000円)の株を1000株売って、白金貨1枚(100万円)の事業資金を得る、方法かな。
借りた金との違いは、株式で得た事業資金は、返す必要はない。
その代わり、決算の時には、利益の中から保有する株に応じて配当金をだす。
まあ会社が潰れれば、出資金は戻ってこないけど」
「ザックリし過ぎです。今回は株とやらを売って、資金を調達すると?」
「形式は株式会社の形態を取るが、身内だけ実質、俺のワンオーナー会社だ」
「それに何の意味があるのですか?」
「まず、騎士に叙爵した者に、土地の代わりに株を渡す。
配当金が出たら、その金で株を買い増しさせる。それを毎年、繰り返させる」
「ますます分かりませんわ。それに一体何の意味があるのでしょうか?」
尤もな疑問をマリアンヌ嬢が問う。
「これを10年20年と繰り返せば、複利の効果で配当金だけで、年間500万、上手くすれば1000万の収入にならないか?」
これは、毎年右肩上がりの会社であることが、必要条件だ。
それと、下手に売ったり買ったりしないで、持ち続ける事。
年に500万は大袈裟でも、年に60~100万位の副収入は、十分可能だ。
何といっても計算し易いのが、良い。
年利4%なら、100万買えば4万の配当収入だ。
株が上がろうが下がろうが、存続してくれれば関係ないし、例えば月に5万を投資に回して、配当金を合わせて株を買い増ししたら、複利の効果がプラスされて、10年もやれば結構な額の配当収入になる。
飽くまで自己責任ではあるが。
「つまり、騎士たちの老後の年金を、海運会社に稼がせるという事ですか?」
「マリアンヌ嬢、話が早くて助かる。正解だ。
勿論、戦死や殉職に対しての家族の保証はするが、それとは別に、何かあった方が良いと思ったんだが」
只でさえ常備軍は、金喰い虫なのだ、複数の財布があった方が良い。
「お話は分かりました。それなら、伯父様を1枚嚙ませては?
人脈も資金も、うちと比べても豊富ですわ」
「ハロルドさんかぁ、公開株にしてないのは、乗っ取りを警戒しての事なのだが」
「しかし、他の民間の目を入れるのは、良い案だと、思います。
このままスタートしても、実質、親方日の丸で、上手くいくとは思えません」
「確かにローバーさんの意見には、一理ある。
正直気は進まないけど、ハロルドさんを巻き込む形で頼む」
話は終わり、解散。・・・とは成らなかった。
「御屋形様、逃げようとしてませんか?」
「もう話は終わっただろ」
「甘い!甘いですわ!!これから伯父様を説き伏せる、大仕事が有るというのに。
これから王都に向かい、3人で伯父様の首を縦に振らせますわよ」
結局、転移魔法でハワード商会の会頭ハロルドさんと面会して、株式への投資と人材派遣を約束してくれた。
持ち株の比率は、アルメリア商会20%、ハワード商会10%、残りは俺の株となり、そこから、騎士たちへの株が分けられる。
この株の特殊な面は、基本騎士を対象としている為、配当金の支払いは40歳以降、それまでは配当金で株の買い増しをさせる、騎士が亡くなっても正妻には、配当金が支払われる。
正妻が亡くなり、息子の代となったら、株はオーナーである俺へ売却され、息子たちは一括で株の売却益を手にする、後はどう分けようと本人たちの自由だ。
これで、海運会社の目処も立ち、貿易港の開港を待つだけだ。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
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