第35話 東部の支城と城下町
中部に新たな領都グランバニアが出来て、誘致も含めた段取りが終わり。
早速、東部の支城の候補地選びと行きたいが・・・
信頼できる代官2名を探す方が、先、となった。
計算違いだったのは、カシムの領都の住民が、カシムの新たな領地に引っ越して、もぬけの殻に成っていたことだ。
俺では無く、カシムをとったのは、少しショックだ。
しかし、基本的にやることは変わらない。
まず、領都、東部の支城、駅の周辺の農村を誘致して、次に街道から見える範囲の農村を復興させる。
人や物が行き交う東海道では、噂話という情報も飛び交う。
見える範囲が急速に、復興、発展していけば、噂話に尾ひれがついて、不遇な環境にいる者たちが、例えば、家を継げない次男や三男、重税で苦しむ民たちが、夢と希望を胸に、この地を目指すようになる。
これが、撒き餌となって、さらに人が呼び込める。
辺境では使えない手だ。
主要街道に領地を持つから出来る手口といえる。
大変なのは、そこまでの仕込みだ。
取り敢えず、廃墟と化したカシムの領都を、そのままにはして置けないので、解体して、素材として、ストレージに収納した。
カシムの都は、更地となった。
久しぶりに王都を訪れ、早速、ミューゼル宰相に面会を申し込む。
2時間ほど待って、宰相との面会となった。
「ご無沙汰しております、ミューゼル宰相閣下」
「其方も壮健そうで、何よりだ」
「これもひとえに、王家を始めとする皆様の庇護のお陰と痛感しております」
「其方も口が回るようになった、良い傾向だ」
ミューゼル宰相は、満足そうに頷くと
「さて、今日の用向きを聞こうか」と切り出した。
貴族同志の面倒な会話は、正直、疲れる、サッサと本題を切り出してくれた宰相殿に感謝だ。
「中部に領都を置いたのは良いのですが、東部と西部の支城に、信頼できる代官が必要になりまして。 心当たりがないか、お伺いを立てている処でして」
ミューゼル宰相は、少し考え込んで、代官かぁ~と呟いた。
「直にとは行かんが、10日程時間をくれ。連絡は早馬で知らせる」
「承知いたしました。よろしくお願いいたします」
そう言って、王宮を後にした。
出来れば、セドリックのような信頼できる人をお願いします。
これでやっと、本命の東部の拠点探しができる。
今回は気が楽だ。極端な話、支城だけ造って、駅の管理だけして貰うのも一つの手だ。
そうは言っても、宿場町くらいは造ろうと思うが、大規模な領都を造らなくていいのは、気が楽だ。 そんなお気楽な気分でリーフリットと竜穴探しに勤しむ。
しかし、今回は難航した。
竜穴のある場所が、森の中や山の上、駅から離れ過ぎているのが問題だ。
やっと、一番マシな場所を見つけた。
駅から真北に位置する小高い丘の麓に、竜穴はあった。
これなら、小高い丘の上に山城を築いても、駅周辺の対応に困らない。
リーフリットにみんなを呼んでくるように頼む。
俺は早速、山城造りの下準備に入る。
まず、丘の両サイドを削り、コンクリートで岩肌を演出して、断崖絶壁を演出する。
削った土を丘の上に乗せ、段差を造る。
森の中に入り、灌木位の大きさの針葉樹を、根を残す感じで切り取る。
取り敢えず、100本位用意して、ストレージに収納する。
丘の両サイドに、針葉樹を植林してゆく。
この大きさの木を、そのまま植林しても、根が張っていないので、直に倒れてしまう。
そこで、植林した木に回復魔法ヒールを使い、根の張り具合を確認する。
こんな作業を続けていると、みんな呆然と、こちらを見ている。
「何をしてますの?」マリアンヌ嬢が恐るおそる聞く。
「山城を建てる下準備♪♪ 待ってて植林が、もうすぐ終わるから」
サクサクと作業を終えて、ここからが本番だ。
ディズニーのシンデレラ城のモデルになったと云われた城。
バイエルン国王、ルードヴィヒ2世が「古きドイツ騎士城の真の姿」と云うコンセプトの下、ロマネスク様式、後期ゴシック様式などの歴史主義、折衷主義に基づいて造られた。
ドイツ語で『新白鳥石』と云う意味を持つ『ノイシュヴァンシュタイン城』
ルードヴィヒ2世の死後、未完成に終わったが、白鳥の名に相応しい美しさは、最も美しい山城のひとつと云って、異を唱える人はいないと思う。
そのまま持って来ては、敷地面積が足りない、例によって文殊の最適化だ。
削れる物は、削り倒す、部屋数、高さ、幅、奥行き、削りに削って、敷地にピッタリのサイズに収まった。
「毎回、趣味に走っていましたが、これは極めつけですね」
呆気にとられたセドリックの言葉。
「これを、領都に建てれば良かったのに」アイシャは嘆く。
「これは山城だから映えるんだ。平城には合わないって」
「それでも、言いたくなる気持ちは、分かりますわ」
マリアンヌ嬢まで、アイシャに同意する。
「心配しなくても、俺たちの部屋は造らせるから」
「「ホントに、約束よぉ~♪♪」」
リーフリットとアイシャの息ぴったり。
「例によってマリアンヌ嬢、職人の手配、よろしくお願いいたします」
「受けたくないけど、承りました。毎度毎度、職人泣かせの城を造りますわね」
「処で、城下町の方は、どうしますか?」
セドリックの言葉に、俺の迷いを正直に言う。
「無理に城下町にするのは、どうだろうか?
リーフリンクにしろグランバニアにしろ、領都だからやった街づくりだし、余り無理する必要はない気がするが」
「それでは、東部だけ遅れているように見えますよ。
西部、中部が、あれだけ派手なんですから」
セドリックの言葉に頭を抱える。
そうは言っても、領都級の街を造るのは、如何なモノか?
大きな箱を造っても、土地を持て余す事に成り兼ねない。
この話は、一旦保留にして、俺たちは領都に帰還した。
仮住まいの領主邸で、ソファーに寝転がり、城下町の事を考えていた。
縦300メートル×横500メートルの中に1000人~6000人の人が住むのが、一般的な町だ。 円形の町なら、直径400メートル位。
これでは、明らかに見劣りする。
煮詰まっている処に、リーフリットとアイシャが入って来た。
「なんか、難航してそうね?」
リーフリットの言葉に、もう遭難間近、と答えた。
「これって、張りぼてではいけない?」
アイシャの言葉に、どういう事と尋ねた。
「だから、最初に大きく枠を取って、街道沿いを宿場町、残った部分を農地として農民誘致に使ったら」
アイシャの言葉に、目から鱗。
つまり外から立派に見えて、宿場町が潤って見えるようにして、後は農村とすれば自給自足も出来て、一石二鳥か。
「でも、それだと大きな問題があるわよ。日当たりの問題。城壁の影の影響で、作物の出来、不出来に関わるわよ」
リーフリットの指摘は、もっともだ。
「畑の場所決めるの、部落対抗のクジ引きにしてみれば、年に1回、春先なんて、どう?」
アイシャの案、採用。
「そうなると、畑の形は、この世界の住人が慣れ親しんだ細長いタイプが良いよな。
家を畑から離して別にする。
畑だけにして、日当たり良好をランクA、半日影をさすのをランクB、1日中、日が指さないのをランクCとして、ランクCには、減税で対応しないか?」
「家は別にすると云ってたけど、実際どうするの?」
リーフリットの質問に、日当たりの悪い所優先で、家を建てればよくないか?と言ったら、二人とも嫌そうな顔をした。
「それも含めて、農民と要相談だな」
「ねえ、人口が増えて、町の施設を増やす時、町人と農民で対立、ナンテコト、起らないかな?」
「それは今考えても仕方ない事だと思うけど、10年先か、20年先か分からないけど、その時の住人が、決める事だと思うよ」
リーフリットの言葉に、俺はこう返した。
町が発展する時、通る道だし、今心配しても仕方ないのだ。
次の日、俺たちの案をみんなに伝える。
意外とあっさり、賛同された。
街の規模は、話し合いの結果、縦1キロ×横1キロ、普通の町500メートル×300メートルが、6個入る規模だ。
俺のしたことは、支城から街への参道の舗装、精霊樹の植林、城壁の設置、道路の舗装、畑造りだけ。
領官と衛兵の募集を、セドリックに指示した処で、王宮からの使者が訪れた。
頼んでいた代官が、決まったのかな?
俺は、早速、王宮に伺候した。
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