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第33話 領都遷都は、藤原京?

 北部経済同盟の報が入ったのは、宣言から1週間経っての事だった。

 この同盟の発案者が、カシムだと知り、俺はカシムを舐め切っていた事を痛感するのだった。


「やられた! まさか、こんな手で来るなんて・・・」


 同盟内の関税撤廃、港を使っての交易、これで、北部に一大商業圏ができた事に成る。

 もしも、中央大陸と東方大陸まで視野に入れているのなら、得られる利益は莫大なモノに成る。

 北部の特産物といえば、毛皮、良質の木材、毛織物、乾物類、蝋燭など、普段、生活に必要な物が中心だ。

 これに、東方交易の贅沢品まで加われば、ドズル一派は、潤沢な資金を得られるようになるのだ。

 それに、北街道から遠ざけられても、関税を払えば、普通に使える。


 北部商業圏内の道の整備、小規模でも駅の設置、これで、商業圏の安全と利便性は担保される。

 そして、カシムはそのノウハウを持っている。

 伊達に、東海道の領主をしていたのでは、無いだろうから。




「よし、うちも貿易港を造ろう。」唐突に、俺は宣言する。


 みんな、目を丸くして、俺の顔を見る。


「いきなり、如何どうしたのよ」リーフリットは尋ねてくる。


「ずっと目を付けていた候補地がある。

 これで、貿易港を造れば、東方交易も視野に入れらえる」


「お話は分かりましたが、優先順位が違います。

 新たに領地が増えたのです。

 しかも、中部も東部も復興と呼ぶには、程遠い。

 まず、街道の整備、農村の誘致、漁村の復興、新たな領都の建設です。

 貿易港を建設するのは、その後です」


 セドリックのもっともな意見に、みんな賛同する。


「何をそんなに、焦っているのですか?」マリアンヌ嬢にまで、意見される。


「焦りもするさ、あいつら、東方交易まで、視野に入れている可能性が有るんだぞ」


「今すぐではありませんわ。港の拡張工事に、道路の整備、他にも貿易港は必要でしょう。

 軌道に乗るのに、早くて5年は掛かると思いますわ。

 それより、今お留守の足元の方が、ダ・イ・ジだと思いますが」


 マリアンヌ嬢の意見が正しいのは、理解できるんだけど・・


「ここは素直に、みんなの意見に従った方が良いわ。

 そんな顔して、暴走しても、碌な事には成らないから」


 リーフリットにまで反対されて、俺は折れるしかなかった。




 まず、既に入植している開拓村に向かい、既に植えられた農作物は一旦ストレージに収納して、畑の拡張工事を始める。

 多過ぎるのは、分かっていたが、西部と同じ基準で10反歩×4面の畑を造り、ストレージから農作物を取り出し、元に戻していく。

 その作業を延々と繰り返し、村の数も少なかった事から、1週間足らずで既存の村の拡張工事は終了した。


 街道整備は、今回、人任せだ。余裕があれば手伝うが、先に農村の数を増やしたい。


 そして、何より信頼できる代官が欲しい。


 仮に、中部に総督府を置いたとしても、横に広い領地だ。

 東部と西部に支城を置いて、代官を派遣する必要がある。


 東部と中部の拠点探し、精霊樹の苗木を植える関係上、竜穴を見つける作業がある。


 やる事が一杯で、何処から手を付けて良いのか、迷う有様だ。


 カシムの件で、貿易港なんて始めてたら、収拾が付かずに終わっていた。


 実るほどこうべを垂れる稲穂かな。


 下に見ていたカシムに、先を越され、しかも、海上交易まで視野に入れた施策は、俺を焦らすのに充分といえた。

 中身が無いから、頭が高い、自分より能力的に劣る者を見ると、つい見下してしまう。

 そして、手痛いしっぺ返しを喰らうと、我を忘れて暴走しそうになる。

 俺もまだまだだと、痛感した出来事だ。




 取り敢えず、中部と東部の拠点探しを優先した。


 中部の竜穴は直に見つかった。竜穴の位置に杭を打ち、飛翔魔法で上空から俯瞰ふかんする。


「今度は街道は良いだけど、竜穴が思ったより近い」


 平安京スタイルに拘っている俺にとっては、頭が痛い問題だ。


「それなら、竜穴の周りを広場にして、その後ろにお城建てれば」


 無責任とも思えるリーフリットの言葉に、それもアリかと思い直す。


「ねえ、リーフ、他にも竜穴はある?」


「これより小さい物で良ければ」


「取り敢えず、全部教えて」


 リーフリットが指定場所に、目印の杭を打つ。


 上空から眺め、一旦保留にした。



 領都リーフリンクに戻ると、早速、新たな領都の構想を開始した。


 今回も、ミニ平安京とは行かないらしい、竜穴の関係だ。


 真ん中に宮殿を置いたスタイルは、藤原京だったと思う。

 山の峰の関係で、南東部が大きく削られていたが、確か正方形に近い形の都だったと思う。


 今回の五稜郭は、函館の原寸大、しかも、本家では予算不足で見送られた半月堡を5つ備える予定だ。


 それも踏まえて、藤原京を叩き台にして、構想を練る。


 確か、藤原京は、南北4.8キロ 東西5.2キロ

    長岡京が、南北5.3キロ 東西4.3キロ

    平安京が、南北5.2キロ 東西4.5キロ


 最初は、1辺2キロの正方形で考えていたが、藤原京の1/4スケールも面白そうだと、思い直した。山の峰で削られた部分まで考慮しないから、1/4スケールの正方形だが。


 翌日から、1/4スケール藤原京の製作に着手した。


 まず、最初に精霊樹を植える位置を確認して、その北側に五稜郭を再現する。


 藤原宮の大きさは知らないが、五稜郭は、直径500メートル、出だしからなんちゃって感、満載だ。


 クリエイトスキル・創造、魔力を大地に流し込む。


 地面は3メートル盛り上がり、五芒星の形を成す。


 半月堡は5か所に設置して、幅30メートルの堀が形に添って、1周する。


 低塁の欠けた部分は復元して、本土塁に石灰岩の板を貼りつけ、堀の見える部分や半月堡にも同じ作業をする。


 2回目となると慣れた作業だ、サクサクとこなしてゆく。


 西洋風五稜郭・フルバージョンの完成だ。


 五稜郭の前を、リーフリットの言葉に従って、広場にする。


 精霊樹の苗木を植えて、前回と同じくギリシャ・ローマ風の屋根のない神殿を造り、これが、御神木であることをアピールする。

 当然、まだ苗木の為、認識阻害の結界と人避けの結界は張る。


 藤原京の1/4スケールなら、南北2.4×東西2.6になるのだが、やっぱり1辺2.6キロの正方形で行くことにした。


 縦横11本ずつの大路(片側2車線道路)の場所を決め、最初に下水道から作り始めた。

 後で、汚水処理場は、領都の外、人気の無い処に造る。


 レンガ造りの下水道が出来たら、土を被せ舗装してゆく。


 高さ7メートルの城壁と幅30メートルの水堀を造る。

 前回と同じく城壁と堀の空きスペースに坂を造り、武者返しも設置した。


 これだけの作業を僅かひと月で終わらせたのは、スキルと魔法頼りにしても、驚異的に早い。


 縦横10個ずつの大きな枡目が並び、桝目4分割する小路(片側1車線道路)が縦横に延びて、中央にドンと五稜郭がある。


 平安京のスタイルに未練があったので、正直、余り期待していなかった。

 マイナーな都だし。

 飛翔魔法で上空から眺めれば、余りの壮麗さに息を吞む。

 歴史に埋もれても、日本の都。

 そこらの街と一緒にするのは、そもそも失礼な話なのだ。


「リーフ、どう、感想は?」


「2回目だから、大した感動はないと思ったけど・・良いわね♪♪

 それで、どの位の人を呼び込むの?」


「計算上4万人なら、受け入れ可能だ」


「頑張って誘致しないとね」


「まず、セドリックとマリアンヌ嬢を呼んで、区割りや誘致の話をしていかないと。

 それが終わったら、カシムの領都の住人を全部、ここに引越しさせる」


 カシムの時代の領都だった場所は、400メートル位の円形の城壁に2000人位の人が住んでいるが、城壁は崩れ、全半壊した家が目立つ、復興と呼ぶには痛ましい状況だ。


 セドリックとマリアンヌ嬢、ローバーさんを呼んで、飛翔魔法で上空から俯瞰ふかんする。


「整然として、良いですわ♪♪ でもこれなら、円形の都市でも映えると思うのですが」


「円形の都市なんて、イメージできないよ」


 マリアンヌ嬢の言葉に、俺は苦笑する。


「取り敢えず、区割りを決めませんか?」


 ローバーさんの言葉で、早速、大まかな区割りが検討された。

 誘致も含めて話し合いが行われ、大まかな段取りが決まった。


「今回は、お城を造りませんの?」


 マリアンヌ嬢の言葉に、苦笑しながら答える。


「町も出来ていないのに、お城なんか建てたら、住民の反感を買わないか?」


「そうとも限らないと思いますわ。領都であり、総督府なのですから、有った方が街の象徴に成りますわよ」


「それについてのみんなの意見は?」


 意外な事に、賛成者多数だった。


 材料が足りないので爆買いしに行き、城の建設は明日にした。



 俺が建てようとしている城は、ドイツでは、その美しさから「北のノイシュヴァンシュタイン城」とか「湖の宝石」とか呼ばれる。


 北ドイツきっての名城、「シュヴェリーン城」だ。


 ノイシュヴァンシュタイン城も考えたが、あの城は山城だからこそ、映える。

 平城なら、断然、シュヴェリーン城だ。


 多分、フルサイズでも行けるか?と思ったが、保険として文殊に最適化を依頼する。


 クリエイトスキル・創造で、シュヴェリーン城は、形を成してゆく。


 唯一違うのは、玄関口、本家は玄関の上に、騎馬の銅像が置かれていたが、

 ここでは、魔王討伐をした仲間たちとの集合写真のように、銅像を配置した。

 仲間たちへの感謝の気持ちだ。

 ただ、討伐に参加していないアイシャを入れて、俺の像がリーフリットとアイシャの両手に花になっているのは、御愛嬌だ。


 シュヴェリーン城が完成すると、感嘆の声が上がる。


「これは最早、戦う城ではありませんね、城の形をした宮殿でしょうか?」


 ローバーさんの率直な意見。


「悪趣味な内装にできないから、胃が痛いです」とセドリック。


「私、ここに住めるのね、お姫さまみたい・・」


 リーフリットは、うっとりしている。


「ボクはこんなにブスじゃない。作り直しを要求する」


 銅像を指さして、いきなり抗議してきた。


 寸分たがわずアイシャでしょう? どこが気に入らないのか、見当もつかない。


 仕方なく笑顔に変えて、動きがあるポーズに変更した。


 アイシャが納得したら、今度はリーフリットも異を唱える。


 俺は溜息を付いて、笑顔と動きのあるポーズに変更する。


 ふたりだけでも大変なのに、これがハーレムになったら、心労で死ねる自信がある。


 今だって、ふたりの御機嫌を取るのに、四苦八苦しているのだ。


 異世界ハーレムの主人公って、凄いなと、遠い目をして呟いた。

 

最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。

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この物語があなたのストレスを緩和する、清涼飲料と成ることを願って。

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