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第3話 大貴族の横やり

 俺たちは、王都で休養と補給を済ませて、魔境アルメニア州へ。


 アルメニア州は街道の長さだけでも、250キロにも及ぶ。

 南は雄大な海がひろがり、平野部は他領と比較しても結構広い。

 北側は3000m級の山々が山脈を成している。


 サクサク狩っても結構広い。


 結局、全部狩り終えるのに、1年半の歳月が掛かった。


 全ての職業がスキルマスターまで上がり

 レベルも200を超えてからレベルアップが厳しくなったが

 どうにか250まで、辿り着いた。


 王宮に依頼達成の報告して

 王宮騎士団の安全確認が終了するまで、3ヶ月。


 今日は、約束の報酬を受け取りに、王宮の謁見の間にいる。


 王が玉座に座し、右側に宰相が立つ。

 俺は、片膝をついて臣下の礼をとる。


「面を上げよ」王の言葉に従う。


「アキュフェース、此度はご苦労であった。

 皆も既に聞き及んでいよう。魔境であったアルメニアの魔物が一掃されたのだ。

 これで東海道は復活し、多くの民が潤うであろう。

 アキュフェースよ。

 今こそ、兼ねてからの約束を果たそう」


「アキュフェース」


「はっ」


「兼ねてから嘆願のあった、エルフ、リーフリット卿との婚姻を許可しよう」


「ありがたき幸せ、不肖アキュフェース、王国の為微力を尽くさせて頂きます」


「続いて、アキュフェースをアルメニア州総督に任じ、合わせて伯爵に陞爵する。

 領土はアルメニア州全域に定める」


 王の宣言に、集まった諸侯は騒めく。


 初めて知る話ではない、国王から依頼があった時から、既に公表された事なのだ。


「謹んでお受けいたします。エストニア王国発展のため、微力を尽くします」


「お待ちください、陛下。お考え直しください!!」


 声の主は貴族派筆頭ドズル公爵。


「この様な暴挙、到底容認出来るものではありません」


「ホ~、暴挙と申すか。ドズル、何をもって暴挙と成すか。申せ!!」


「失礼ながら申し上げます。陛下もご存知の通り、

 旧アルメニア州には、貴族家が5家存在します」


「スタンピードの際、ほとんどの家が滅びたはずだが」


「アウゼンシュタト侯爵の嫡男カシム殿は、健在です。

 それに加えて他の分家、血縁者も残っております」


 ドズルは、ここぞとばかりに畳みかける。


「正当な後継者がいるにも関わらず、それを無視し

 ドコの馬の骨とも分からぬ輩に、アルメニアを渡すなど

 許されて良い道理ではありません」


 王様、あごひげを撫で。


「その件なら、問題ないはずじゃ」


 俺は、封蠟した筒状の書類を宰相閣下に渡した。

 宰相は、封蠟を解き、書類の表面を、貴族たちに見せた。


「カシム・フォン・アウゼンシュタットの相続権、所有権の放棄」の書類だ。


 国王、宰相、法務卿(宮中伯)のサインが入った、正式なものだ。


 こうなることは、最初から分かっていた。

 人間、欲がある。

 手に入らない状態なら、諦めも付くが

 安全が担保されたら、欲しくなるのが道理だ。

 

 仕事を受ける際、全て書面にしてもらった。


 旧アルメニアの遺児に対しても、所有権を放棄してもらわないと、

 結局、トラブルしかないと思ったのだ。


「発言をお許しいただけますでしょうか。陛下」


 カシムが発言を求める。見た目高校生ぐらい。

 

 育ちのいい良い処のお坊ちゃん、という感じだ。


「申せ」


「当時、我が愛すべき故郷は、魔境の地と化し、

 私には取り戻す力もなく、わが身の無力を嘆くことしか出ませんでした。

 そんな時、陛下より相続権の放棄を打診されれば、

 心情はどうあれ従うしかありません。

 今は、神々の恩寵により、故郷は悪夢から覚めることができました。

 祖先より綿々と受け継ぎし我が領を、

 我が手で復興させるは、神々から与えらえた使命であり、

 我が手で使命を果たしたい。

 これが使命であり、私の願いでもあります」


 基本気持ちは判るけど、随分身勝手な言い草だ。

 危険な時には顧みず、安全が担保されたら、これか。

 ドズルの真意など、利権絡みなのは、子供でも判る。


 ならば少し仕掛けてみる。


「ドズル公爵閣下、確認なのですが、

 カシム卿の領地はアルメニア中部なのでしょうか?」


「下郎!!誰が発言を許可したか」とドズル公爵。


 カチンときたが、ここは我慢。


「宰相閣下、お答えください。カシム卿の旧領は、中部で間違いありませんね」


「うむ、それで、間違いない」


「意見具申宜しいでしょうか?」と俺。


「許す」と王様。


「私、個人の意見としては、

 カシム卿に中部地区を返しても構わないと思っています。

 これで、東部と西部を、私が領有するのであれば、問題がありません」


「身の程をわきまえろ!!!小僧!!!

 領地経営をなんと心得るか!!!

 領地経営は、神々から選ばれた、我ら貴族の崇高な使命。

 選ばれた民たる我々こそが領民を導けるのだ。

 何処の馬の骨とも分からぬ、貴様なんぞに、

 どうこう出来る問題ではないわぁ!!」


 そうだ!そうだ!!と野次がとぶ。


 この喧嘩、そろそろ高値で買ってもいいよね?


「身の程をしるのは、あなたの方だ!!ドズル公爵」


「何だと小僧!!」


「気に入らなければ、決闘も受付ますよ。

 あなたとあなたの領軍全軍を、私一人でお相手しましょう」


「貴様舐めてるのかぁ~!!」


「だって戦争でしょう。これ。

 そもそも、この話は、陛下と私の間で交わされたもので、

 法的な手続きも、正式なものだ。

 部外者のあなたに、どうこう言われる筋合いではない」


 俺は一息ついて、一気に捲し立てる。


「滅んだ4家の分家、親族も怪しいものだ。

 大方、貴族派の次男、三男辺りを送り込もう、という処でしょう。

 男爵領程度に分割すれば、20は、入りそうですね」


 滅んだ4家も調査済み。

 生き残りは、居ないだ。


 一旦周りを見渡す。


「貴様、何を根拠に・・無礼にも程があるわぁ!!!」ドズル怒鳴る。


「図星の間違いでは無いですか?

 貴方は、独裁者にでもなったおつもりか?

 この国は王政国家だ。

 王政国家である以上、王とて法に従わねばならない。

 専制君主制の独裁国家とは、根本的に違う」


 一息ついて、更に続ける。


「あなたの在り様は、独裁者、そのものだ。

 私利私欲のために、在るべき法を捻じ曲げ、

 道理を無視して無理を通す。

 法を一度捻じ曲げれば、法は法として、その意味を失う。

 その罪、酷吏を放置するより、さらに罪深い。

 最低限の恥を知るべきなのは、貴方の方だ、ドズル!!!」


 ドズル公爵は、苦虫を嚙み潰したような顔をした。

 そして後ろに、何かの合図をした。

 そして紙の束がドズルに届けられる。


「陛下、これが貴族院の総意になります」


 それは、今回の件に反対する貴族院の署名入りの連判状だった。

  

最後まで読んで頂きありがとうございました。

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最後に、この物語が、あなたのストレス発散させる

清涼飲料と成ります様に。

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