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第28話 手押しポンプ

 田植えも終え、味噌、醤油の仕込みも終わり、懸案だった流下式塩田が、完成したとの連絡が入った。早速現地へ跳び、マリアンヌ嬢とローバーさんと一緒に、塩田稼働に立ち会った。


「今回は、手押しポンプで無く、魔導可動式にしてみてけど、上手くいったかな」


「問題ありませんわ。ただ、魔石への魔力の補充が大変みたいですが、取り敢えず、問題には成っていないようですわ」


「良かった。その部分が心配だった」


 アキュフェースは、ホッとした表情になった。


 そうこうしている内に、塩田の鹹水槽かんすいそうに海水の汲み上げが開始された。

 1ヘクタール当たり150キロリットルの海水を汲み上げる。

 出だしは順調そうだ。


 雨対策として、日本の工場位の大きさの温室を造った。

 晴天の時は、四方のアコーディオン式の扉?窓?が、折畳めるようになっている。

 勿論、硬化魔法で、飛来物対策も万全にしてある。


 閃くモノがあって、マリアンヌ嬢に提案してみる。


「ねえ、マリアンヌ嬢、手押しポンプを他領に売ってみるかい?」


「良いんですの」


「但し、売る相手は指定するけど」


 自領の村、領都には、手押しポンプの設置は完了している。

 ただ、ラノベの異世界物で、定番過ぎる品物で、儲けるのに気が引けたからだ。

 思い付きついでに、販売も良いかと思い直した。


 


 1週間掛けて、追加の新商品を造り、ローバーさんとマリアンヌ嬢を伴って、王宮に出向いた。早速、国王への謁見を申し出た。


 王宮の応接間へ通されて、国王陛下と宰相が待っていた。


「突然の来訪にも関わらず、快く謁見の機会を得られましたこと、誠にありがとうございます」


「アルメニア伯、其方そなたの噂は色々と耳に入っておる。

 中々、楽しませてもらっている。アルメニアの復興は順調そうで、何よりだ」


「恐れ入ります。まだ、道半ばでございます」


「して、今日は、どの様な件で参った」


 王の言葉に、ニコリと笑い。


「井戸のある場所に、移動しませんか?」と告げた。




 サクサクと手押しポンプを設置してゆく。


「これが、手押しポンプになります。使い方は・・」


 俺は近くにいたメイドさんに協力を頼む。

 呼び水を手押しポンプに入れて、ハンドルを上下に引いてもらう。

 すると、水は勢いよく汲み上げられる。


 メイドさんは、感極まって


「私でも簡単に汲み上げられます。もっと早くこれが有れば・・今までの苦労って・・」


 その様子を見ていた野次馬の一人が、俺にもやらせろと名乗りを上げ、ポンプを操作する。


「こりゃ、いい、」男はご機嫌で、水をくみ上げる。


 これを皮切りに、俺も俺もと、希望者が殺到する。

 その様子を見ていた王さまは。


「王宮全ての井戸に、設置するのに、どの位の日数が必要か。」と聞いてきた。


「失礼ながら陛下、これは旧式にございます。私が陛下にお勧めしたいのは、最新式になります」


「ほぉ~最新式と申すか、よかろう見せてみよ」


 陛下の言に従い、魔導ポンプ、水を貯めるタンク、魔導式ボイラー、空気中の魔素を魔力に変換する魔力変換器など。


 もうお気づきだろう、魔石を使った魔道具による、水道システムだ。


 魔力変換器で魔素を魔力に変えて、魔導ポンプの魔石に魔力を蓄える、魔導ポンプは井戸から水を汲み上げ、屋上のタンクへ、汲み上げられた水は、タンクの内にあるフィルターを通して濾過ろかされる。濾過された水は、水道管を通して魔導式ボイラーへ行くものと、直接各場所に送られるのに、別れる。調理場、お風呂、洗濯場、トイレなど。


 トイレを水洗にする場合、そのまま生活排水として流す訳にはいかないので、浄化槽を設置して、生活排水として問題のないレベルに落とし込んでの排水になるが。


「革新的なのは判った。しかし、これだけの物、白金貨2枚3枚の話ではあるまい」


 王さまの問いに


「王宮全体であれば、その通りですが、一先ひとまず、王族の方々の暮らす部分だけを、優先的に行い、後は、予算の具合を見て順次拡大してみてはいかがでしょうか」


「まあ良い、其方そなたの口車に乗るとしよう」


「これだけでは、陛下に損をさせてしまいます。臣から一つ、儲け話がございます」


 エストニア王国の王都グランシールは、港湾都市だ。

 一番イメージしやすいのは、東京もしくは江戸か?

 江戸城を中心に、海側を除いた、山手線に沿って、城壁が建てられているイメージで。

 そこに、人口30万の人々が暮らす。

 3万人で都会と云われる時代、比較の為、参考資料として、

 中世のパリで5万~15万、ロンドン1万、フィレンツェ8万、ヴェネツィア10万。

 その基準からしても、破格の大都市なのだ。

 そして、王都グランシールには、海があり、漁港、貿易港、砂浜海岸もあり、当然、塩田も存在する。


「まず、塩田に参りましょう」


 そう言って、王と宰相、護衛の近衛騎士たちと共に、王家直営の塩田に瞬間移動した。



 

 初めての転移魔法に一同驚いていたが、おもむろに王が問う。


「アキュフェース卿、ここで何をしようとしている?」


「勿論、塩の収益率アップです」


 予想した通り、この塩田は、揚浜式あげはましきの塩田だ。


 俺は、ストレージから、ハンドルがシーソーの形をした手押しポンプと消防車で見かける布製のホースを2本取り出した。


 手押しポンプには、移動が楽のように、車輪を付けて、移動用のハンドルも付けてある。

 手押しポンプの排水口と給水口それぞれに、ホースを装着して、俺は給水用のホースを持って、飛翔魔法で海まで飛び、海の中にホースを落とす。


 王たちの処へ戻ると、遠巻きに見ていた作業員3人を呼び、一人に排水ホースを持たせ、残りの2人にはシーソー型のハンドルを持たせ、ハンドルを上下に動かしてもらう。

 少しすると、排水ホースから、海水が勢いよく散水される。


「どうでしょうか、陛下。これで、塩田の作業効率はかなりアップすると、思うのですが」


其方そなたは、どの位の増産を見込んでいる?」


「実際、やってみないと分からない、事ですが、1.5倍から2倍はいけると踏んでいますが」


「その根拠は何か、申せ」


「では、謹んで申し上げます。

 この塩田で1番大変な作業は、両手に桶を持ち、海水を汲み、塩田に海水を撒く作業です。

 海と塩田を何往復もして、時間も掛かり非効率な上に、一番の重労働になります。

 これをポンプで代用すれば、後は塩砂を作るために、天日で干し、乾いた部分をひっくり返す作業のみですから、塩田を倍に増やしても、この人数で回せるものと愚考致します」


 王は、この塩田の責任者を呼んで問う。


「アルメニア伯が、こう申して居るが、実際、可能か?申せ」


 塩田の責任者さん、王さまを目の前にして、ビビりながらも答えていく。


「伯爵様のおしゃる通りと存じますが、塩田を2倍に増やされて、この人数で出来るか?と問われれば、判りません、としか言えません。

 ただ、この1.5倍の規模であれば、十分可能だと思います。

 何より、この機械を何台入れて貰えるかにも依りますが」


「ふむ、検討しよう」とだけ答えた。




 王様たちを王宮に送り届け、俺は一つの願いを口にした。


「陛下、お願いがございます。どうかわたくしめに、かの連判状の閲覧の許可をお願い致します」


「それを見て、何とする」


「何も。ただ、何方どなたが敵で、何方どなたが味方か、見極めたいと思っているだけに、御座います」


 王は、少し考え込んで、『まあ、良かろう』と言って、許可が降りた。


 これで、ドズル一派への嫌がらせが、開始できる。

最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。

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この物語があなたのストレスを緩和する、清涼飲料と成ることを願って。

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