第27話 醤油と味噌を仕込もう
3日前に田んぼに水を引き、今日念願の田植えが始められる。
精霊樹のゴタゴタで、時期的にはギリギリだ。
田植え機も無事造り終え、試運転を待つだけだ。
最初は、手押しタイプで充分と思っていたが、結局、乗車タイプの物にした。
『おらぁ、やっぱり、〇☆マーがええなぁ~』を参考にして造った。
5反歩の田んぼの田植え自体は、お昼時には、ほぼ完了していた。
お弁当を届けに、リーフリットとアイシャがやってきた。
「凄い、もう終わってるじゃない」
リーフリットの言葉に、俺は。
「残念、あそこの3列が、まだなんだ」
まだ終わっていない、田んぼを指さす。
「それくらいなら、先に済ませば良かったじゃない」
「そんな事したら、待てない誰かが怒るだろう」
「リーフはわがままだから、ボクなら、旦那様が終わるまで、健気に待つよ」
ハイ、そこ、リーフを煽らない。
「私だって、それくらい待てるわよ。 サッサと終わらせて来なさいよ、FUN」
ほら、こうなる。
「じゃあ、すぐ終わらすから、少し待ってて」
そう言い残すと、サッサと作業を再開した。
お昼は、シート敷いて3人で仲良くとは、成らなかった。
へそを曲げたリーフを宥めるのに、時間が掛かったせいだ。
機嫌が直りかけた時、アイシャが余計な一言を言って、また拗ねる、の繰り返し。
怒っているリーフも、可愛いから良いんだけど。
普通に考えたら、仲悪そうに思うリーフとアイシャ、実はとっても仲が良い。
何の遠慮なく言い合える相手は、何気に貴重だ。
予定より早く田植えが終了したので、取り合えず醤油の仕込みから始めますか。
何となく、昨日の晩、大豆を水に浸けておいて、正解だった。
【醤油の作り方】
①まず、小麦を乾煎りする。焦げない様に注意して。
ポップコーンのような、香ばしい香りがしたら、OK。
②炒めた小麦を粉砕機で砕きます。無ければ、袋に入れて、棒のようなもので、叩いて砕く。
砕いた小麦は、大豆と混ぜ合わせる台に広げる。
③丸大豆を前日から水に浸けて、柔らかくしておきます。
かまどに火を入れ、4時間、直火で炊き上げます。
④余分な水分を取り除きながら、釜から丸大豆を汲み上げます。
炒った小麦の上に、丸大豆を広げます。
⑤粉合わせ
炒った小麦、煮た丸大豆を混ぜ合わせていきます。
畑の畝のような山を作り、体温程度に、大豆、小麦を冷まします。
混ぜ合わせて、全体の温度をならしていきます。
種麹を振掛け、手で丁寧に混ぜ合わせます。
⑥麴蓋と呼ばれる浅い箱に、混ぜた大豆、小麦、種麹を、小分けにして、入れていきます。
多過ぎず、少なすぎず、バランスよく。
麹蓋を、麹室に入れて、40時間以上かけて、麹菌を繁殖させる。
半日経過後、全体的に繁殖が進む様に、手を入れます。
⑦仕込み
40時間以上経ち、麹菌の濃い緑色が目立つようになったら、麹室から出していきます。
予め、塩水を入れた木桶に、原料を入れて行きます。
四季の温度と共に、発酵する様子を見ながら、定期的に攪拌作業を繰り返します。
⑧搾り
仕込み桶で、じっくり発酵された諸味を汲み上げ、麻袋に入れます。
諸味の入った麻袋を、天秤絞り機の木槽の中に、丁寧に並べて行きます。
天秤棒を下げ、ゆっくりと圧力を掛けて行きます。
毎日、少しずつ圧力を掛けて、数日かけて、ゆっくり搾って行きます。
これが、生揚げ(醬油)になります。
これが、醤油作りの手順だ。
今日は、麴室に入れる作業までは、済ませている。
ざっくりと醤油造りの説明をすると、みんな、面倒くさそうと云う顔をしている。
ここは、醬油の良さを伝えるべきだ。
長方形の七輪を炭を用意して、豚のボイル大腸とネギによる、ネギマ?
生の鶏だと、焼くのに時間が掛かる為、縁日の屋台で、お馴染みのヤキトリをチョイスした。
炭を熾し、さっそく焼いてゆく。
モツは茹でて火が通っているので、ネギが焼ければ、OK。
焼き鳥のたれは、甘目のたれにした。
焼き上がった串をたれに浸け、軽く炙って、出来上がりだ。
まず、最初にローバーさんに渡した。
初めて見る食べ物を、恐る恐る口に運ぶ。
一口食べて、目を見開き。
「冷えたエールが欲しい!!!」と言った。
親指立てて、ドウよ♪♪、悦に入る俺。
その様子を見て、みんな、次々と口へ運ぶ。
「これは、これで美味しいと思いますが、おかずというより、酒の肴?」
マリアンヌ嬢は、お気に召さなかったか?
「私、初めて食べるかも?」
「ボクもー♪」
リーフリットとアイシャの言葉に、
「嘘だろう・・・」と呟いた。
日本の縁日の屋台では、定番だと思っていたが、これも地方区か?
ショウもないことで、呆けてる場合じゃない。
醤油の良さをアピールして、量産化に漕ぎつける事が、大事。
「しかし、これだけでは、判断できませんね」
シレと言うローバーさん、レシピ、料理の数が足りないという事だろう。
未知の調味料に1品だけって、確かに配慮に欠けていたかも。
今、手持ちの材料が無いので、また、後日改めて、となった。
さて、気を取り直して、米麹の仕込みでもするか。
味噌を仕込むのに、麦麹でも良かったが、折角米が有るのだから、米麹で仕込む事にした。
【米麴の作り方】
①調理器具を煮沸消毒する。
②お米を洗う。
③洗米したお米を水に浸ける。
④洗米したお米の水をよく切る。2~3時間は置く、ザルを振るのはNG
⑤お米を蒸す、目安は60分。
⑥蒸したお米に、種麴を振掛ける。(種付け)
お米の温度は36~40℃
⑦布に包んで、保温庫無い場合はクーラーボックスで保温する。
庫内を36~40℃に保つ、季節によっては、湯たんぽを使う。
⑧発酵して、温度が高くなった麹をほぐす。(麹の手入れ、1回目)
⑨麹の手入れ2~3回目、発酵具合では、4回目も。
⑩麹の完成。
【麹の保存】
出来たら、出来るだけ早く使う。
1~2日置く場合、冷暗所へ。2~3週間使わない時は、冷蔵庫へ。
3週間以上なら、冷凍庫で保存。
これで、麹も出来たので、明日、味噌を仕込む。
前日作業として、大豆をよく洗う。
18時間以上、水に浸ける。水の量は、大豆の3倍。
【味噌の作り方】
①たっぷりの水で、大豆を4時間煮込む。
②塩と麹を、大き目の樽でよく混ぜる。
③煮上がった大豆を袋に入れて、手のひらで潰す。
瓶で潰したり、磨り潰すのもOK。
④潰した大豆を塩と麹を混ぜた物に入れる。
ベトベトになるまで、よく混ぜる。
※この作業がいい加減だと、異臭がしたり、水が溜ったりする。
⑤空気を抜く為、団子状にして、別の樽に投げ入れる。
グッグッと、樽の底から拳で押し込む。
⑥詰め終わったら、空気に触れない様に、水に濡らした越前和紙で密閉する。
中蓋をして、その上から重石を置いて、1年間、熟成させる。
※保存場所は、直射日光を避けて、風通しの良い場所で保管。
「これで、自家製醤油と味噌、楽しみだね♪♪」
無邪気に言うリーフリットを見て。
「来年は、量産体制確立して、他の誰かに任せたい」
「なんか、疲れ切ったオジサンみたい。
ここで頑張れば、あとでタップリ、サービスするよ」
アイシャまで、そんな事を言い出す。
「今は疲れたから、少しゴロゴロしたい」
「それでしたら、良い案件がございます」
何時の間にかセドリックが来て、強制的に執務室に連れてかれた。
「ゆっくりお座りなって、書類などを、眺めてみては如何でしょうか?」
机の上には、未決済の書類の山。
普段、セドリックに丸投げしている分だ。
「たく、分かりました、やりますよ」
俺はブツブツ言いながら、領主としての本分を果たす為、書類と格闘した。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
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