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第21話 植林は、巡り巡って自分のため

【お詫びと訂正】

(誤)旅館・ホテルの満足度ランキング➡(正)旅館・ホテルの数

 誤った情報を発信してしまい、大変申し訳ございません。

 訂正してお詫び申し上げます。

 

 復興したての2つの漁村は、毎日の水揚げが領都に運び込まれ、領都民の食卓に彩を加えている。


 漁港の近くにある駅や農村からも、新鮮な魚と保存の効く干物などを、買い求めに出かける様子が見て取れる。


 領都の人口も7000人を超え、1万人に届きそうな勢いがある昨今、食料の安定供給は、必須の課題だ。


 しかし、供給過多になっては意味がない。


 悩ましい問題だ。


 3つ目の漁村の開港を、どうしようか、考えていると、白龍王が遊びに来た。


 領都リーフリンクの桔梗宮ききょうきゅうに遊びに来るのは、結構な頻度なので、領都民には、見慣れた光景だ。


 少しの間、会話をして去ってゆく。


 最初こそ驚いていたが、害が無いと分かると、安心してそれぞれの生活に戻っていった。


 領都民には、また来てると云う感覚だ。


「いらっしゃい、今日はどうしたの?」


「今日は、少し気になる事があっての」


 龍王様、思案顔。


「北の山麓が、異常な速さで、伐採されておるのは知っているか?」


 不思議な話じゃ無い、今も領都は建設ラッシュが続いている。

 当然、そういう事態も察知できたはずだ。


「山一つ、禿山になるのに、どの位掛かる?」


「すぐという訳では無いが、10年は掛からないと思うぞ」


「そいつは、早目に手を打たないと、取り返しが付かなくなるかも知れない。

 とにかく、知らせてくれて、ありがとう」


「なぁ~に、気にするな。では、な。我も帰るとしよう」


 そう言って、白龍王は帰っていった。

 知らずにいたら、大惨事になる処だった。

 知らせてくれた龍王に感謝だ。


 

 翌日、農林水産部の領官を伴って、山麓の裾にある木こりの村を訪れていた。


 お互い挨拶を済ませ、村長と屈強な男たち数名に、半包囲された状態で俺は話を切り出した。


「これから予想される災害回避の為に、定期的に植林を行って欲しい」


 村長も含めて、俺が何を言っているのか、理解できないらしい。

 そんな顔をしていた。

 俺は、1つ1つ丁寧に説明してゆく。


 ところで、平城京が長岡京に遷都する事になった原因の一つが、水害である事は、ご存知だろうか。


 この当時、一人が、1年間に必要とする木材は薪も含めて、立木10本と云われている。

 当時の平城京の人口は10万人から、最盛期には20万人を数えた。


 つまり、1年間100万本から200万本の立木が、必要となったのだ。


 狭い盆地の奈良平野周辺の山は、たちまち禿山となり、保水力を失った山は、土砂崩れを引き起こし、少しの雨で鉄砲水となる。


 元々あった湿地湖は、自然破壊でせき止められ、行き場を失った水は、悪臭を放ち少しの雨で氾濫する。


 元々、水はけの悪い奈良盆地は、水害のたび土砂崩れで、家は土砂に埋まり、田畑は水没する。


 水はけの悪さから、生活排水は、その場に留まり、水質悪化を招く。

 平城京は、僧侶の横政だけでなく、水害にも苦しんだ都市といえる。


 今でも、大和川の水質悪化、森林伐採、水はけの悪い奈良盆地の洪水等の水害に悩まされている。


 奈良は、日本を代表する観光地にも関わらず、インフラ整備に多くの予算を取られ、旅館・ホテル数は、46位と下から数えた方が早い。


 1度失った自然を元に戻すのは、2倍3倍の努力や忍耐では足りない。

 そのことを踏まえて、説明しているのだが。


「それが何だって言うんですかい。今すぐ如何にかなる問題じゃないでしょう」


 きこりの一人が、声高に言う。


「そうだ、そうだ、今は、納期に間に合わせるのが精一杯だ。

 余計な仕事何ぞしてられるかい」


 別の男が息巻く。


「ではお前たちが禿山にして、お前たちの所為せいで水害が起こった時、お前たちは、どう、責任を取るつもりだ」


 俺は質問する。


「どうして、俺たちの所為だと言える。そんな訳の分からない理屈で、俺たちの邪魔をするんじゃねぇ!!!」


 強面のきこりが息巻く。


「理由はさっき言った。そうなる前に、手を打ちたいから、こうしてお願いに上がっているのだが」


 俺はため息交じりで言う。


「だいたい、そんなの俺らの仕事じゃない。そんなに遣りたきゃ、別に人を雇うんだな」


 強面のきこりが決を下す。


「村長も、こいつらと同意見なのか?」


「残念ながら、そんな話を、今まで聞いたことがございませんので」


 村長は、一応申し訳なさそうに言う。


「残念だ、これは、最後通達だ。従うかどうかの」


 俺は、飽くまで冷静に告げる。


「HAN!!話にならねえ、おい、行くぞ」


「残念だ、自分の言葉に責任をもてよ」


 俺はそれだけ告げると村長宅の外に出た。



「お~い!龍王!!交渉は決裂だぁ~」


 俺は大声で、龍王を呼ぶ。

 白龍王は姿を現して、村長宅の前で、ホバーリングをする。


「では約定通り、こ奴らを好きにして構わないな」


「ああ、構わない」


 俺は聞こえる様に、ワザと大き目の声で喋る。


「我の住処を荒らしたのだ、相応の罰をくれてやろう」


「出来れば、苦しまない様に頼む。

 領主への不敬罪も込みだ。問題には成らないと保証する」


 俺はそう言うと、ニヤッと笑った。


 龍王は、心得た、とばかりに、尻尾で村長宅を揺らす、壊してはいない。

 揺らしただけだ。

 肝を冷やした男たちは、大慌て飛び出してくる。

 村長を始めとして、男たちは土下座をして許しを請う。


「領主様、命ばかりはお助けください」


 村長も必死だ。


「何故、助ける義理があるのだ」


 俺は、冷たく突き放す。


「お前たちを放置すれば、山は禿山となり、少しの雨でも鉄砲水を呼び、

 堤は決壊して、多くの領民が命を落とす。

 龍王は、この事態をいたく憂いていた。

 俺は龍王を説得した。

 お前たちが切り倒した分を、植林して森へ返す。

 自然との共栄が出来れば、龍王とて異論はない。

 俺が植林を指示したのは、お前たちの為ではない、孫の代の為だ。

 孫の代まで、豊かな森林資源を残す為だ。

 それを己の欲に目がくらみ、罪のない我が領の民を苦しめる。

 そんなお前たちを、なぜ救わねばならぬのか、聞かせて欲しいものだ」


 ほとんど脅しに違いないが、上手くいって良かった。


 龍王効果、抜群だ、村長は、植林を手掛ける事を約束した。


 人手が足りない様なので、森の恩恵を受ける、もう一方、漁村に足を向けた。




 漁村は関係無いでしょう、と思ってる、あなた。

 実は、豊かな森は、豊かな漁場を生み出すのです。


 河が森を通る時、森の土の養分が水に溶けだす、河口付近で栄養たっぷりの水が海水と混じり植物性プランクトンを発生させる。


 植物性プランクトンは、動物性プランクトンに捕食され、動物性プランクトンは、小魚の餌となり、小魚を求めて大型の魚が現れ、漁場は豊かなモノになる。


 河口の豊富な養分は、貝類の育成にも一役買う。


 ただ注意してほしいのは、特に牡蠣なんだけど。


 動物の糞などが河の水に溶けだした場合、その中に『O157』が混じっていた場合、それも養分と一緒に体内に取り込む為、排出すればいいのに、そのまま体内に貯め込んでしまう。


 その為『生牡蠣』で食当たりを起こすケースがあるのだ。


『生牡蠣』を鉄砲と揶揄するのは、これが、原因。


 保健所の職員が、安全だという基準は、牡蠣を鍋に入れて、牡蠣が煮過ぎて小さくなった状態。

 絶対、鍋奉行が怒り出すレベルだ。 


 話がソレタので、本編に戻る。


 漁村の村長に話をしたが、案の定、理解は得られない。

 仕方が無いので、また龍王様に脅してもらう手を使った。


 その時、突然、大型のクラーケンが現れ、龍王様、あっさり撃破。

 それを見て、村長も判ってくれたようだ。


 もう一つの漁村も、龍王様のおかげでめでたく解決。


 話し合いの結果、水曜日、週1日だけ、植林のお手伝いをする事になった。

 距離があるので、こちらから馬車を出すことにした。


 余計な仕事を増やしやがって、言いたい事は判るけど。


 森を維持管理することは、周り廻って、豊かな漁場を維持することに繋がるのだから。


 協力して欲しいかな。   

最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。

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この物語があなたのストレスを緩和する、清涼飲料と成ることを願って。

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