第13話 勇者式BOOTCAMP ①
領都リーフリンクでは順調に誘致が進み、この街は今、建設ラッシュを迎えている。
まず、街道沿いの1等地には、宿屋、高級ホテル、大商会の商館、商業ギルドの支部、冒険者ギルド、飲食店などが早くも軒を連ねている。
それに伴って、従業員の住宅も急ピッチで整いつつある。
人口も絶賛増加中だ。
平城京でいう、外京を外苑区、右京を西区、左京を東区と呼ばれ。
縦横に延びる道路は大路と呼ばれ、横に延びる大路は、上から一条二条と続き、
これは平城京の時の呼び名を、そのまま使った。
ただ、平城京の二条大路は、この街の一条大路に成る為、歴史に詳しい人は、混乱しそうだ。
羅生門は南門に、朱雀大路はそのまま残した。
一坊大路から始まる縦の道路は、良い名称が無いか、思案中。
平城宮の位置にある五稜郭は、桔梗の花に形が似ているので、『桔梗宮』とした。・・雅だろう。
しかし「宮」って、王族でもない俺が使って大丈夫だろうか?
・・言われたら、改名すれば良いか。
五稜郭の低塁と本土塁の間に、等間隔で桜の苗木を植えた。
星形の堀にも、等間隔で桜の苗木を、公園にも桜の苗木を、朱雀大路にも、等間隔で桜の苗木を植え、更に領都の横を流れる河の河原にも等間隔で桜の苗木を植えた。
領都を通る東海道には、両方の歩道に一定間隔で銀杏ともみじを植える。
これで、春と秋が楽しみだ。
五稜郭の竜穴に植えた世界樹の苗木は、精霊樹の若木としてすくすく育っている。
東海道を境に、北が山の手、南が下町。
ザックリした分けかただけど、大体そんな感じ。
領都が順調なので、俺は開拓村の数を増やす事に勤しんだ。
目標は、今年中に20の開拓村の誘致。
その理由は『五芒星型・星形要塞』通称、五稜郭は日本に2つある。
函館は余りにも有名だが、長野県にも龍岡城という五稜郭がある。
別名を、桔梗城という。
ウチの本拠地の元ネタだ。規模は函館の半分ではあるが。
龍岡城を居城にした龍岡藩1万6千石は、25の村を統治していたという。
1万6千石で、25の村。
それなら20復興させれば、男爵領並みに復興したことになる。
潜在的には17万石あっても、形にできる領民が居なくては意味がない。
計算上、1万石で15~16の村。
しかし、今は、少しでも、多くの村の復興だ。
前回の失敗がある為、入村希望者には転移で移動して、俺の作った畑を見てもらう。
日本式がいいか?今まで通りの畑にするか。
聞いてから行うようにしている。
四輪式農法を行う前提で、メリット、デメリットを説明してゆく。
結局、俺の作った畑を選択することが多い。
自宅と畑のアクセスのし易さが、受け入れられたようだ。
村の中央広場には、礼拝所、大衆浴場、雑貨屋、交番代わりに、常駐する衛兵の詰め所などを設置した。
リーングランデ経由で、各村の子供たちに、読み書きそろばんを教える様に、司祭たちに依頼した。
教えるのは、午前中のみ、昼飯は領主持ち。
それでも、子供は貴重な労働力、とする意識が根深くて・・
俺は領主権限で義務化させた。
渋々、従ったが不平不満は、明らかだ。
心配になったので、昼時こっそり様子を見に寄った。
村の広場に村人が集まり、子供たちとテーブルを囲む。
村の女衆は、食材を持ち寄り料理をして振舞っている。
司祭は、子供たち相手に楽しそうに寓話を話している。
子供たちは子供たちで、字が書ける事、計算が出来る事を、自慢している。
それを見守る親たち。
余りにも好い雰囲気なので、邪魔しちゃ悪いと思い、黙ってその場を後にした。
自分がして来たことが、報われた気がして、少しきた。
領都と村の近況を、簡単に説明するつもりが長くなったので、本編に戻ります。
事の始まりは、衛兵隊長のフランツが、酒場で冒険者同士の喧嘩を仲裁して、逆にポコポコに伸されたのがそもそもの原因。
「いくら何でも、不味くないか、これ」と俺。
「憂慮すべき事態です」と執事のセドリック。
「いくら相手がB級でも・・弱すぎでしょう」とリーフリット。
領都の治安部隊が、抑止力にならない様ではお話に成らない。
鍛え直すのは良いとして、何か効率的な方法はないか、思案中。
(告:転職システムの簡易バージョンを推奨します)
「何それ、初めて聞くけど」
(簡易パーティリンクが使用可能、ジョブは基本職限定、
念話、データのやり取りは不可、リンクの人数に上限はありません)
人数制限のあるパーティリンクの劣化バージョンか。
別に魔王討伐や竜退治が目的では無いから、確かに上級職は必要ない。
鍛え直す場所が、何処が良いか考えていたら、
ふと、懐かしい場所を思い出した。
「鍛え直す場所さぁ、ファルムス王国のシスアの森って、どう♪♪」
「「えぇっ~!!」」
「ファルムス王国、シスアの森~♪♪ じゃ、無いでしょう!!」
リーフ、ネコ型ロボットが、アイテム出す時の言い方やめようよ。
「それって昔、あなたが四天王のひとりに負けて、鍛え直すとか言って籠った魔の森のこと」とリーフリット。
「俺じゃなくて、俺たちな。 大体、お前だって一緒に居たろう」
「あそこは危険度Sの魔境ですよ。死人がでますよ!!」
セドリックが慌てる。
「俺が引率するし、問題ないだろう」
「いやいや、そういう問題じゃありませんよ」セドリックが食い下がる。
「流石に領軍全軍じゃあ多すぎるから、隊を3つに分けるかな。
1ヶ月籠ってもらえば、使い物になるだろう。
そうなると俺、3ヶ月籠らにゃならんのかぁ~憂鬱だぁ~」
「それなら取り合えず1ヶ月やって、1,2か月間を置いてやれば?」
「・・それしかないかな」
(文殊、レベリングは可能?)
(了:問題ありません。)
「セドリック、第1陣の人選を頼む。あとフランツは強制参加な」
「畏まりました!これから、兵部に行って人選作業をしてきます」
そう言って、執事のセドリックは出て行った。
「俺も王宮へ行ってくる。陛下に許可貰いに」
そう言って返事も待たずに転移した。
それから1週間、俺たちは、ファルムス王国のシスアの森の入口にいる。
ファルムス国王に、挨拶を済ませ許可を頂いた。
現在の領兵115名、第1陣は35名、
これから、勇者式BOOTCAMPの始まりだ。
まず簡易リンクとジョブの説明をして、
戦士・格闘家・僧侶・魔術師の中から選ばせる。
とは言え、実際は2択だ。前衛向き(戦士or格闘家)中衛(盗賊or弓使い)と後衛向き(僧侶or魔術師)
基本職には、踊り子、薬師、商人などもあるが、衛兵強化には関係無いので無視。
この世界の人々は、レベル20で一人前、30で中堅、40でベテラン、50で手練れ、60以上は人外扱い。
フランツが辛うじてレベル20、後の者は15~18といった処だ。
経験上、基本職なら1つのジョブを、スキルマスターまで上げるのに、10~15のレベルアップが必要。
1つ、スキルマスターになれば充分なのだが、やはり2つはマスターになって欲しいというのは親心。
「オラオラオラァ!!腰が引けてるぞぉフランツ!!!
女のけつ、追いかけ回している時みたいに、根性見せやがれ!!」
「言われなくても、やりますよ」
フランツは、余裕の表情で言葉をかえす。
格好だけは、一人前だ。取り敢えず一撃いれる。
しかし斬れてない、こうなると剣もただの鈍器だな。
俺は、ワイバーンをシャドーバインドで拘束している。
衛兵たちに、最低1回は攻撃させている。
「伯爵、なんてことしてくれるんですか!!」
ジャンヌは、涙目で、火球魔法を打ち込む。
「こんな処で死んで、たまるかぁ~」
トーマスのヤケクソの槍が、ワイバーンに当たる。
「クッソたれぇー、絶対、化けて出てやる!!」
ジャンもヤケクソだ。
一通り攻撃したのを見届けて、サクゥととどめを刺す。
次の瞬間、衛兵たちは、痙攣したような動きをして次々に気を失う。
俺は経験ないが『これがレベルアップ酔いかぁ』
周囲を警戒しつつ、衛兵の目覚めを待つ。
こればかりは、ポーションで治す訳にもいかない。
今回の元凶、フランツが目を覚ました。
「伯爵、私を目の敵にしていませんか?」
何だろう、見た目、ダンディー、30歳過ぎ、漂うシ〇ーンコップ臭は。弱いくせにシェー〇コップ臭をまき散らすな!!
シェーン〇ップを気取るのなら、チートな程強くなってからにしてくれ。
「そりゃ~今回の元凶だからね」
「それを言われると耳が痛いですがね。しかし、サシなら勝っていましたよ」
「強がりもそこまで言えれば立派なものだ」
今の一戦で5レベル、戦士スキルも5レベルアップかぁ。
予想より早いかもしれないな。
「信じてませんね。今度実力をお見せしましょう」
だ・か・ら、シ〇ーンコップ臭をまき散らすなぁ~。
こっちまで、奇跡の提督方向に引っ張られるだろうが。
畏れ多いので、勘弁してください。
「伯爵、ひどいです。これじゃあ、命が幾つあっても足りませんよぉ」
ローザが目を覚まして抗議にきた。確か、僧侶を選択していたはずだ。
「文句はフランツに、言ってくれ」
「やれやれ、私が悪者ですか」
悪びれずよく言うよ。
それを皮切りに次々と目を覚ました。
では、第2ラウンドといきますか♪♪
この調子なら予定より早く終わりそうだ。
目標は、2つのジョブのスキルマスター。
頑張れ、みんな、俺は応援してるからな。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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