第12話 カルチャーショックにおかんむり!!
新たに領官、衛兵を雇い入れ、俺たちは、新しい仲間と、
まだ、領民0の領地経営がスタートした。
まず、領官の部署。
財務部~領の財政と税 文部~学校などの教育機関
民部~戸籍、土地台帳の管理 工部~道路、治水事業など
法務部~法律、慣習法に基づいて裁判を行う。
農林水産部~農業、林業、水産業の支援、監督
兵部~衛兵たちの治安維持
各部署のTOPに俺がいる。
執事のセドリックは、相談役だ。
体制も整ったので、農民を向かい入れる為にも、畑の開墾へ、と思った処で
先に街の区割りを、決めてくれと言われ、大雑把に決めていった。
村興しの最初は東口から出て、直に北へ曲がり、
暫く歩いた先に打ち捨てられた廃村がある。
この時気づいていれば、無用のトラブルには成らなかった。
村を復興させる順番は、まず、領都周辺、次に各駅周辺、そして、全域へ。
領都の周辺は、常識として、駅は将来、宿場町に発展する可能性がある。
優先順位は、自ずと高くなる。
俺は、まず、分解で廃屋をストレージに仕舞う。
ストレージ内で素材分解され、素材別に再利用可能だ。
更地にしたら、早速、畑作りだ。
スキル、クリエイト・ガイアで、不要な石を取り除き、1面10反歩の畑に変わる。
俺が何をしているかは、紙に書いた方が解り易い。
正方形に縦横2本の線を、等間隔に入れる。
9等分された枡目の真ん中を、自宅として、周りの2マスを1面とする畑とする
自宅を中心に4面の畑ができる。
自宅を中心に4面の畑に、簡単にアクセスできる。
利便性を考えた自信作だ。
それに自宅部分の土地は5反歩ある。
自宅、家畜小屋を造っても、まだ余る。
家庭菜園のように、自分たちの食い扶持を育てても良いし
薬草など育てて、副収入を得てもいい。
果物の木を植えるのも、ありだろう。
後は、自分の頑張り次第で、どうとでもなる環境を作りたかったのだ。
俺は異世界物の定番、輪栽式農法を考えている。
「輪栽式農法って、ノーフォーク農法みたいな?」
俺は、リーフリットの言葉に驚いた。
ノーフォーク農法を知っているとは、思わなかったのだ。
「俺のやりたいのは、四輪式農法の方だ」
「違いがよく分かりません。
ノーフォークの言葉は知っていても、内容までは・・・ちょっと」
やっぱり、俺のリーフだ。
「では、まず、ノーフォーク農法から。
ノーフォーク農法、別名、六圃輪栽農法。
名前の通り、畑を6面使う。
かぶ(飼育用)→大麦→クローバー(刈取)→クローバー(放牧)→小麦→大麦
これを1年毎に場所を移して、順番に行う。6年で1周する。
クローバーには、土を活性化させる作用があるから、
それに家畜の糞は、そのままたい肥にもなる。
本当は、糞を畑に直接撒くより、別にたい肥として造った方が良い。
実際、面倒がってやらないだろうから。
わざわざ休閑地を作らなくても、土地が痩せることは無い。
この方法にするのが、良いんだ」
「これって、広い土地と人手が多く必要にならない?」
その通り、リーフ、賢い。
「正解。俺の遣りたいのは、もっと簡単な方。
その名も、四輪式農法。
小麦→かぶ(飼育用)→大麦→クローバー(放牧)
これもさっきと一緒、1年毎に場所を移して、4年で1周する。
理由はさっきと一緒。
それに小麦が終われば、二期作が出来そうだし」
「小麦を2回、作れるの?」
「それは、二毛作。普通、稲作に使う言葉だよ。
俺の言っているのは、二期作。
例えば、小麦の後に、ほうれん草を植えるとか、
別の野菜を植えて、畑を休ませないのが二期作だ。
それに冬に『かぶ』を植える事で、餌不足の理由で、
冬前に殺していた家畜を、殺さずに済む様になる」
「処で、この畑の大きさの基準は?」
俺の作った畑を指さし、尋ねた。
「家族5人想定、大人二人と子供三人。
1石=1反歩、5反歩あれば、まず、飢えない。
ちなみに1反歩=約10アール。
これに税金が5割来るから、困らない様に10反歩。
四輪式農法を遣りたかったから、それを4面」
「えぇっ、税金って、そんなに高いの?」
「5割は普通。4割なら格安。7割超えたら暴動・反乱。」
「あり得ないわぁ~」
今度は、俺たち、取る側なんだけど・・・
話にキリがないので、俺は、作業を再開した。
サクサク作って、20戸分。
取り敢えず、第1陣の移民は、受け入れられるかな。
それから、1週間、場所を移して、開墾作業に勤しんだ。
今、こっちで忙しい俺は、俺以外の決済で済む物は、セドリックに丸投げした。
それから程なくして、移民希望者の第1陣が到着した、という報を受けた。
俺は、自信満々で俺の作った畑を見せた。
俺は、得意満面の顔で、四輪式農法の解説を始める。
これこそが、農民が飢えずに済む、秘策なのだ。
「~~以上が、四輪式農法になります。
畑を休ませず、痩せさせず、安定して農作物を供給出来ます。
家畜に関しては、私の方で用意しましょう。
何がいいか、あとで教えてください。
農耕馬に関しては、値段が高いので、各家に回すのは困難ですので、
村長に預けますので、不満が出ない様に上手く取り計らってください」
ここまで、至れり尽せりの領主も居ないだろう。
皆、戸惑っている様だ。そうだろう、そうだろう。
ここまでサービスの行き届いた、領主など、あり得ないだろう。
「あのぉ~御領主様、畑というのは、コレでしょうか?」
村長がオズオズと尋ねてきた。
予想の斜め前の言葉に面食らう。
「・・・他に、何があるのか?・・」
言葉の意味が理解できない。
「私どもの言う畑とは・・・」
村長の話が始まった。
つまり、村長たちの畑とは、縦に20~30m、横に200~300m
細長いタイプの物だ。
例えば、セロハンテープを例にすると、
幅2cmのセロハンテープを20cm引き延ばして、貼り付ける。
同じものを、それに沿って、次々と貼っていく。
その1面に広がる光景が、彼らの言う、畑なのだ。
日本式の畑は、畑に見えないらしい。
彼らの言う畑の方が、農耕馬で畑を耕す時も、麦を刈り取る時も楽だそうだ。
俺は、一瞬でパニックになった。
俺は最低限、飢えない様に、計算して用意した。
頭が真っ白で、上手く計算ができない。
1反歩が10アール、1アールが100㎡だから・・
・・・10反歩で10000㎡・・
4面だから40000㎡
対して、30m×300m=9000㎡
これが4面だから36000㎡
これ、話に乗った方が、安く上がる。
でも、今迄やってきたことを、否定された気がした。
どうしたら、飢えずに済むか、どうしたら、短期間で結果を出せるか。
どうしたら住み良い村に出来るのか。
そんな想いを、高々、畑の形が違う、そんな小さな事で全否定された気がした。
腹の中は煮えくり返っているのに、頭は妙に冷めている。
そんな状況に、自分で自分を、笑った。
「私は異世界から召喚せれた召喚者だ。
その為、この世界の常識に疎い点がある。
まず、その不明を詫びよう。
諸君らが、今までの形が良いのなら、2日、待って欲しい。
希望通りに作り直そう。
私の用意した畑は、最低限、飢えない様に配慮した畑だ。
私の用意した物が、気に入らないというのは、私の落ち度だ。
だから、選んで欲しい。
作り直すのか、どうか。
これは、君等自身の問題だ。
村長!!返事は、どの位待てば良い?」
いきなり呼ばれて、村長はビクッとする。
「・・明日には・ご・返事できると・・思います。」
「判った、また明日来よう。」
そう言って、踵替えした。
せっかく頑張ったのに・・・・・どうとでも、なれ。
そんな気分で開拓村を去った。
自分の遣った事を、全否定されるとは思わなかったのだ。
開拓事業なんて、結果がでるのは、早くて3~4年、
荒地の土が、畑として使える様になるのに、早くてそれくらい掛かるからだ。
10年、20年掛かるのはザラだ。
それを、1年で結果の出る様に配慮したのだ。
高々、畑の形が違うだけで、
自分の遣った事、全て、否定されるとは思わなかったのだ。
悔しいやら、悲しいやら、情けないやら、色々な感情が渦巻いて・・・
こんな気分で、リーフを抱いたら、
取り返しのつかない事に、成りそうな気がして
どこにも当たり散らせない気分を抱いて、眠りについた。
あまりに、腹の虫が収まらなかったので
農林水産部の領官に返事を聞きに行かせた。
結局、俺の作った畑を使うことに決めたらしい。
それなら、そうと、最初から言えよ。
俺って、こんなに沸点低かったのかと、自覚した、一件だった。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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