第10話 NANTO!!小さな平城京!!!
取り敢えず、領都に拠点が出来たので本格的に街づくりだ。
簡単に云えば、3キロ×2.6キロの長方形と1.2.4キロ×560mの長方形、
大きな長方形の右横に小さな長方形が付く感じで、想像して貰えればそれっぽく見えるかな。
縮尺のいい加減な小さな『平城京』・・・みたいな。
俺たちの拠点洋風五稜郭は、平城宮の位置に置かれている。
6車線(片側3車線)の東海道は、外京の東門(二条大路辺り)から、
斜めに延びて左京の西門(五条大路辺り)に延びている。
ここが、メインストリートになるのは、間違いない。
南門(羅生門)から洋風五稜郭(平城宮)まで6車線道路(片側3車線)が真直ぐ延びて、
それを起点に左右5本ずつ等間隔に、4車線道路(片側2車線)が南北に。
8本の4車線道路(片側2車線)が東西に延びて、碁盤の目を呈している。
全ての道路に歩道を設けた。
道路を広く取っているのは、防火対策も兼ねている。
消防車なんて無い時代だから、
燃え広がる区間を、最小限にする為だ。
升目になっている区間を1町とし、住宅街には1町毎に公園を設置する。
憩いの場でもあるが、火事、自然災害があった時の避難所代わりだ。
そして、4町に1つ公衆浴場を設置する。
商店街の場所決めや、街道沿いの宿場の誘致など、やることが多い。
この辺は、領官が来てからで良いだろう。
俺がしたのは、道路の整備(歩道付き)と城壁の設置、
最初に下水道の設置をしただけだ。
東西南北に延びる道路の地下には、下水道網が張り巡らされている。
そして、城壁には俺の拘りが詰まっている。
城壁の高さは、7メートル。王都のように10メートルとも思ったが、
謀反でも起こすのか、と疑われても詰まらない。
この国の大都市と云われている処と歩調を合わせた。
堀を巡らす時に、気が付いた。
城壁にピッタリと堀を設置したら、地盤沈下、大丈夫かと?
そこで堀と城壁の距離を少し開けた、少しと云っても2メートル位。
この空いた隙間に長梯子を架けられ、敵の侵入を許す結果にならないか?
そこで、土で反った坂を造りレンガとセメントで補強。
イメージは日本の天守閣の石垣、下の方の反った感じ。
それをここで再現した。武者返しもバッチリ設置。
これで、長梯子を架けるスペース無く、反った坂は登るのを許さない。
水堀には、防水対策を施して幅は30メートル、
本格的な攻城兵器でも無ければ、落とすのは大変そうだ。
それから、城壁全体を白く塗って、完成。
これらの作業を全て、魔法とクリエイトスキルで行なった。
形だけなら、縮小版・洋風・白亜の平城京の完成だ。
何も調べていないので、自信は無いが、
1/3か1/4スケールぐらいと予想している。
東大寺部分も削ってあるので、あくまでも「なんちゃって」だ。
なぜ?平城京擬き?
疑問に思うだろう。
普通なら、街道沿いに宿場を設け、それを起点に街づくりすれば良いだろうと。
それだと、居城が変な位置になるし、何より美しくない。
なるべく街道を領都に引き込みたい、しかも美しい街づくり前提で。
気が付いたら、ミニ平城京になっていた。
俺たちは、飛翔魔法で上空から出来立ての領都を眺めている。
建物も何も無い、城壁と道路のみの街だ。
「縮小版でもこれだけ壮麗なら、
本物の平城京は、もっと凄いんだろうなぁ」
「本物なんて創ったら、叛意ありと言われるのが落ちよ。
王都並何でしょう?」
「この国の王都は、一回り大きいと思うけど・・
・・案外、変わらないかもしれないね?」
「小さくして、正解ね。
ところで、平城京ってどの位の人が住んでいたの?」
「10万~20万人って、云われている」
「良かったわ、創らなくて」
「流石に、土地を持て余すだろう」
予想以上の出来に、俺は大満足だ。
領官の募集がどうなっているか?
気になったので、王都にある商業ギルドを訪ねた。
かなりの数の応募があったというので、3日後面接をする事にした。
どうせなら出来立ての領都を自慢したくて、転移魔法を使い、ギルドマスターと担当した受付嬢を領都に招待した。
二人とも初めての転移に驚いていたが、すぐに周りの景色に息を吞んだ。
そこには、大都市規模の街が、綺麗に区画され、道は贅沢に広々と取ってある。
「驚きました。勇者殿。まさか、これ程の街を建設なさるとは」
商業ギルドのマスターは、興奮気味だ。
「では、もっと驚いて貰いましょう」
俺は、そう言って二人の手を取り、飛翔魔法で上空に。
上空から、領都を俯瞰して一望する。
二人は、美しい領都の姿に息を呑む。
「ここから見て、斜めに通った街道が、東海道になります。
あそこが目抜き通りになるのは、間違いありません。
お願いしたいのは、あそこへの誘致になります。
この街は、宿場町がメインになりますから。
宿屋、酒場、娼館、大手商会の商館、商業ギルドの支部、冒険者ギルドの支部などをお願いしたい。
流石に娼館を、目抜き通りに出すわけにはいかないので、裏通りにはなりますが」
二人を地上に降ろした。
「是非とも、やらせていただきます。
しかし、流石勇者様ですな、まだ、街道が開通していないのに、
もうこれだけの物を用意するとは」
実際、壁の撤去は、街道側は済んでいる。
終わっていないのは、平野部から山岳部にかけてだ。
そうでなければ、王宮騎士団の安全確認も、
官吏立会いの関所決めなど、出来るはずもない。
それから近いうちに開通式があるそうだ。
普段、転移と飛翔魔法で移動しているので、忘れがちだが。
「それから、職人の派遣をお願いします。駅の詰め所の内装工事を依頼したくて」
「それは一向に構いませんよ」とギルドマスター。
「あっ、それからコレも」
俺はストレージから、そろばんを取り出した。
珠算教室で、普通に使われているタイプだ。
クリエイトスキルで作成した。
「それは何でしょうか?」
俺は、そろばんの使い方を簡単にレクチャーした。
足し算、引き算、掛け算、割り算、所謂、四則演算だ。
ギルドマスターの喰いつきが、良かった。
足し算、引き算の出来る計算機はあっても、
掛け算、割り算の出来る計算機は、存在していないらしい。
「これは、画期的な発明です。この製作の権利を買い取らせて戴けないでしょうか」
なぜ?こうなった?
俺は、領官の備品として、数が欲しかっただけなのに。
結局、販売価格の1割を特許料として頂く事にした。
話は済んだので、二人を王都に送り届けた。
次の日、今度はリーングランデが遊びに来た。
「何かとんでもない物を創ったって聞いて、見に来たわよ」
情報源は、リーフかぁ。
噂をすれば影が差す、リーフリットが姿を見せた。
「とんでもないとは心外だ。俺は、普通の街を創っただけだ」
「「何処が!!」」
「全く、どの口が言うのかしら」
リーングランデは、少し呆れた様に言った。
「少し見せてもらうわよ」
そう言って、飛翔魔法で上空に飛んだ。
「何しに来たんだ、あいつ」
「何でも、神殿を建てる所を見に来たみたい」
「五稜郭の場所、明け渡せ、なんて言わないよな」
「さぁ~、判らないけど、大丈夫と思うよ。
竜穴あるの、あそこだけじゃないし」
「そうなのか?」
「あそこを1等地としたら、2等地になるけどね。2か所ほど」
「アイツなら、1等地よこせって言いそうだ」
「そんな訳無いでしょう。随分、失礼な言い草ね」
背後から、リーングランデの声がする。
気配が全くしなかった。
「悪意のない、軽い冗談じゃないかぁ~」
これで、見た目、清楚系、美貌の聖女さまなんだから・・
・・・・・詐欺だよなぁ~
「どうだか。処で、あの2か所貰うわよ」
リーングランデが要求してきた場所は、街道の入口と出口だった。
俺たちは外京の東口、二条大路北側に来ている。
大体200m四方はある。大神殿でも建てなきゃ、結構広い。
この世界の神殿は、キリスト教の教会に近い形が多い。
大聖堂でも造る気か、などと考えていたら、閃いた。
「ねぇ、リーン、デザインを任せてくれるのなら、神殿は提供するよ」
「また、とんでもないこと?」とリーングランデ。
「失礼だな、俺の世界の神殿だよ」
「・・・まあ、いいわ。興味あるし、任せるわよ」
「任された♪♪」
俺のイメージしたのは、ギリシャの『パルテノン神殿』だ。
200m×200mなら、問題ないと思うが、
念のため大きさの最適化は『文殊』頼りで。
その隣には、パルテノン神殿の柱程の高さの横置きの長方体。
外回りに廊下巡らせて、コリント式の石柱が支える、
柱の上の長方形の処には、8柱の神々のレリーフで彩られている。
神官たちの生活の場も、神殿の隣に建設した。
リーングランデは、頭を抱えた。
「何してくれるのよ!!!」
「何って?神殿」
「これってパルテノン神殿のレプリカ?」
リーフリットが無邪気に聞いてくる。
「正解。なかなか壮麗だろう。神殿と云えば、コレだよな♪」
後は、日本の神社しか思いつかない。
流石に、洋風の街に日本の神社は似合わない。
俺個人の好みは、当然日本の神社だ。
だって、妙に落ち着くじゃん。
「司教座よりも立派な神殿造って、どうするつもり?」
どうもしませんが・・・
「初めて見る形だけど、凄いのだけは判るわ」
リーングランデは、溜息をついて。
「もういいわ。もう1か所にも、同じデザインでお願い」
「ごめん!!リーン、いまので石灰岩が尽きた。
材料、買って来たいんだけど」
「わかったから、いってらっしゃい!」
「すぐ、戻る」
そう言って転移する。 材料を爆買いして戻ると、
今度は西口、五条大路の北側に、同サイズの神殿を建てた。
「内装の方は、門外漢だから。そっちに頼んで良い?」
「仕方がないわね。それはこっちでやるわ」
(これは、枢機卿か、大司教に相談した方が良さそうね)
建築様式は、全く違うが、この白くて、力強くて、シンプル、圧倒的な存在感に、リーングランデ自身、惹かれているのだ。
後日、リーングランデは転移魔法で、枢機卿を始めとする、お偉いさんを引き連れて領都を訪れた。
初めて見る建築様式だが、
その圧倒的な壮麗さに否定的な意見は出なかった。
それよりも、どの神を主祭神とするか?
誰を派遣するかで、揉めたという。
街道開通後、ここを訪れた人々は、
「勇者の白亜の都」とか「勇者の道楽の都」と囁くようになったという。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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