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Blade & Dragon Dance 〜月天を焦がす銀剣竜舞〜  作者: 西順


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対外試合その1

 そして対外試合が始まった。練武場を二つに区切り、片方の試合をラウド先生、もう片方をマリオ先生が取り仕切る。俺はマリオ先生の組で試合だ。


「始め!」


 木剣を中段に構える相手に対して、俺は木剣を上段、顔の横に水平に構える。


「はっ!」


 そのまま俺は気合一閃。木剣を斜めに振り下ろし、相手の木剣を二つに切断して試合は決まった。


「そこまで!」


 互いに礼をして試合場から出る。


「お見事です! ブレイド殿!」


 リオナさんが歩み寄ってきて声を掛けてくれた。リオナさんは同じ組でクリフさんは違う、ラウド先生の組だ。


「流石は我が終生のライバルだ。見事である」


 とはヴィクトリウス王子。いつ終生のライバルになったのか知らないが、王子も同じ組だ。王子のお付きのダグラスは王子のサポートに徹して、試合には出ないらしい。


 俺に話し掛けてくるのはこの二人ぐらいで、あとは話し掛けたそうに遠巻きに見ている。気にはなるがありがたい。そんなに沢山の人に話し掛けられても、俺じゃ対応し切れないからだ。


「次はリオナさんですね」


「ええ。私もブレイド殿に続けるように頑張ります!」


 とリオナさんは元気良く試合場に入っていった。


 相手はリオナさんより頭二つ以上大きい男で、持っている木剣が小さく見える。


「始め!」


 互いに中段に構える。相手は巨体だが構えは正統派(オーソドックス)なようだ。それでも威圧感が凄い。山のような男が、ジリジリとにじり寄ってくる。


「はあッ!」


 先に動いたのは巨男だ。巨体のリーチを活かし、リオナさんのリーチの外側から、木剣を振り上げて頭を狙って振り下ろしてきた。


 それを冷静に半身になって躱したリオナさんは、がら空きになった相手の胴目掛けて木剣を薙ぐ。が、それは浅く、相手を倒せる程には至らなかった。


「はあッ!」


 そこに巨男が横一閃の一撃を放ってくる。それを横っ飛びで躱すリオナさん。再び距離が離れ、リーチの長い巨男に有利になる。


「はッ!」


 が、そんな事はお構いなしと言うように、リオナさんが前に出る。巨男に近付きリーチの差を考えて、小手狙いで連撃を振るう。しかし巨男は巧くそれを木剣で弾いていった。普段からリーチの差でこう言う攻撃を受け慣れているのかも知れない。


「はあッ!」


 リオナさんの木剣を受け止めると、巨男は豪腕にものを言わせるやり方で、リオナさんを弾き飛ばす。数歩後退させられたリオナさんの足元がふらついたのを見逃さず、巨男は木剣を斜めに振るうが、リオナさんはとっさにしゃがんでそれを回避すると、そのまま木剣で相手の脛に一撃与えた。


「ぐあっ!」


 その痛さに巨男が膝を付いた所に、リオナさんが下から顎目掛けて木剣を振り上げ、巨男は仰向けに気絶した。


「そこまで!」


「ふう」


 中々の苦戦に額の汗を拭うリオナさん。俺は戻ってきたリオナさんをハイタッチで迎えた。



 対外試合は順調に消化されていき、俺の何度目かの出番となった。相手はヴィクトリウス王子だ。ここまでくると試合に負けた学生たちが応援に回り、試合場を学生たちがぐるりと囲むようになる。どうやら目当てはパーシヴァルであるらしい俺のようだが、俺の試合なんて見て、何の参考になるのだろう?


「ふふ。今度は勝たせて貰うぞ」


 ヴィクトリウス王子は木剣を両手で握り、中段に構える。王子とはこの対外試合の期間中何度も仕合をしているが、王子が片手で木剣を構えたのは最初の一度だけだ。俺は片手でも良いと思うのだが、それを王子に言ったら苦笑いされた。


「始め!」


 試合が始まり俺は木剣を中段に構える。ヴィクトリウス王子は先手先手で攻めてくるタイプなので、どのような攻撃が来ても対応出来るように中段に構えるのが良い。


「はッ!」


 今回も先手を取りに来たヴィクトリウス王子は、振り上げた木剣で頭を狙って振り下ろすかと思いきや、それをフェイントに、途中で軌道を変えて足を狙ってきた。


 俺はそれを飛び跳ねて躱すと、同時に王子の頭を狙って木剣を振り下ろす。が、これを半身になって躱した王子は、返す刀で俺の胴を狙う。


 それを木剣で受け止めた俺は、ヴィクトリウス王子の木剣の上を滑らすように俺の木剣を振るい、王子の手元を狙うが、王子は後退してこれを回避。しかし俺は追撃で突きを仕掛ける。


 これを仰け反ってなんとか避けた王子は、更に数歩後退して俺と距離を取った。


「はあ……、はあ………」


 たった数撃交わしただけで、肩で息をしだしたヴィクトリウス王子。


「もう負けを宣言しますか?」


「する訳ないだろ!」


 怒られてしまった。なら、俺も更にレベルを上げて攻勢に出よう。


 ブン! 俺が右上から斜めに振り下ろした木剣を、ヴィクトリウス王子は野生の勘のようなもので後退して避けてみせた。いや、いままでの仕合で、俺の攻撃パターンが身体に染み込んでいたのかも知れない。


 更に返す刀で切り上げた木剣を、大きく後退して躱すヴィクトリウス王子。俺はそんな王子を左右にステップを踏みながら、フェイントを織り交ぜつつ隅へと追い込んでいく。


 試合場の隅まで追いやられたヴィクトリウス王子は、これ以上は後がない、と俺に向かって攻勢に出る。俺の頭を狙って木剣を振り下ろしてくるが、追い込まれたヴィクトリウス王子の攻撃は単調で、俺はそれをしゃがんで回避すると、がら空きになったみぞおちに突きを撃ち込んだ。試合場から吹っ飛ばされるヴィクトリウス王子。


「そこまで!」


 試合終了の宣言がなされたので、ヴィクトリウス王子を助け起こしに向かう。


「ブレイド、お前、もうちょっと、攻撃する箇所、考えろよ」


 先にダグラスに上半身を起こして貰ったヴィクトリウス王子が、文句を口にする。


「痛いのが嫌なら、剣術なんて習わない事です」


 俺が伸ばした手を掴んで、ヴィクトリウス王子が立ち上がる。


「王族には体面ってものがあるんだよ」


 王族や貴族は大変だな。平民で良かった。


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