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Blade & Dragon Dance 〜月天を焦がす銀剣竜舞〜  作者: 西順


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接触

 それは、既に日常に溶け込むように、決闘志願者二人を決闘委員会がある教室に連れていった時の事である。そこにレイン委員長の姿はなく、副委員長と書記が二人で志願者二人の事情聴取を行っていた。


 珍しい。レイン委員長風邪でも引いたのだろうか? と思っていると、列整理をしていた委員の一人に頼まれた。


「すまない、レイン委員長を探してきてくれないか? 多分まだ三年の教室にいると思うんだ」


 との話。俺は仕方ないと三年の教室に向かった。



 三年の教室では、レイン委員長が知らない二人と話し合っていた。


「強情だな君も。多少の便宜があってしかるべきだ、と言っているんだ。君だって将来は王城や議会で働くつもりなんだろう? ならば今のうちから恩を売っておくべきだろう?」


 途中からの話になるが、どうやら二人はレイン委員長に便宜を図るように求めているようだ。となると決闘委員会の何かだろう。


「何度もお話ししたように、それはお断りしたはずです。格付けの資料は門外不出で、決闘委員会と学生会の人間以外に見せる事、情報を横流しする事は禁止されています」


 おっと、あの二人、結構なお願いをレイン委員長に頼んできていたな。普通こう言うのは、委員会や学生会の下っ端、俺みたいなやつに頼む事なんじゃないか? まあ、俺に頼んできても断るけど。


「それって表向きはだろ? どうせ横流しした所でバレやしないさ」


 既に俺にバレているけどね。俺はこれ以上話を聞いてはいられないな。と教室の扉をノックした。それに驚いたのは二人組だ。ハッとして入り口の俺を振り向く。それに遅れてレイン委員長がこちらを振り向いた。


 俺に気付くやホッとするレイン委員長。二人組の方はバツが悪そうだ。何やらコソコソ二人で話し合った後、そそくさと教室を出ていこうとする。その去り際、


「この事、誰にも話すんじゃないぞ」


 と釘を刺されてしまった。二人組の姿が見えなくなってから、レイン委員長に話し掛ける。


「ああ言う輩って、結構多いんですか?」


「まあ、あそこまで直接的なのは初めてでしたが。格付けの情報を得たいと言う外部の人間は、少なくありませんね」


 そうなのか。俺にはそう言う話を振ってくる輩は来ないな。俺の周りでも話は聞かないしな。と思っていたのだが。



 その二人組、気に掛けて見てみると、あちこちで見掛けたのだ。まあ、単に二人連るんで行動している仲なのだろう、と思っていたのだが。違った。


「私もその二人組には声掛けられたよ。すっごい低姿勢の二人でしょ?」


 低姿勢? レインさんにはそんな感じじゃなかったが。


「やっぱり決闘委員会の格付け資料を寄越せって、詰め寄られたわ」


 とはマイヤー。アインやショーン、カルロスまでが頷いている。


「俺の時はえらく強気にきてたけど」


 とカルロス。じゃあ同一人物なのか。


「え? 逆に俺だけ声掛けられていないんだけど?」


 と俺が話すと、四人が顔を見合わせる。


「同族だと思われてるんじゃない?」


 とマイヤー。


「は? どう言う事?」


「リオナさんって、『サロン』のメンバーだろ? 二人組もサロンの人間らしいし、リオナさんの下に付いてるブレイドには、声掛けないんじゃないか?」


 とはショーン。え? ちょっと待って。


「リオナさんって、サロンのメンバーなの?」


 俺の言葉に四人がまた顔を見合わせた。



 その日の夜。ようやく学生会の仕事を終えた俺は、夜空を越えて我が家に帰りると、家族と食卓を囲いながら、その話をリオナさんに振った。


「そうですね。私も一応サロンのメンバーです。父が領主貴族と言う事もあり、入学して直ぐにサロンのメンバーから声を掛けられました」


 本当だったのか。う〜む、サロンに良いイメージがないから、リオナさんと結び付かないな。


 ちなみに貴族にも二種類いて、リオナさんの所のような王に領地を与えられ、代々土地を治める領主貴族と、王城や議会で働き、領地を持たない法服貴族だ。法服貴族はそのほとんどが一代限りなので、領主貴族の中には法服貴族を貴族と捉えない人もいる。とショーンが言っていた。


「サロンってどんな所なんですか?」


 俺の質問に、リオナさんはしばし黙考した後、口を開く。


「基本的には事なかれ主義の穏健派な人たちですよ」


「そうなんですか?」


「その中核は領主貴族の子女だけで構成され、王国の利権にも深く関わっているように見えるので、外部からだと権利主義でお高くとまっているように見えますが、内部に入ると、大体の人が利権を自分の代で終わらせないように必死で、争い事に自分から首を突っ込む人は少ないですね」


 そうだったのか。


「でもどうして今更そんな事を尋ねてきたんですか?」


 リオナさんにそう質問されたので、俺はここ数日、二人組を良く見かけると話をした。とまた考え込むリオナさん。


「もしかしたら、ハミルトン・グラッツの下に付いている人たちかも知れませんね」


 との情報。ハミルトン・グラッツね。


「しかしサロンのメンバーってのも大変なんですね。上下関係があって、貴族であっても上が言う事を下が聞かなきゃならないなんて」


「いえ、ハミルトン・グラッツの下に付いているのは、恐らく平民の学生でしょう。サロンの正式メンバーになれるのは、基本的に領主貴族の子女だけですが、サロンメンバーの下に付く法服貴族の子や平民の子は少なくないですから」


 そうなのか。だから俺はサロンメンバーのリオナさんの下に付いている、と思われていたんだな。



 そんな話をした翌日の事だった。食堂で昼食を食べ終え、教室に戻ろうとしていた俺の所に、例の二人組を従えて、一人の男が現れた。


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