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Blade & Dragon Dance 〜月天を焦がす銀剣竜舞〜  作者: 西順


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マジックバッグ

「今日は、狩って狩って狩りまくるぞう!!」


「おお!!」


 カルロスの掛け声に、俺たち庶務四人は声を上げる。今日は四日に一度の学院の休日であり、魔物狩りの日である。学院南の森の前までやって来た俺たちは、持ち物を確認して、まだ雪の残る森の中に足を踏み入れる。


 ガサリと前方で音がするが、俺たちは気にせず前進する。と、それに驚いたのか、隠れていた一角兎(アルミラージ)たちが一斉に出てきた。


「ふっふっふっ、待っていたぞ角ウサギども。俺たちの鬱憤、その命で発散させて貰うぞ!」


 随分と物騒な発言をするカルロスだが、皆思いは同じだ。新学期が始まってからこの三日、俺たち庶務は休まる時間がなかった。毎日毎日どこそこで私闘がある、と呼び出され、それが終われば学生会の会議である。


 ネビュラ学院は学生会、各委員会、教師陣がかなり密に連携している。ここに決闘委員会が加わった事で、この三者は更に密な連携が求められ、学生会で一番下っ端の俺たちは、三日間各委員会や教師陣の元を回り、決闘委員会のお陰で直ぐに決闘をする事にならなくなったので、どこで決闘をするべきか、などの話し合いの下準備に奔走する日々だった。


 たった三日でかなりのストレスが溜まった。円形ハゲが出来るんじゃないかと思った程だ。その鬱憤を魔物狩りで発散しようと言う魂胆である。


 なので初手から全開だ。普段であれば魔物除けで寄せ付けないアルミラージたちも、今日は生け贄になって貰う。


 カルロスが双短剣を振るい、マイヤーはハルバードを、アインは槍を振るう。俺とショーンは三人の鬼気迫る迫力に恐れをなして逃げ出したアルミラージたちに、追撃でファイア・アローを撃ち込んでいく。


「チッ、二匹逃したか」


 しかし俺たちは〆て二十二匹を討伐した。肉や皮を運ぶのは面倒臭いので、魔核だけを取り除いて持ち運ぶ。


「ああ、早くマジックバッグ欲しいなあ」


 愚痴るカルロス。確かにマジックバッグがあれば、こんな死体も運び放題で、稼げる金額も格段に増える。投資の意味も考えると、ここらで五人共用のマジックバッグを買っても良いかも知れない。


「俺、マジックバッグ買おうかな」


「ブレイド、マジか!?」


 そんなに驚く事だろうか? 四人とも驚き過ぎである。


「普通は二年生に上がった時にパーティー共用のマジックバッグを買って、三年生になったら個人でマジックバッグを持つのが一般的って聞くけど」


 とはショーン。ほう、そうなのか。


「実は冬休みに竜狩りとして臨時収入があってね。それなりのマジックバッグ一個買えると思うんだ」


「良し、一端交換所に戻ってマジックバッグを買ってこよう!」


 言うが早いか、四人は踵を返して交換所に引き返していく。


「おいおい、気が早いな。俺、皆の荷物持ちになるとは言ってないんだけど?」


「そうは言っても持ってくれるんだろ?」


 とカルロス。まあ、そうなるだろうけどね。皆乗り気だなあ。俺も四人の後を追って森を引き返していった。



 交換所の道具屋。そのカウンターの奥にマジックバッグが並べられている。


「マジックバッグを見せて欲しいんですけど」


 俺が店主に声を掛けると、睨み返された。


「金はあるんだろうな?」


 俺は腰バッグの中の財布から、金貨を一枚取り出す。


「ふ〜む。まあ、良いだろ。どれが見たい?」


 金貨と俺を見比べて、店主はマジックバッグを見せてくれる事を了承してくれた。俺たちはこんな機会は滅多にない、と展示されている全てのマジックバッグを見せて貰う事にした。一番安いのは百五十万の腰バッグ型のもので、これでもアルミラージなら二十匹は入るそうだ。一番大きいのはリュック型で、成竜が五十頭入ると言う。値段は王都で家が建てられるとカルロスが言っていた。さてどれにしたものか。


 俺たちは道具屋のカウンターで人目も憚らず喧々囂々意見を組み交わし、決定したのは、身体に密着する肩掛けバッグ型のマジックバッグだ。これでも成竜二頭分入るかなりの上物である。六百万キルクルスした。先行投資としてはかなりの出費だ。


「どうだブレイド?」


「六百万キルクルス身に着けていると思うと、ドキドキが止まらないぜ」


 その後俺たちは再び南の森に戻り、アルミラージ狩りを進めた。アルミラージの死体はマジックバッグの口より大きいかったが、マジックバッグの口は布を広げて大きく出来るようになっており、収納には困らなかった。アルミラージ約百匹で満杯になったので、かなりの収納量だと言えるだろう。満足。この調子なら後期の内に元手を回収できそうだ。


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