表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Blade & Dragon Dance 〜月天を焦がす銀剣竜舞〜  作者: 西順


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

67/128

冬の到来

 決闘祭が終わると、季節はすっかり冬の装いを始めた。雪が降り積もり、世界が白に塗り潰されていく。学院も冬休みがすぐそこで、皆が落ち着いた学院生活を送っているかと思ったらさにあらず、決闘祭の前のような活気に溢れていた。この時期、ネビュラ学院では、後期からの学生会会長選挙が行われているからだ。


 泡沫候補が多数名乗りを上げる中、有力候補は三名に絞られていた。一人はクリフ・バールトン。もう一人はガイウス・ナッセル。そして最後がイーリス・マックスである。三候補の主張に枝葉末節の違いはあれど、内容に然程(さほど)違いは無い。争点となるのは、決闘祭についてだった。


 違いがはっきり出たのは、『ブースト』の取り扱いについてだ。クリフさんは現行通りいくらでもブーストを使用しても良いとの主張で、ガイウスはブーストの使用自体を取り止めるべきと主張。イーリス候補は使用自体は容認するが、使用回数に制限を設けるべきとの主張だ。


 こうした主張が出されたのは、どうやら俺に原因があるらしい。俺が決闘祭でブーストを無制限に使いまくり、あまつさえ竜にまでブーストを使った事で、近頃学院内ではブーストの扱いが話題の中心になっていたからだ。



「学生一年目もまだ半分終わってないのに、誰が良いとか分かんないよなあ」


「確かに」


「分かる」


 廊下の掲示板に張り出された各候補の選挙公約に目を通してみても、俺もカルロスもマイヤーも、首を傾げてしまう。熱心なのはアインとショーンだ。見過ぎで公約の書かれた紙に穴が開きそうである。


「アインはやっぱりガイウスに入れるのか?」


 ブーストに関しては思う所のあろうアインだが、首を横に振った。


「ガイウスさんの主張は、取って付けたような感じが公約文から滲み出てる。この三人で入れるなら、イーリスさんかな」


 へえ、そうなのか。イーリス候補は現学生会の副会長で三年生だ。流石はあのエドワード会長の下、学生会の運営に携わっているだけあって、公約に隙がなくしっかりしているらしい。横でショーンも大きく頷いているし、これはイーリス候補で決まりかな。


「でもさ、このレイン候補って……」


「ああ、それは僕も思ってた。良いよね」


 ショーンの発言に食い気味に同意するアイン。何か新たな名前が浮上してきたな。


「それって泡沫候補の一人だろ? わざわざ投票するか?」


 カルロスがそう口にすると、二人は「分かってないなあ」と言った顔をカルロスに向ける。


「こういう選挙は主張の殴り合いなんだよ。例え泡沫候補と罵られる人でも、良い立候補者に投票せず、周りに流されるように知名度の高い立候補者に投票してたら、普段の生活でも声の大きな人間に流されるようになるぞ」


 流石は正義の人ショーン。主義主張がしっかりしている。それに対してはアインも頷いている。


「でも、パッと見てもイーリス候補とレイン候補の違いが分からないんだけど」


 とはマイヤーだ。確かに、イーリス候補とレイン候補の公約は似通っていて、何故アインとショーンがレイン候補を推すのか分からない。


「大きな違いはここだね」


 ショーンがレイン候補の公約文の一文を指差したのでそこに目を通してみる。


「決闘者の代役?」


「そう。このネビュラ学院では、強い者が正しい。自身の主張を通したいのなら、強くあらねばならない。と言うのがまかり通っているだろ?」


 確かに、何かあれば決闘で決着をつけるのがこの学院の主流だ。弱者は泣き寝入りするしかないようなシステムである。だがこれは、ネビュラ学院が国内でも武術・魔法の最高峰の学校だからだ。ここに通う者として、弱者と言う言い訳は通用しない。


「決闘自体は僕も否定しない。この学院に通っている訳だからね。でも一年生と四年生ではやはり能力に差があるのも事実だ」


 それを埋めるのが決闘者の代役って事?


「三人とも納得いっていないって顔だな」


 ショーンの主張は分かるが、


「それだと、代役を立てた者の主張が通りやすくなるし、そのシステムを悪用して、わざと決闘を吹っ掛けてくる人間が続出しそうなんだけど」


 とマイヤー。それは俺も思った事だ。現行のシステムには確かに理不尽はあるが、だからこそ下級生は強くなろうと努力をする訳で、強くなる為にこの学院に通う学生たちには現行のシステムが合っていると思う。


「確かにね。だからこそ、このレイン候補は決闘委員会の設置を公約に掲げている」


「決闘委員会?」


 首を傾げる俺、カルロス、マイヤー。


「そう。今までのシステムだと、事態が決闘に発展した場合、近場にいた先生に見届け人になって貰い、直ぐに決闘になっていただろ? そこに決闘委員会が一枚噛むようになる」


「はあ?」


「つまり、今まで先生の見届けのない決闘は私闘として禁止されてきたけど……」


 そうだったのか! あ、カルロスもマイヤーも頷いている。どうやら常識だったようだ。


「この決闘委員会が設置された暁には、例え先生が見届け人をしたとしても、決闘委員会が許可しなかった決闘は全て私闘になるんだ」


 それにどんな意味があるんだ?


「つまり決闘をする為には決闘委員会に届け出なければならず、決闘委員会は届け出された決闘内容、決闘者名から、どちらかに不利であると判断された場合、代役、または増員を言い渡す事が出来るって訳さ」


 成程、理解は出来た。理解は出来たが、


「面倒臭い」


 見ればカルロスもマイヤーも、ショーンの話に渋面を隠そうともしていなかった。


ここまでお読み頂きありがとうございます! 批判批評に称賛絶賛! どんな感想もwelcomeです! 待ってます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ