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Blade & Dragon Dance 〜月天を焦がす銀剣竜舞〜  作者: 西順


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エドワード対ヴォルフリッヒ

「森を抜けた先には、高い塔がありました」


 どうやら俺は気絶して夢を見ていたようだ。


「何その寝言。凄い気になるんだけど」


 マイヤーが興味津々に尋ねてくるが、夢なんて覚えているものじゃない。


「俺、どれくらい気絶してたんだ?」


「それ程じゃないわよ。今、ヴォルフリッヒさんとエドワード会長の試合が始まった所」


 周りを見ると、皆の視線がエドワード会長とヴォルフリッヒさんに集中している。俺もそれに倣って二人を注視しつつ、ビリーさんとの戦いで傷付いた身体を癒そうとポーションドリンクを取り出すが、ふと身体の傷が癒えているのに気付いた。


「リオナさんがポーションを使ってくれたのよ」


 マイヤーが説明してくれる。リオナさんを見ると、会釈で返された。クリフさんの時と言い、重ね重ねありがたい。しかし傷は言えたが、身体が芯から重たく感じる。疲れが抜けきっていない感じだ。それだけ壮絶な試合だったのだろう。眠って良いと言われれば、今すぐ眠りたいくらいだ。


 だがそうも言っていられない。次の準々決勝はアインとの対戦が決まったが、もし勝ち抜けば、その次はエドワード会長とヴォルフリッヒさんのどちらかと対戦する事になるのだ。見ていて損はない。アインも試合に見入っているし。


 試合は始まったばかりで、槍を水平に構えた会長に対して、トントンと軽く飛び跳ねながら中段に剣を構えたヴォルフリッヒさんが、会長の周りを円を描きつつ隙を窺っている。だが先に攻勢に出たのは会長だった。


 ヴォルフリッヒさんの胴目掛けて連続して鋭い突きを繰り出すが、ヴォルフリッヒさんはその全てを躱すか剣で受け流してみせる。二人の動きの違いから、ヴォルフリッヒさんが会長よりブーストを一段多く掛けているのが分かった。


 これにより、ヴォルフリッヒさんの方に余裕があるように見える。しかし会長は攻勢を弛める事をせず、突いて突いて突きまくる。余裕のあったはずのヴォルフリッヒさんも、この連続突きの隙を突いて攻勢に転じる事は難しいらしく、徐々に後退させられていく。


 傍から見ていると会長の攻撃が巧い事がよく分かる。ヴォルフリッヒさんが右に動こうとすれば、先んじてそちらに槍を突いて動きを封じ、左に動こうとすればそちらに槍を突いてそれを潰す。会長は槍のリーチを生かしつつ、ヴォルフリッヒさんの一手先を読んでヴォルフリッヒさんをどんどんと追い詰めていっていた。


 が、それに甘んじるヴォルフリッヒさんではない。試合場の隅に追い詰められるより早く、ブーストを更に掛けてスピードを上げる。


 ヴォルフリッヒさんの膂力、脚力、五感が向上した事で、エドワード会長の正確な攻撃にブレが生じる。膂力の向上したヴォルフリッヒさんが槍を払う事で、会長の槍が泳がされるようになったからだ。そしてその隙を突いて、ヴォルフリッヒさんが一歩また一歩と歩を進める。それに合わせてジリジリと後退していくエドワード会長。試合はヴォルフリッヒさんが巻き返し、試合場中央まで戻ってきていた。


「ブースト!」


「ブースト!」


 ここで両者更にブーストを掛けて、試合のスピードが上がる。会長の正確で鋭い突きは、確実に変幻自在なヴォルフリッヒさんの動きを捉え、試合場中央から先に攻め込ませない。対してヴォルフリッヒさんも、ブーストで上がった膂力で槍を弾いて流しつつ、そこに細かなフェイントを加えてジリジリ会長に迫っていく。


 そしてヴォルフリッヒさんが会長の槍のリーチの中に入った事で、会長の攻撃スタイルが変わった。突きをメインに組み立てられていた会長の攻撃が、切る、叩く、払うに変わったのだ。槍の中心を持ち、遠心力を使っての強烈なこれらの攻撃は、暴風のようで、ヴォルフリッヒさんを巻き込んで吹き荒れる。


 これに対してヴォルフリッヒさんはまるで一枚の葉のようだ。暴風の中にあって壊される事はなく、その力を受け流していく。右から頭を狙って攻撃が来ればしゃがみ、左から足を狙って攻撃が来れば飛び跳ね、上下の攻撃は半身になって躱す。そこにフェイントも加えて攻撃の隙を窺う。正に変幻自在で、その姿に見蕩れる程だ。


「凄いな」


 横のアインが思わず呟いていた。


「ああ、そうだな」


 俺は首肯する。


「エドワード会長」


「ヴォルフリッヒさん」


 意見が割れていた。思わず互いに顔を見合わせる。


「凄いのは会長だろ? あの槍捌きの凄さが分からないのか?」


「いや、ヴォルフリッヒさんだろ? あの舞いのような動きの凄さが分からないのか?」


 思わぬ所で意見が食い違うが、観客から沸き上がった歓声にハッとして試合の方に目をやると、会長の上段からの攻撃を、ヴォルフリッヒさんが剣で受け止めている所だった。


 会長はここが勝負所と捉えたのだろう。更にブーストを唱え、傍目からでも見失うようなスピードで、ヴォルフリッヒさんの足を払い転ばせると、穂先をヴォルフリッヒさんの眼前に突き付ける。


「参りました」


 試合はヴォルフリッヒさんが降参した事でエドワード会長の勝利となった。確かに会長の正確無比な槍捌きや試合巧者ぶりは凄いものだが、何故アインが勝ち誇った顔をしている。なんだか次のアインとの試合に改めて気合いが入ってきた。


ここまでお読み頂きありがとうございます。作者のやる気を出させる為にも感想をお待ちしております。場合によれば一日二回投稿になるかも知れません。

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