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Blade & Dragon Dance 〜月天を焦がす銀剣竜舞〜  作者: 西順


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対ビリーその2

「はあ〜〜〜」


「どうした、随分渋い顔だな?」


 そう言って試合場で俺の前に立つのは、ビリーさんだ。五回戦の俺の対戦相手である。


「そう見えますか? 当たりです。俺は貴方とは対戦したくなかった」


「ほう? 嬉しいねえ」


「嬉しい? 」


「対戦相手から嫌がられるなんて、戦士の誉れじゃないか」


 そう言う捉え方もあるのか。だがそうやってニコニコ語るビリーさんを見るに、俺の顔は益々渋いものになっているだろう。


「では! 始め!」


 俺たちの会話など気にせず、ラウド先生は進行する。先生の開始宣言が出た後、ビリーさんはブーストを唱えて、両手にあの魔剣の魔導器を構える。どうやら二刀流でくるようだ。ならば、


「ほう? 棒か」


 心底愉快そうに笑みを深めるビリーさん。この人も中々の戦闘狂だな。俺は身長程の丸棒を前方をやや下げるようにして構える。


「この方が、手数の多い二刀流に対応出来ると思って」


「そいつは楽しみだ!」


 そう言いながらビリーさんは更にブーストを掛けると、迷いなく俺に向かって突っ込んできた。最初から全開だなこの人。


 ビリーさんは上段から右の魔剣を振り下ろし、俺はそれを棒で受け止める。良かった。受け止められた。クリフさんの時のように切られはしなかった。


 が、上ばかり気にしていられない。下から左の魔剣が切り上げてきたからだ。俺はそれを棒の中央を持ってを回転させる事で防ぐ。


 ビリーさんの攻撃は止まらない。右、左、上、下、斜め、突き、と左右の魔剣を変幻自在に操り、技を繰り出してくる。流石、シージでも魔剣で勝ち抜いてきた人だ。こちらが本領なのだろう、生き生きしている。俺はその全ての攻撃を後退しながら棒を右へ左へ回転させながら防いでいく。しかしこのままでは試合場の端まで追い詰められて詰んでしまう。


「ブースト!」


 俺も更にブーストを加えて身体能力を上げる。


「お? 乗ってきたな!」


 嬉々とした感想を洩らすビリーさんだが、こっちは真面目なのだ。膂力、脚力、五感が向上した事で、ビリーさんの二刀流にも対応出来るようになってきた。


 右からの切り上げを棒を回して叩き落とし、その勢いを使って棒の反対側をビリーさんに叩き付ける。が、これはビリーさんの左の魔剣に防がれてしまった。


 その後俺は棒を小舟(ボート)(オール)を漕ぐように回転させながら、攻勢に転じ、足場を試合場中央まで巻き返す。しかしそれ以上はビリーさんを攻め込む事が出来ず、試合場中央で一進一退の攻防を繰り広げる事になった。


 ビリーさんが右の魔剣を振ってきたら左を合わせ、こちらが右を振ればビリーさんが左の魔剣で受け流す。右左を交互を打ち合うまるで演武のような時間が続く。しかしこれに痺れを切らしたのはビリーさんだ。


「ブースト!!」


 更にブーストを掛けてスピードを上げる。が、俺もそれに合わせてブーストを加えるので、一進一退の攻防が更にスピードアップしただけに(とど)まった。


「ブースト!!」


 更に上掛けするのかよ! クリフ戦の俺じゃあるまいし、と思うが、ビリーさんはこの後の戦いに響く事など考えていないようだ。


 ビリーさんは俺を中心に円を描くように動き回り、その変幻自在の剣筋を存分に発揮して俺を追い詰めていく。だからと言って、やられっぱなしは趣味じゃない。ここは俺も更にブーストを掛けるべきか? しかし逡巡する時間も与えて貰えず、ビリーさんの攻撃スピードはどんどん増していく。


 ギイインッ!! と両手の魔剣を上段から振り下ろされ、膂力にスピードも加わったビリーさんの魔剣に、俺の棒が真っ二つに両断される。


「貰った!」


 ビリーさんは腕を左右に広げ、両側から魔剣を薙いできた。が、それを俺は二つに割られた棒を木剣に変え、左右からの攻撃を受け止める。


「まだ、やらせはしませんよ」


 そう言って俺はブーストを唱えてスピードを上げると、攻勢に転じる。両側からの攻撃を受け止めたまま、前蹴りを繰り出しビリーさんを蹴り飛ばすと、数歩後退したビリーさんに向けて、頭、足、胴、胸、小手、と右、左、上、下、斜め、突き、と無我夢中で木剣を振るうが、俺の攻撃を冷静に捌いていくビリーさん。このままでは(らち)が明かない。


「ブースト!!」


「ブースト!!」


 それはビリーさんも同様だったようだ。同時にブーストを唱え、限界突破でスピードを上げる。互いに二刀流だ。ここまで来たらどこまでいけるかの我慢比べだ。


 左右上下斜め突きを猛スピードで繰り出し、相手が同様に猛スピードで繰り出してくるそれを、見ると言うより五感で感じるようなスピードで対処していく。ビリーさんの攻撃を避け、躱し、受け止め、いなし、受け流し、その間隙にこちらの攻撃を滑り込ませていく。


 互いに限界突破のスピード戦は、俺たちには長時間の攻防に思えたが、恐らく外から見ている者たちにしたら、瞬き数回程の時間だったかもしれない。たったそれだけで俺とビリーさんは力を使い果たし、へとへとになり、剣を振るう手にも力が入らなくなってしまった。


 結末はすぐそこだと、二人とも気付いていた。そこまで、ボロボロになりながらも全力で剣を振るった。結末は武器の差だった。木を研ぎ澄ました木剣と、魔力を消費し続ける魔剣。魔力切れを先に起こしたビリーさんは、俺の木剣を受け止める事が叶わず、一撃を食らって仰向けに倒れ伏した。


「はあ……はあ……はあ……」


「ぜい……ぜい……ぜい……」


 ビリーさんを倒しはしたものの、俺も二足で立っている事が出来ず、両剣を地面に突き刺して、何とか自身が倒れるのを阻止する。


「そこまで! ブレイドの勝利!」


 ラウド先生の勝利宣言を聞いて、俺も前方に突っ伏した。


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